参議院安全保障法制特委など

たびたび記していますが、私は過去「徴兵制は合憲である」と申し上げたことは一度もありません。
Graduates of the National Defense Academy wearing uniforms of the Self-Defense Forces attend their cadet appointment ceremony in Yokosuka, Kanagawa Prefecture on March 22, 2015. A total of 492 students graduated from the school this year. AFP PHOTO / KAZUHIRO NOGI (Photo credit should read KAZUHIRO NOGI/AFP/Getty Images)
Graduates of the National Defense Academy wearing uniforms of the Self-Defense Forces attend their cadet appointment ceremony in Yokosuka, Kanagawa Prefecture on March 22, 2015. A total of 492 students graduated from the school this year. AFP PHOTO / KAZUHIRO NOGI (Photo credit should read KAZUHIRO NOGI/AFP/Getty Images)
KAZUHIRO NOGI via Getty Images

石破 茂 です。

29日水曜日、参議院安全保障法制特別委員会に呼ばれて答弁をする機会がありました。

反対派定番の「集団的自衛権の解釈が変更されるなら、いずれ徴兵制も採用になるのではないか」という趣旨のご質問で、衆議院では民主党の寺田学議員が、参議院では社民党の吉田党首がこれを取り上げられ、過去の経緯からか私が答弁に立つことになりました。

この答えは既に昭和55年、56年の政府答弁書ですべて明らかです。政府は稲葉誠一衆議院議員、森清衆議院議員の質問書に対し、以下のように述べています。

「一般に徴兵制度とは、国民として兵役に服する義務を強制的に負わせる国民皆兵制度であって、軍隊を常設し、これに要する兵員を毎年徴集し、一定期間訓練して新陳交代させ、戦時編成の要員として備えるものと理解している」

「このような徴兵制度は、わが憲法の秩序の下では、社会の構成員が社会生活を営むについて、公共の福祉に照らし当然に負担すべきものとして社会的に認められるようなものではないのに、兵役といわれる役務の提供を義務として課せられるという点にその本質があり、平時であると有事であるとを問わず、憲法第13条、第18条などの規定の趣旨からみて許容されるものではないと考えている」 (昭和55年8月15日政府答弁書)

「...憲法18条に規定する『その意に反する苦役』とは、その性質が苛酷なるものとか苦痛を伴うもののみに限られず、広く本人の意思に反して強制される役務をいうものと解してしている。」

「政府は徴兵制度によって一定の役務に強制的に従事させることが憲法18条に規定する『奴隷的拘束』に当たるとは毛頭考えていない。政府が徴兵制度を違憲とする論拠の一つとして憲法18条を引用しているのは、徴兵制度によって一定の役務に従事することが本人の意思に反して強制されるものであることに着目して...『その意に反する苦役』に当たると考えているからである」 (昭和56年3月10日政府答弁書)

このように、憲法第13条のみならず第18条を用いたことで、もはや解釈変更の余地は無いと言わねばなりません。にもかかわらず、一部反対のご主張をお持ちの方々が「徴兵制復活の危惧」を唱えられるのは、過去の答弁書をご存じないか、理解できないか、若しくはためにする謬説を意図的に展開しておられるか、そのいずれかではないでしょうか。

なお、たびたび記していますが、私は過去「徴兵制は合憲である」と申し上げたことは一度もありません。「『意に反した奴隷的苦役』であるので憲法違反、とすることには違和感を覚える」と何度か申し上げたことはあります。政府が55年答弁書で「政府としてはそのようなことは毛頭考えていない」と述べているのはまさしくその趣旨かと思います。

今週は岡山での全国知事会、東京での全国都道府県議長会など地方の皆様との意見交換の機会が多い一週間でした。

講演はどんなに長くても90分、短ければ30分のこともあり、とても全部を語ることはできませんので、資料作りや参考文献紹介にはスタッフ諸兄姉が大変な努力をしてくれています。講演終了後にどれだけの方が目を通してくださっているのかわかりませんが、一人でも多くの方が読んで下さることを願うばかりです。

既に何回かご紹介したかもしれませんが「離島発 生き残るための10の戦略」(山内道雄・島根県海士町長著・NHK出版)、「ローマ法王に米を食べさせた男」(高野誠鮮著・講談社新書)、「地方消滅と東京老化」(増田寛也・河合雅司著・ビジネス社)、「新・観光立国論」(デービッド・アトキンソン著・東洋経済)は、地方創生を語る上で好適の書と思います。

藻谷浩介氏の「里山資本主義」、富山和彦氏の「なぜローカル経済から日本は甦るのか」等の一連の著作もお勧めであることは言うまでもありません。

週末は本日31日金曜日が長坂康正代議士の政経セミナーにて講演、自民党県連役員との懇談会(名古屋市)。

8月1日土曜日が田中英之代議士の「共に語る集い」で講演(京都市)。

2日日曜日は花貫ほおずき生産者・都市農村交流事業参加児童との懇談、高萩市役所訪問、駅前商店街視察(茨城県高萩市)、北茨城市長・議長との懇談会、市民病院視察、近隣首長・議長との懇談会、茨城県北地域活性化研究会で講演(茨城県北茨城市)という日程です。

もう8月、まだまだ酷暑の日々が続きます。皆様ご自愛のうえ、ご健勝にてお過ごしくださいませ。

(2015年7月31日「石破茂オフィシャルブログ」より転載)

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