石破茂です。
舛添知事が辞職を表明し、一連の混乱はやっと収束することになりましたが、推薦した者として申し訳なく思うとともに、何とも後味の悪い、やりきれなさを感じました。
3年前の5月頃のこと。当時参議院議員として「新党改革」の代表を務めていた舛添氏から、七月に迫った参院選挙を控えて今後についての相談を受け、「しばらく政界から身を退いて充電をしたい」との言葉を聞いた際、次期参院選で彼が無所属として何処かの選挙区から出た場合には、当該選挙区で与党の議席が減るであろうことを党の幹事長(選挙の責任者)として危惧していた私は、とても有り難く思ったことでした。
小なりとはいえ政党の代表を務めていれば、様々な懊悩があったのでしょう。しばらく充電したい、との舛添氏の気持ちも理解できましたし、「自民党に迷惑はかけられない」という言葉をそのまま有り難く受け取りました。その時はまさか猪瀬知事が辞任することになるとは夢にも思っていませんでした。
猪瀬氏辞任後、後継を模索していた当時、都民の多くが支持しているのが舛添氏であるとの世論調査の結果がありました。
一度除名された者は党本部公認・推薦の対象とならないとの内規もあって、舛添氏については東京都連推薦という形をとりました。
彼が寒風吹きすさぶ中での街頭演説で「伊豆や小笠原などの島嶼部や三多摩など、東京でも十分に光の当たっていない地域を大切にしたい」「東京で生まれ育った人が東京で一生を終えることが出来るようにしたい」と訴えた言葉には真実を感じましたし、その時は確かにそうだったのかもしれません。その気持ちをそのまま持ち続けて欲しかった、と残念でなりません。
昭和32年、亡父が建設省事務次官在任時に、自民党から安井東京都知事後継を打診されたことがあったそうです。そのとき亡父は、「東京都知事にはならないが、請われれば鳥取県知事になるつもりはある。小さくとも、貧しくとも鳥取は我が県である」と言ったそうです。
その後、鳥取県知事を4期務めましたが、365日、24時間、ひたすら鳥取県のために尽くしていた印象があります。もちろん首都大東京は様々な事情が異なるのでしょうし、自分の父親のことをそのように語るべきではないのかもしれませんが、首長というのはそんなものなのだと思います。
唐突な選挙では、候補者の人柄や識見を有権者が十分に知る期間が無いため、政党としては「とにかく勝てる人を」という選択になりがちなのは事実です。
そもそもそれが間違っているのだ、政党は「勝てる人」より「その任に相応しい人」を推薦すべきだ、というご批判は当然ありましょうが、そんな人はまず当選しないのも現実です。責任ある公職に就いた者は、常に後継を育てることに配意すべきなのでしょう。
アメリカの大統領選挙のやり方がすべて良いとも思えませんが、少なくとも予備選に長い期間を費やし、篩にかけることによって、「こんな人とは思わなかった」という危険性を軽減(あくまで軽減ですが)出来るのかもしれません。
政党助成金は、「資産家、世襲、高級官僚、タレントでなくとも、見識と熱意のある人なら政党の支援で当選出来る」ことを目指して、政党本位の小選挙区制とセットで導入されたものであり、制度そのものは今でも有用と思いますが、助成金目当ての政党づくりの横行を阻止し、不適切に使用されないための工夫は早急に必要です。
いずれにせよ、政治は結果責任である以上、都民の皆様に多大のご迷惑をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。
中国人民解放軍海軍艦船の動向は予断を許しませんが、世論はこの問題には冷静のように思われます。
国家主権が外国勢力に侵害された際に警察権で対応することの妥当性につき、引き続き危機感を覚えずにはいられません。
週末は、本日金曜日が原田けんじ衆議院議員を励ます会(18時半・リーガロイヤルホテル大阪)。
18日土曜日が鳥取県内自民党参議院議員選挙に向けての大会(午前10時・皆生グランドホテル天水、午後1時・福祉保健センターなわ)、鳥取県商工会青年部・女性部連合会創立50周年記念大会で講演(午後3時・ホテルニューオータニ鳥取)、自民党鳥取県連街頭演説会(午後5時・JAいなば郡家支店。以降鳥取市河原町内9か所)。
19日日曜日は岡山県経済団体との懇談昼食会(正午・ホテルグランヴィア岡山)、岡山県高校生会議(13時20分・岡山市民会館)、岡山市西大寺地区有志との懇談会(14時・岡山市東区西大寺)、小野田きみ参議院議員候補予定者時局講演会で講演(16時30分・岡山国際ホテル)、小野田候補予定者街頭演説会(18時・岡山駅前)、という日程です。
今週は、選挙を控えた時期と政府部内の人事異動が重なったことによる多くの内部事務と、神戸市や鈴鹿市での講演や街頭活動などが錯綜して、慌ただしいままに終わった1週間でした。
来週からは参院選、心して臨んでまいります。皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。
(2016年6月17日「石破茂オフィシャルブログ」より転載)