石破 茂 です。
「一億総活躍」政策のもと、加藤勝信氏が担当相に就任されました。
私なりに考えると、これは「みんなもっと働け!」というようなことではなく、子供たちから高齢者の方々まで、「このように生きたい」という思いがあるはずで(中には「一生遊んで暮らしたい」という方もおられるのかも知れませんが)、それを阻んでいる要因をできるだけ取り除き、自己実現を図る環境を醸成する、というようなことではないでしょうか。
そう書いてしまえば簡単なことですが、具体論として、たとえば「介護離職ゼロ」を目指す場合、年間10万人ともいわれる介護離職者は、どのような年代・性別で、どのような理由で、どのような制度の不備があるのか、それぞれの地域において実態を正確に把握した上でなければ政策たり得ません。「施設から在宅へ」という路線との整合性も問われますし、労働法制の見直しも不可欠となるでしょう。
GDP600兆円をいつまでに達成するのか、その主たる要素である「労働力の増加」「生産設備の増加」「労働技術の向上」をどの分野においてどのように図るのか、具体論を示すこともまた必要となります。
報道は例によって、「権限争いが予想される」「大臣の指導力が問われる」などといった書き方が主体ですが、各省庁の政策にどのように整合性と優先度を確保し、国民に分かりやすく説明し、実行に移すかが重要なのであって、野党時代の政務調査会においても立派な仕事をして頂いた加藤大臣の豊富な見識に大きな期待をしております。
内閣改造に伴い、地方創生担当においては、平将明副大臣、小泉進次郎政務官が退任され、福岡資麿参院議員、牧島かれん衆院議員が着任されました。
平副大臣、小泉政務官には本当に良い仕事をして頂いたと心より感謝しております。お二人とも、今後の日本を担う非常に優れた人材であり、一緒に仕事ができたことを心より幸せに思います。福岡副大臣、牧島政務官も若い逸材ですので、今後を楽しみにしています。なお、豊富な知識と緻密な構想力を持つ伊藤達也補佐官には、引き続きお支え頂くようお願いを致しました。
TPPが大筋合意致しました。
各地域のそれぞれの産業にどのような影響が出るのか、政府として早急に実態を把握し、この合意が日本にとってプラスとなるよう、最大限の努力をしていかなくてはなりません。
22年前のガット・ウルグアイラウンド合意の際も国会で何度か質疑に立ったのですが、「UR対策予算6兆円」を謳いながらも実際は土地改良長期計画の前倒しがその多くを占め、KPIの設定によるコストの減少や付加価値の増大などが徹底して図られたというよりも、「温泉ランド」のようなバラマキ的色彩もかなり見られたように思います。TPP合意を奇貨として再びこのようなことが行われてしまえば、今度こそ日本農業は壊滅的な打撃を受けることになると危惧しております。
過去の反省に基づく、将来の展望を明示した政策の樹立に向け、地方創生の観点からも努めなくてはなりません。
週末は、17日土曜日が自衛隊殉職隊員追悼式(午前10時・防衛省)、自民党とちぎ未来塾にて講演(午後1時半・自民党本部)。
18日日曜日は古川禎久代議士、宮崎県知事、都城市長、宮崎県議との懇談会、古川代議士主宰の「日本創造研究会」での講演、霧島酒造・宮崎高砂興業、訪問・意見交換という日程です。
殉職隊員追悼式は安全保障政策に関わる者として可能な限り毎年出席するように心掛けています。文民統制を機能させるためには、我々政治に携わる者たちが少しでも法制・装備・運用に関する知識を深めるとともに、自衛官諸官やご家族の共感を得ることが必須と思います。実オペレーションではなくとも、殉職された隊員は累計1800柱強に上っています。心より哀悼の誠を捧げます。
皆様お元気で週末をお過ごしくださいませ。
(2015年10月16日「石破茂オフィシャルブログ」より転載)