三角パズルに挑戦! 第20回  強盗になぐられたせいで数学の天才になった人のお話

実は少し前に「31歳で天才になった男...サヴァンと共感覚の謎に迫る実話」 (講談社刊)という本の翻訳ゲラのチェックのお仕事がありまして、ほんの数箇所ですが翻訳された文章のチェックをさせていただきました。

こんにちは、数学・教育ライターの鍵本です。

実は少し前に「31歳で天才になった男...サヴァンと共感覚の謎に迫る実話」 (講談社刊)という本の翻訳ゲラのチェックのお仕事がありまして、ほんの数箇所ですが翻訳された文章のチェックをさせていただきました。もうすぐ発売とのことで、見本がつい数日前に手元に届いたばかりです。

このお話はジェイソン・パジェットという実在の男性が、あるとき強盗に突然なぐられて脳に損傷を負うのですが、そのことがきっかけで「サヴァン症候群」と「共感覚」が備わるという実話です。いろいろなものを見ると、それとともに幾何学図形が見えるようになったのだそうです。

これがきっかけで数学的な才能を後天的に身につけることになり、彼は大学で数理学を研究するとともに、フラクタル図形や円周率に関するさまざまな図形を描いていて、それが国際的に注目を集めているというお話です。

「数学の天才」とはまさによく耳にする言葉ですが、世の中の多くの人が「数学の天才」とは子供のころから数学の勉強ができて点数のいい人と考えているように思います。でも、実際の「数学の天才」とは、そういう現存する数学の世界を超越していて、誰も見ることができない世界を見ることができる人なのかも知れません。一言で言うと「突然変異」とでもいいましょうか。別の言い方をすると、熱心に数学の勉強をしたから「天才」になるというものではないということです。

そういう意味で、このジェイソン・パジェットさんは、本物の「天才」、それも後天的な天才なのかもしれません。脳損傷というのは、日常生活や命に支障をきたすものですが、たまたま彼は数学的にすばらしい能力を身に着けたということなんだと思います。

「数学の天才になりたいか?」というと、正直彼のように強盗に襲われて大怪我をして九死に一生を得るような経験は私はしたくないですが、人にない能力を身に着けてみたいという願望はほんの少しはあります。読者のみなさまはいかがでしょうか。

ジェイソン・パジェットさんがこれからどのような人生をたどっていくのか、少し注目したいと思います。

さて、今回もいつもと同じく、変化球ルールの問題と、従来ルール問題の合計2問です。

1問目では10個の○の中に1から10の異なる数字を入れて下さい。周りの矢印の数字がその列の数字の和であることは同じです。数字が大きくて少し難しいかもしれませんが、頂点の3つは数字が入ってるので、実際には7個の数字を入れるだけです。

2問目は従来ルールの問題です。ルールはこちらをご覧ください。解答は下のほうのリンクをクリックしたら出てくるようにしておきますので、解けたら答え合わせをしてみてください。

それではいよいよ問題です!制限時間はあくまで目安です。

問題(39) 制限時間5分 1から10までの異なる数字を○の中に入れていきます。

問題(40) 制限時間5分 従来のルール。です。

解答はこちら。

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