参議院の鳥取・島根、徳島・高知の合区を含む「10増10減」案が成立の見込みとなってきました。

石破 茂 です。

参議院の鳥取・島根、徳島・高知の合区を含む「10増10減」案が成立の見込みとなってきました。参議院で自民党単独では過半数を有しておらず、経緯の詳細は承知していませんが、公明党との共同歩調がとれなかったという事情の下では我が党にとって緊急避難的措置と位置付ける他はありません。あくまで緊急避難である以上、違法性阻却事由的なものとして「各県から参議院議員が一名必ず確保されること」「来夏の参議院選挙において自民党が『参議院は地域代表ならびに職能代表によって構成される』的な内容の憲法改正案を公約に掲げる」ことが必要であると考えます。

選挙区と比例区の組み合わせ、というほとんど同じ選挙制度で選出され、一部を除きこれまたほとんど同じ権能を有する二つの院(衆議院・参議院)が存在することが、二院制の妙味を発揮することにとって相応しくない場合もあり、今回の問題を契機として今こそこれに取り組まなくては、今後「合区の連鎖」が起こることは確実です。

一票の格差の問題は、地方分権と、政党がその国民に対する責任を明定する政党法の制定と三点セットのはずであり、20年以上前からこれを訴えてきたのですが、未だに形になっていません。小選挙区制も比例代表制も、所属議員に対する政党中枢の力を極めて強いものとする以上、政党法の制定により健全な運営を担保しなくてはならないと考えています。政党助成金を受け取る、という権利だけを政党が有することはあってはならず、「議員の定数変更」という具体の形になるまでは誰も振り向きもしなかった地味ではあるが重要なこの問題に何としても答えを出したいと思っております。

前回の「強制労働」について記したことに充分ではない点がありましたので、一部補足させていただきます。「強制労働に関する条約」(1930年。日本は1932年批准)の中で「強制労働」に含まれないものの例として、第2条第2項(a)「純然たる軍事的性質の作業に対し強制兵役法により強制せらるる労務」などを挙げましたが、「など」としたのは本条第2項(d)「緊急の場合即ち戦争の場合又は火災、洪水、飢饉、地震、猛烈なる流行病、若しくは家畜流行病、獣類、虫類若しくは植物の害物の侵入の如き災厄若しくはその虞ある場合及び一般に住民の全部または一部の生存または幸福を危殆ならしむる一切の事情において強要せらるる労務」のことを指します。今回議論となっている徴用が「純然たる軍事的性質の作業」でないことは明らかで、正確を欠く書き方であったことをお詫び致します。それにしても、昔の条約文を正確に読むのは相当に難儀な作業ですね。

週末は25日土曜日が小浜温泉バイナリー発電所視察、地元市長、議員との懇談会(雲仙市)、八斗木白ネギ共同育苗施設視察(国見町)、雲仙市地方創生大会にて講演(雲仙市)、長崎大学リレー講座にて講演(長崎市)、26日日曜日が「時事放談」出演(午前6時・収録・TBS系列)、新日本海新聞社地方創生座談会、常田元農林水産副大臣叙勲祝賀会(以上鳥取市)、佐藤ゆかり衆議院議員激励会で講演(大阪市)という日程です。

酷暑の日々が続きます。皆様ご自愛くださいませ。

(2015年7月25日「石破茂オフィシャルブログ」より転載)

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