【参院選】私が考える「クール・ジャパン」という争点について

私は、「クールジャパン」の源泉となるクリエイター活動の萎縮を招く条例その他には反対です。日本独自の文化を守ることを推し進めるべきだと考えますが、ただ、それは国が主体である必要はありません。国は多種多様な「クールジャパン」と呼ばれるような日本のカルチャーを守ることを前提に、グローバルに打ち出す戦術、そして国の宝を産み出す戦術を民間に対してサポートすべきだと考えています。

第23回参議院議員選挙が7月4日に公示され、スタートしました。日本ではインターネットが初めて選挙活動に利用されています。

ハフィントンポスト日本版では、参院選にあたり、団塊ジュニア世代である私たち編集部が特に考えなければならない等身大のテーマとして「少子化」「雇用」「エネルギー」「憲法改正」「アベノミクス」「クール・ジャパン」の6つに争点を絞り、ニュースを発信しています。

私たちは、一方的にニュースを発信するだけではなく、ユーザーの皆さんからご意見をお寄せいただき、議論を集約することで、私たちの社会が抱えるたくさんの課題を、より良い方向の解決へと導く道しるべになりたいと考えております。

今回の参院選でも、ぜひこれらの争点を中心に皆さんからご意見を頂けますことをお願いいたします。

そこで、編集長である私自身も、ひとりの国民、等身大の自分を意識して、これらの争点について意見を述べてみたいと思います。識者や専門家ではないからといって、萎縮する必要はありません。「自分の考えを発信する」。まずはここから始めることが大事なのではないでしょうか。

「クール・ジャパン」については、争点がわかりにくいという声をいただいたりもしました。確かに今回の争点の中では、「クール・ジャパン」を他のメディアは、あまり取り上げていません。ただ、政府は成長戦略の重要な柱として位置づけており、この6月19日に公布された「株式会社海外需要開拓支援機構法」もあります(参考記事:国が500億円出資する「クール・ジャパン推進機構」って、どんな組織?)。

度々、お話して参りましたが、ハフィントン・ポスト日本版がコアな読者層としてねらうのは、団塊ジュニア層です。個人的にはさらにその中核、評論家の宇野常寛さんが言うところの、サブカルチャーやインターネットといった陽の当らない〈夜の世界〉と親和性の高い、今までの大規模企業のサラリーマンとは違う、ITリテラシーに優れ、ハイカルチャーよりサブカルチャーを楽しむ「新しいホワイトカラー層」から関心の高い、大事な争点だと考えております(参考:日本文化の論点 ちくま新書)。

ハフポストのブロガーの方たちも、このクール・ジャパンについてはさまざまな視点から論じられています。中村伊知哉教授は、「クールジャパン、政権の覚悟を問う」の中で文化、知財、ITに関する政策を束ねた「文化省」の設置について言及しています。そして、その意見を受けつつ、井上泰浩教授からは「アニメやkawaiiだけがクールジャパンじゃない――総合力、そして伝えること」の中で、「人びとが認識して魅力的だと感じてくれない限り「クール」には昇華しない。つまり、伝えなければいけないのです。国家戦略として政治家の取り組むべき第1の点でしょう」というメッセージをいただいております。

そして、日本国内向けのメッセージとしては、僧侶である松本紹圭さんからのご寄稿「自分の生きる「道」を知り、しっかり歩む人こそが、ニッポンをもっとクールにしていく」の中で、「ニッポンをもっとクールにする。そのためには、何を差し置いても、まず「人」です。新しいニッポンを引っ張っていくリーダーを育てていかなくてはなりません」と、ありました。これもまた、その通りだと思います。

私とほぼ同じ意見としては、「クールジャパン政策をどう扱うか、投票前に少し考えてみる」というブログポストを境真良さんがありました。記事の最後でこう問いかけられてます。「クールジャパン政策から考えることは一つだ。日本を一つの理想に向かわせようという政治家、政党を選ぶのか、日本を我々にとって住みやすく楽しい社会にしようという政治家、政党を選ぶのか、ということである」。私は後者の立場を取ります。

サブカルチャーも含めたこれまでの日本文化を今一度海外に発信、伝えるための国家戦略が今後、ますます必要になるでしょう。文化とは単なるモノではなく、人が担うものです。それを育てるための人材や環境も必要になるでしょう。

だからこそ、守るべきものは守る。その点でいえば、特に児童ポルノ禁止法改正案は重要です。私たちは他のメディアに先駆けて、キーパーソンへのインタビューも行いました。

また、この法案について注目すべきブログポストは下記になります。

あわせて、下記のネット党首討論会の記事をご覧下さい。

私は、「クールジャパン」の源泉となるクリエイター活動の萎縮を招く条例その他には反対です。日本独自の文化を守ることを推し進めるべきだと考えますが、ただ、それは国が主体である必要はありません。国は多種多様な「クールジャパン」と呼ばれるような日本のカルチャーを守ることを前提に、グローバルに打ち出す戦術、そして国の宝を産み出す戦術を民間に対してサポートすべきだと考えています。

あなたの「クールジャパン」に関わる意見をお聞かせ下さい。

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