2015年9月に国連総会は、「持続可能な開発目標」(以下、SDGs)を採択し、先進国と途上国を隔てることなく、世界が直面している貧困・格差といった社会経済的問題や気候変動など環境問題を2030年までに解決するために取り組むことを合意しました。
現在、世界では5,800万人(子どもたち約12人あたり1人)の子どもたちが小学校に通えず、7億8,100万人の大人が、読み書きができません。こうした教育の現状を変えていくためSDGs・目標4として、すべての子どもが質の良い幼児教育・初等教育・中等教育を受け、成人の識字率も大幅に改善することを掲げています。
私たち教育協力NGOネットワーク(以下、JNNE)は、途上国で教育支援を行う23のNGOが加盟し、SDGs・目標4の達成に貢献するため活動を続けています。JNNEの活動の柱である政策提言と啓発活動の中心として、2003年より開催している「世界一大きな授業」は、「世界中の子どもに教育を」を合言葉に、世界100ヶ国で同時期に実施されるキャンペーンです。2008年には885万人が参加し、ギネスブックにも登録されました。
「世界一大きな授業2016」で目指していること
「世界一大きな授業」の教材は、複数のユニットで構成されるため、小学生から大人まで楽しみながら、世界の教育の現状について学ぶことができます。
文字が読めないことを疑似体験できる教材や、すべての子どもが教育をうけるために必要な資金と世界の軍事費の金額をリボンの長さで比較する教材などがあり、教材を通して教育の現状を変えるために自分にできることを考えていきます。また、日本政府がより途上国の子どもたちの教育支援を強化するように首相・外務大臣に手紙を書きます。いただいた手紙は、私たちJNNEが日本政府へ届け、ODAの基礎教育分野の支援強化を求めていきます。
参加者からは、「学校に通えない子どもや文字が読めない人がこんなにたくさんいることに驚いた」「世界の軍事費の8日分で、全ての子どもが学校に通えるようになるのならば、教育支援にお金を使うべきだ」といった驚きや憤りの声が寄せられています。「ノーベル平和賞を受賞したマララさんをはじめ教育の現状を変えようとしている子どもたちがたくさんいることに気づき、自分たちでもできることをはじめたい」という中学生からの声もありました。
世界一大きな授業をきっかけに、視野が広がり、自分たちにできることや自分たちが持っている可能性について、ポジティブに考え、教育の現状を変えるために行動したいと考えるようになったという参加者からの声も多いです。
識字の教材で学ぶ子どもたち(奈良県五條市立北宇智小学校)©JNNE
初めての試み"Raise Your Voice!"
「世界一大きな授業」に参加し、日本政府の教育援助について知った後に、自分の選挙区の国会議員に、国際協力や教育援助についての見解をインタビューする活動です。
教材の中でも取り上げているマララさんのドキュメンタリー映画『わたしはマララ』で、マララさんが世界に呼びかけたメッセージ「Raise Your Voice!(声を上げよう)」にちなんでいます。「世界一大きな授業」が最終的に目指すのは、学校に通えない子どもたちや読み書きができない大人がいる現状を変えることにあります。
そのためには、各国政府の政策に働きかけることが必要です。日本の援助政策を決めるのは、日本政府ですが、国会議員は変化を起こす大きな力を持っています。その国会議員を動かすのは、子どもたちも含めたわたしたち市民の声です。「すべての子どもに教育を」と世界のリーダーに訴えるマララさんのように、皆さんも国会議員に会い、声を届けることができます。
マララさんの呼びかけにこたえて「Raise Your Voice!(声を上げよう)」してみてください。
©Alexandra Kensland Letelier / Plan
「世界一大きな授業」は誰でも参加できます。
参加申し込みは、こちら!
5月25日(土)まで参加を受け付けておりますので、多くの方からのお申込をお待ちしています。
教育協力NGOネットワーク/公益財団法人プラン・ジャパン プログラム部 オフィサー
澤柳孝浩