被災者発見に期待のロボット NEDOが初の実証試験

がれきの隙間から入り込み被災者の呼吸などを検知できる災害調査ロボットの実証実験を、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が始める。
Cement rubble from the walls of the building.
Cement rubble from the walls of the building.
Peter Kaminski/Flickr

がれきの隙間から入り込み被災者の呼吸などを検知できる災害調査ロボットの実証実験を、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が始める。

このロボットを開発したのは、株式会社タウ技研。細長い虫のような動きが可能なワーム型機構を備えた実用レベルのロボットとしては世界初という。トンネル災害や倒壊した建物のがれきなどの内部を探索するのに適した機能を持つ。通常はクローラ(無限軌道車)型の移動ロボットで走行し、急斜面、段差の箇所やがれきの隙間などになるとクローラ型の多関節ロボットの出番となる。先端に搭載されたセンサーが、崩落したがれきの下で身動きが取れなくなっている被災者の呼吸などの情報を収集する。

実証試験は、相模原市を中心とした生活支援ロボットの実用化と普及を目指した地域活性化総合特区「さがみロボット産業特区」内にある消防学校の模擬がれき施設で9月10日と17日に実施される。さがみロボット産業特区では、本来は規制されている屋外でのUWB(超広帯域無線)レーダーを用いた実証実験が可能。UWBレーダーは人間の呼吸や心拍を検出でき、災害時の生存者の探索に活用が期待されている。

2012年12月に山梨県大月市で起きた笹子トンネルの崩落事故をはじめ、1950年代~70年代の高度成長期に大量に整備された道路など社会インフラや産業インフラの老朽化に対する関心が高まっている。NEDOは2014年度に「インフラ維持管理・更新等の社会課題対応システム開発プロジェクト」を立ち上げ、老朽化の状態を把握できるモニタリングシステムの技術開発と維持管理を行うロボット・非破壊検査装置の技術開発に加え、人の立ち入りが困難なインフラ災害現場で情報収集できるロボットの技術開発を進めている。

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