注目すべきプロジェクトは、地域経済分析システム(RESAS)の活用方法をワークショップ形で展開する取り組みです。

石破 茂 です。

14日に閣議決定された70年談話については、様々な立場から多くのご意見があるように見受けられます。

私も閣議において花押を記し、この談話について内閣の一員として連帯して責任を負う立場にあり、「道義的責任と政治的責任」「大日本帝国と日本国の連続性」「国家と国民」等々、多々考える機会となりました。

国内外の様々な立場に配慮したうえで、日本国として熟慮を重ねた談話であることは間違いありません。

日中戦争(最後通牒も宣戦布告も発せられていないため、「事変」と呼称することもあります)から太平洋戦争に至るまで、戦争を体験した方々がなおご存命のうちに、自分なりの解をも見出し、次の世代に引き継ぎたいと願っています。

最近、本のご紹介が多くて恐縮なのですが、「日本人はなぜ終戦の日付をまちがえたのか-8月15日と9月2日のはかりしれない断層」(色摩力夫著、黙出版)は、その意味において興味深い論考です。元駐チリ大使であった色摩氏の著作には「国際連合という神話」(PHP新書)など、示唆に富んだものが多くあります。

今週当初はお盆が土日と重なったこともあって、永田町・霞が関はやや閑散とした感じで、そのぶん現在進行中のプロジェクトについて状況を聴く時間が出来ました。

その中でも注目すべきは、地域経済分析システム(RESAS)の活用方法をワークショップの形で各地域において展開する取り組みです。

さる8月11日に第一回を福岡県うきは市で開催したのですが、報告を聞くと大変に有意義であったとのこと、努力してくれたまち・ひと・しごと創生本部事務局の職員諸兄姉にも感謝したいと思います。

地方創生、と言ってみても、それぞれの自治体に「ヒト・カネ・モノ」がどこから入り、どこへ出てゆくのか、それはどんなヒトであり、カネであり、モノであるのか、それを把握し分析しなければ出てくる政策は単に「勘と経験と思い込み」によるものになる危険性が高いと言わなくてはなりません。

今までは行政しか持っていなかったこの種の情報を、広く一般の市民の皆様にも提供することにより、様々な気付きが生まれ、有効な政策を展開することに大きく資すると考えています。

9月15日には「地方創生☆RESASフォーラム2015」を開催し(午後1時・日経ホール・東京大手町)、今後このワークショップを全国各地で展開して、その映像も広く提供していく予定です。

自治体の職員はもとより、地域の主権者であり生活者である住民の方々がこれを活用し、様々な政策提言をして下さることによって、従来の「お任せ民主主義」からの転換が図られることを期待しています。

中央政府から発信されるこのような情報を見ることもなく、単に「中央からのカネが足りない」とだけ口にする自治体幹部も問題ですが、「首長が悪い、議員が悪い」とばかり言っている住民も「誰がそのような人を選んだのか」を考えてみる必要があると思います。主権者の責任、とはそういうものではないのでしょうか。

全国47都道府県、1718市町村、23東京特別区、それぞれが総合戦略作りを進めていますが、静岡県牧之原市の進捗状況は最も進んだものの一つではないかと思っています。また、金融機関では多摩信用金庫(東京都立川市)が極めて先駆的です。これらの様子はそれぞれホームページなどでご覧いただけます。

ここにきて、地方創生政策について「新型交付金の額が少ないことに地方には失望感が広がっている」的な報道が、某中央紙を中心に散見されます。

政治部(政局部?)的にはそのように報道したい何らかの意図があるのでしょうが、状況を真摯に受け止め、地道に真剣に取り組んでいる地域や企業も多くある中、「永田町的」な観点からだけのものの見方には、いつもながら一抹の哀しさを感じると共に、歎息を禁じえません。

週末は、本日21日金曜日が岐阜県経済同友会創立30周年記念講演会で講演、岐阜県政財界の方々との懇談会(岐阜市)。

22日土曜日が多治見市地域産業ブランド化の取り組み視察(多治見市)、全国町村会「都市・農村共生社会創造全国リレーシンポジウム」で挨拶(名古屋市)、中国地方建設青年交流会で講演(広島市)。

23日日曜日が小坂憲次参院議員決算委員長就任祝賀会で講演(長野市)、中谷真一衆院議員を囲む会で講演(甲府市)、という日程です。

なんだかまるで選挙中の遊説のような行程で、夏休みも無いままに平常業務が慌ただしく再開することになってしまいました。

早朝、議員宿舎の中庭に出てみると、つくつく法師の鳴き声が聞こえるようになっていました。季節は確実に秋に向かいつつありますね。

皆様お元気でお過ごしくださいませ。

(2015年8月21日「石破茂オフィシャルブログ」より転載)

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