氷水を頭からかぶると天下りが撲滅できる?

端から見て楽しむのも良いとは思いますが、これを機会に強く認識して欲しいのは、この手の慈善活動に必要な予算の集め方が、日本と米国では根本的に違う、という点です。

日本にも飛び火していますが、米国では、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の研究向けの寄付金集めで、有名人が氷水を頭からかぶって、さらに三人を指名するというキャンペーンが大成功を納めています。

端から見て楽しむのも良いとは思いますが、これを機会に強く認識して欲しいのは、この手の慈善活動に必要な予算の集め方が、日本と米国では根本的に違う、という点です。

米国の場合、大半は個人からの寄付によって成り立っているため、この手のイベントを使って数多くの人達に必要性を認知してもらった上で、寄付してもらうことが必須なのです。今回の ALS Ice Bucket Challenge はたまたまソーシャルメディアをうまく使って大成功したので目立っていますが、AIDS撲滅のためのマラソン大会、児童糖尿病の研究のためのテニストーナメントなどが、全米各地で毎日のように行われているのです。

一方、日本の場合、大半は政府からの補助金や財政投融資という形で行われます。そのためには国会議員への陳情などの活動が行われますが、最も効果的なのは、天下り先の提供というのが悲しい現実です。慈善団体や特殊法人の理事などのポストを政治家や役人に提供すれば良いのです(ちなみに、米国では慈善団体の理事は原則無給のボランティアですが、日本の場合は1か月に1回の理事会に出席するだけで1千万円の給与、というケースもあり、ここも大きく違います)。

特に日本の場合、歳入50兆円の一般会計以外に、郵貯・厚生年金・通信・道路・電気などのインフラ・サービスから吸い上げる特殊会計の歳入が300兆円近くあり、それが国会の審議を経ずに霞ヶ関の官僚たちの采配で使い道が決まるという状況にあるため、それが霞ヶ関にとてつもない権力を与えてしまっています。

この特別会計と財政投融資と補助金が諸悪の根源であると主張して精力的に活動していた石井紘基議員は、志半ばで何者かに雇われた暴力団員に殺傷されるという不幸に合いましたが、その後、この問題に本気で取り組む国会議員が現れないことがとても残念です。

下に石井紘基議員からのメッセージを張り付けておきます。氷水を頭からかぶる有名人を見るたびに、彼の言葉を思い出していただければ幸いです。

「誰も知らない日本国の裏帳簿」より

「特別会計」や「財政投融資」という「裏帳簿」と、「補助金」という麻薬によって構成された利権財政システムの「御三家」を根本的にあらためることは、経済の復活のためにも社会の健全化のためにもきわめて重要です。 ...<中略>... これら福祉事業などに関する補助は、将来、市場経済への移行と税制改革の進展のなかで、民間からの「税の選択的納付」としての「寄付」に支えられるような誘導が必要です。...

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