農業改革、与党協議など

あまり大きく報じられてはいませんが、農業団体の改革をめぐって自民党内では様々な議論の応酬が激しくなっています。

石破 茂 です。

あまり大きく報じられてはいませんが、農業団体の改革をめぐって自民党内では様々な議論の応酬が激しくなっています。

5月14日に政府の規制改革会議のワーキンググループが提示した「農業改革に関する意見」の中に全農の株式会社化、中央会制度の廃止、信用・共済事業の廃止などが盛り込まれていたため、「総合農協の解体である」「実態を無視した急進的な提言だ」などとの批判がJAグループから一斉に挙がり、自民党の地方組織まで動員して大々的な反対要請運動が展開されています。

5年前、麻生内閣で農水大臣を務めていた時、米政策の転換と農業団体組織の改革を掲げ、「史上最低の農林水産大臣だ」「大臣はしばしば交代するが自民党農林族は永遠だ」などと当時の農林関係議員から猛反発を受けた時のことが思い出されます。

様々な意見がありますが、そもそも農協のあり方を規定した農業協同組合法第1条には、「農業者の協同組織の発達を促進することにより、農業生産力の増大を図る」と定められています。この法目的はどこまで達成されたのかと言えば、農協関係者を含めてすべての人が否と答えるでしょう。農地は減り、耕作放棄地は増加の一途を辿り、農業者の高齢化に歯止めはかかることなく、後継者はおらず、農業所得は下がる一方です。農業・農村の持続可能性そのものが失われつつあるときに、手段と目的が整合せず、法目的が達成されていないあり方を見直すのは当然のことであり、今を逃してはなりません。

産業政策としての農政と地域政策としての農政は分離すべきであり、実質的に行政の一翼を担ってきた農協は、それに応じて「専業農家を中心とする農業者を主体とした本来の農協」と「地域の維持発展を目的とした地域組合」に分化するべきだと私は今でも思っております。この議論は全中や中央会の存続の是非などという問題に矮小化されるべきでは決してありません。

このような問題意識から、農水相在任中に「地域マネジメントを目的とする協同組合」を目指した「地域マネジメント法」の立案に着手したのですが、政権交代によってこれが一顧だにされることなく今日を迎えたことは、私にとって大きな痛恨事です。

来週中には結論を出すべく、関係議員が懸命に取り組んでいます。誰でも参加できるいわゆる「平場(ひらば)」の会議では、農協の手による原稿をそのまま読み上げる議員も散見されるようですが、最後は必ず意見の一致をみることが出来ると確信しています。

今日の事態は農協が悪いのではありません。むしろ農政を進めてきた自民党の責任なのであり、これを厳しく自覚するからこそ、改革は自民党の手で成し遂げなければならないのです。

安全保障法制についての与党協議も、ようやく議論が前進してきた感じです。開催の時間を延ばし、頻度を上げて、今国会中の合意を目指して努力を続けなくてはなりません。

「公明党の引き延ばし戦術」などと言う人もありますが、単に引き延ばすだけであれば何の勉強もせずに、ただ絶対反対を唱えているのが一番簡単なはずです。

会議に参加している公明党議員の議論の質の高さには、長年この問題を手掛けてきた私でも大きく頷かざるを得ない場面が多々あり、ここでの納得が得られなければ問題解決に向けた前進はないと思われます。かつて精読した防衛法制のテキストをもう一度読み返さなくてはならない必要性を痛感してはいるのですが、なかなかその時間が取れないのが目下最大の悩みです。

さる一日日曜日、中野駅前における中野区長選挙の応援演説と国分寺駅前での全国一斉街頭演説との間に少しだけ時間がありましたので、以前から行きたかった「中野ブロードウェイ」を覗いて参りました。あちらこちらに店の散らばった秋葉原とはまた違った趣の、昭和の玩具箱ビルのような存在で、とても楽しい一時間を過ごしました。

古いミニカーなどの玩具や子供の頃に夢中で読んだ漫画雑誌、映画やコンサートのポスター、パンフレット、70年代アイドルの写真集などなど、興味津々、大好きなもの満載で、いつの日にかまたゆっくりと行ってみたいと思ったことでした。

東京は昨日から梅雨入り。昨日、今日と冷たい雨が降り続いていますが、これが明ければもう真夏。時の経つ速さに茫然とするとともに、焦燥感がつのります。

週末は8日日曜日に前自民党徳島県連会長・故竹内資治氏の葬儀出席のため徳島市に出張致します。

皆様お元気でお過ごしくださいませ。

(2014年6月6日「石破茂ブログ」より転載)

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