自民党・中原八一参院議員の「川口順子環境委員長解任決議案に対する反対討論」全文

今朝の新聞、マスコミ報道は、川口順子参院環境委員長の解任決議の野党の対応を批判するものが多かった。自由民主党の中原八一参院議員の参院本会議での「川口順子環境委員長解任決議案に対する反対討論」全文を紹介します。これは必読です。

参院は9日午前の本会議で、民主党など野党7党が共同提出した川口順子(よりこ)参院環境委員長(自民)の解任決議を野党の賛成多数で可決した。常任委員長の解任は衆参両院を通じて初めて。決議は、川口氏が中国への出張期間を延長したために環境委が流会となったことを問題とし、民主党など野党7党が7日に共同提出した。(読売新聞)

今朝の新聞、マスコミ報道は、川口順子参院環境委員長の解任決議の野党の対応を批判するものが多かった。

以下は、自由民主党の中原八一参院議員の参院本会議での「川口順子環境委員長解任決議案に対する反対討論」全文です。

これは必読です。

自由民主党・無所属の会の中原八一です。ただいま議題となりました川口順子環境委員長の解任決議案は、全く理解に苦しむものであり、自由民主党・無所属の会と公明党を代表して、断固として反対の討論を行います。

1.滞在延長の意義について

川口委員長は、去る4月23日から24日の中国滞在日程を延長して、楊潔篪(よう・けつち)国務委員(前外交部長)及び、政権に大きな影響力を持つシンクタンク幹部と会談を行いました。これら要人との会談には、滞在を延長すべき理由として、国益に貢献する十分な、大きな意義があったと考えます。

これらの会談は、タイとパキスタンの要人と、米国の学識者も参加して行われましたが、もし川口委員長が参加しなければ、日本人の参加者はゼロという状況でした。特にシンクタンク幹部との会談では、尖閣問題をはじめとする日中関係が大きなテーマとなりましたが、その状況で川口委員長がいなければ、中国側が一方的に自国の立場のみを主張する恐れが高かったのです。

また、楊国務委員は、今年3月に外交部長から国務委員に昇格した後、日本人と会談したのは今回が初めてです。川口委員長は、環境大臣、外務大臣を歴任され、誰もが認める深い見識をお持ちです。その経験と見識があってこそ、この会談が成功したのです。

野党の皆様は、素直に、国民目線で考えてみるべきです。川口委員長にしかできない中国要人との会談と、代理が可能な、委員会での政府からの5分間の趣旨説明聴取と、どちらを優先すべきだったのでしょうか。どのような判断が、我が国の国益に沿ったものでしょうか。川口委員長は要人と会談し、委員会は委員長代理が開催する、というのが、当然の判断ではありませんか。

今回の滞在延長は、単に川口委員長個人の判断ではなく、参議院自民党としての判断であります。仮に国会で野党に批判されることがあったとしても、我が国の国益を守ることを優先すべきである。そういう信念に基づいた、参議院自民党としての判断であることを、申し上げさせて頂きます。

2.延長申請に対する野党の対応について

また、今回、川口委員長は、手続を無視したわけでもありません。延長を願い出たにも関わらず、野党の了解が得られなかったのです。我が党は議院運営委員会において合意が得られるよう最大限努力しましたが、許可するしないという判断の前にタイムリミットが来て、25日12時10分に予定されていた環境委員会までに帰国することが、物理的に不可能だったのです。

今回の会談日程は、23日に川口委員長が渡航した時点では未確定でした。24日の朝に初めて、会談の日程の具体的内容が明らかになり、中でも最も重要な楊国務委員との会談が25日になることが確定したのです。その時点で、滞在の延長を申請したのですから、川口委員長は、取るべき手続は取ったのです。野党が延長を承認しなかったことこそが、今回の問題の原因です。

従って、今回の渡航は、結果的に25日まで滞在しなければ、大きな目的が達成できなくなりました。要人に会い、外交上の重要な問題を話し合おうとしたのに、会わずに帰ってくるという選択が、果たしてあったでしょうか。しかも、尖閣問題などの日中関係がテーマになるとわかっている状況です。もし川口委員長が帰ってしまえば、日本側が都合の悪い議論を避けて、逃げて帰ったとみられます。会談の場で中国側がそうした解釈を他国に示しても、川口委員長がそこにいなければ、反論する機会もないのです。

確かに、急な日程変更であった点は、野党の皆様にお詫びする必要があります。しかし、24日午前には延長を申し出ているのですから、野党側にも検討の時間はあったはずです。一体野党はなぜ、延長を了承しなかったのでしょうか。誠に遺憾です。野党側に、延長を承認しなかった合理的な理由があるとは、私には到底思えません。野党にこそ、理由を説明する義務があるのではないでしょうか。

委員長不在の場合は、委員長代理が委員会を開催できるのに、そうさせなかった。これは、委員会を開催することよりも、野党は委員長にルール違反を犯させ、批判することが目的だったと言われても、仕方ないのではありませんか。

