民主主義フォーラムなど

主権者意識を持ち、自己の意思によって投票することがなければ、民主主義は本来の機能を発揮し得ません。

石破 茂 です。

20日水曜日に特定非営利法人言論NPO主催による「代議制民主主義は信頼を回復できるか」と題するフォーラムで、フランスの高名な政治学者ドミニク・レニエ氏(パリ政治学院教授)と対談をする機会がありました。

多くの人が参画し、かつ「自分が為政者であればどうするか」という主権者意識を持ち、他者から強制されるのではなく自己の意思によって投票することがなければ、民主主義は本来の機能を発揮し得ません。同時に、言論においてその自由が保障され、高い質を保ち、権力との一体性を排さなくてはなりません。

それでなくとも新聞の購読者が減っている中、主張の異なる二紙を併読する人は稀なのであり、どちらの立場に立つにせよ、反対の意見も併せて紹介してもらいたいものです。

「民主主義は最悪の政治制度である。今まで存在したあらゆる政治制度を除けば」というチャーチルの言葉はまさしくその通りだと改めて思います。

先日の韓国におけるフォーラムでは、北朝鮮に対する見方が各国によって大きく異なることを再認識させられました。韓国の政府要人からは「北と南が融和することによって、韓国は初めて島国から脱して(今の分断された状況は『韓国は島国である』という捉え方をされているようです)、ユーラシア大陸の一員となれる」との思いが述べられ、アメリカのシンクタンクの研究者からは「北朝鮮は約束を履行しない国である」との強い警戒心と憤りが述べられました。「体制の保証」「安全の保障」をどのように誰がなし得るのか、実効性の担保のために国連がそれに果たすべき役割とは何か、いくつかの示唆を受けたフォーラムでした。

北方領土に米軍基地を配置しないことは可能か、と前回指摘しましたところ、東西ドイツ統一の際にアメリカ、ロシア、フランス、英国なども関与して旧東ドイツに外国の基地を置かない旨の協定が締結されているとのご指摘を頂きました。集団的自衛権が憲法上ごく限定的にしか行使できない代わりに米軍に対する基地提供を条約上の義務として負う我が国とは事情がかなり異なるようにも思われますが、よく研究する要があるものと思います。

週末は滋賀県、千葉県において講演、諸会合への出席という日程となっております。

皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

(2018年11月22日「石破茂オフィシャルブログ」より転載)

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