そうだとすれば、今回の野党の行動は、委員会の開催を妨害しているのに等しい行為です。国会審議の妨害だけを目的とした、政争のための政争ではありませんか。審議をご覧の国民の皆様にも、こうした野党の行動の本質を、しっかりと考えて頂きたいと思います。

3.国会運営に対する野党の対応について

環境委員会に限らず、他の委員会でも、円滑な国会運営に対する野党側の妨害は、目に余ります。衆議院を全会一致で通過した法案でさえも、参議院では審議が開けていないのです。もっと国会を重視しろ、というのが今回の決議の趣旨かもしれませんが、国会を軽視しているのは野党の方でありませんか。

今回の滞在延長については、川口委員長の弁明書と、参議院自民党の溝手幹事長の顛末書を提出しています。しかし、野党は、弁明書・顛末書を検討する前に、解任決議案の提出を検討していました。事情を検討する前に解任決議案を提出しようというのは、全く本末転倒です。裁判で言えば、審理をしないで判決を下そうというようなものです。まさに、解任決議ありきの対応です。解任決議を提出し、国会審議を妨害する、これこそが野党の目的だとしか考えられません。

4.二元外交との批判について

なお、野党の中には、今回の川口委員長の会談を、二元外交だとして批判する声もあると聞きます。もちろん、そのような意見は、野党の中でも少数だとは思います。良識ある皆様はご存じのとおり、議員が行う外交にも、多面的な情報収集や情報交換という面で、政府が行う外交とは別の意義があることは明らかです。また当然のことですが、川口委員長は、今回の会談の内容について、総理はじめ関係の閣僚にご報告しております。

もし、「議員が外交をすること自体が二元外交であり、けしからん」という人がいるのであれば、全くナンセンスです。それなら、野党議員が海外に行って要人に会うことなど、到底許されないことになりますが、それで良いのでしょうか。

今回の川口委員長の会談が二元外交だと主張する方々は、そもそも外交とは何なのか、わかっておられないようです。そういう方々が政権を取って、外交をやったから失敗したのです。それは事実が証明しているではありませんか。

二元外交というのは、鳩山元総理がイランに行って相手側に利用されたり、中井元拉致問題担当大臣が北朝鮮と接触したり、そうやって相手に付け入る隙を与える場合に問題になるのです。今回の川口委員長の議員外交は、そのような愚かな二元外交とは全く性質の違うものであるということを、はっきり申し上げておきたいと思います。

シンクタンクとの会談終了後、同席したハーバード大学のデビッド・ケネディ教授からは、「川口委員長は、日本の立場を十分に守ったし、なおかつ、建設的に解決策についても議論し、よい会談だった」とコメントがあったと聞いており、川口委員長が滞在を延長して、会談を行ったことは、十分に国益に資するものであったと確信しております。

5.最後に

我々の考え方と、野党の考え方と、どちらが正しいのかは、国民の皆様がお決めになることです。国益のために滞在を延長すべきと判断した自民党が悪いのか、延長を認めなかった野党が悪いのか。最終的には、選挙における民意に判断して頂くしかありません。

しかし、議場の議員の皆様も、お一人お一人がお考えください。

もし皆様が、今回の川口委員長と同じ状況に立たされたならば、本当に、委員会の趣旨説明聴取のために帰ってこられますか。本当に、その方が日本の国益のためになるとお考えでしょうか。ぜひ素直に考えてみて下さい。

もし自信を持って「私なら帰って来る」と言える人がいるならば、今回の解任決議案に賛成して下さい。しかし、賛成すれば、その方の国益についての認識、外交に関する認識がどのようなものか、天下国家に知れ渡り、永遠に記録が残るでしょう。

またもし、自分なら川口委員長と同じ判断をしたいけれども、今回は党議拘束によって、やむを得ず、解任決議に賛成しなければいけないとお考えの方がいるならば、国益と、党議拘束と、どちらが大事か、よく考えて頂きたいと思います。

まさに今回の川口委員長のように、国益とルールとを天秤にかけて、国益の方を取るという決断ができる政治家なのか、あるいは、それができない政治家なのか。政治家としての資質が問われています。

この審議をご覧の国民の皆様も、お一人お一人が、考えてみて下さい。あなたなら、どうしますか。国益に背を向けて帰ってくる、そのような政治家を、お望みでしょうか。

誰が国益のために青票を投じ、また、党議拘束に縛られて白票を投じるのが誰であるのか。

今回の解任決議案の投票結果は、まさに、各議員の政治家としての資質を示すものであります。そして、それが来る参議院選挙において、今後、国民が各議員を評価する一つの大きな判断基準となるに違いありません。

ぜひ、ここにおられる皆様、お一人お一人の責任で、賢明なご判断をお願い致します。以上を申し上げて、私の反対討論を終わります。

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この記事は たむたむの自民党VS民主党 の5月9日の記事より転載しました。

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