AIがもたらす日本のビジネスへの変革とは

クリエイターや編集者の画像に関わる業務の効率化

今回のテーマは、「働き方改革」。AIというデータを活用したプロダクトが、個人や企業の働き方にどのような影響をもたらすのかを、デジタルコンテンツ(静止画、動画および音楽)を世界100カ国以上に提供する、世界最大級のデジタルコンテンツカンパニー、ゲッティイメージズが保有する写真・映像・音楽のデータを活用したAI関連の事例と共にご紹介します。

NEC の顔認証システムが東京2020オリンピック・パラリンピックの関係者入場認証に採用

日本電気株式会社(NEC)は自社のAIの学習のため、ゲッティイメージズの豊富な画像データとメタデータ(アノテーション)を利用しています。この度、同AIを使ったNECのシステムが、東京2020オリンピック・パラリンピックの選手やスタッフ、ボランティアの大会関係者の会場入場時における本人確認に採用されました。

ゲッティイメージズのAIデータセットは、

1)品質が一定かつ膨大

2)バリエーションが豊富(例:さまざまな角度で撮られた同一人物の写真など)

3)AI学習用素材ではないため、他社AIとの競争優位性

4)写真の内容についての信憑性の高さ

を評価され、テクノロジー企業やコンサルティング企業の機械学習に最適です。

昨今の働き方改革を推進する仕組みとしても注目されている顔認証技術。顔を含めたモノの認証システムに当社のデータセットを多数活用いただいています。この度NECのAIシステムが東京2020に採用されたことで、更にセキュリティからリモートワークまで幅広いシーンでAIの認証技術が利用されていくと期待しています。

クリエイティブかつ効果的なソーシャルメディア運営をサポート「Cortex(コーテックス)」

Cortex

2018年4月より、ソーシャルメディア投稿プラットフォームCortex上から、ゲッティイメージズの膨大かつ幅広いカテゴリーの素材にアクセスいただけるようになりました。CortexはAIが33,000社以上の活動を数年間に渡り分析したデータを基に、契約者のブランドに合った画像、過去に反響が高かったテキストなどを、タイミング、頻度と共に推薦するツールです。

CortexのCEOであるブレナン・ホワイトは「ゲッティイメージズとのパートナーシップにより、現在CortexのAIは世界最大規模数のプロフォトグラファーによる写真データを学習しています。またCortexの利用者はゲッティイメージズの高品質なビジュアルを使用することで、ユーザーとのエンゲージを更に高めることができると期待しています」とコメントしています。

ゲッティイメージズのデータ&インサイト シニアヴァイスプレジデントのアンドリュー・ハミルトンは「いくら多くの素晴らしい素材があっても、データなしでは有効活用できません。マーケターはCortexのAIプラットフォームで最高のビジュアルコンテンツを使うことで、他社と大きな差をつけることができるでしょう」と述べています。

<Kumi's Eye>

メディアの多様化により、マーケターの役割も変化しています。特にソーシャルメディアの発展に伴い、日々の投稿作成に追われている方もいるでしょう。Cortexを活用することにより、投稿に客観性を保ちながら、コンテンツ生成の時間を短縮できます。

ジャーナリストの写真セレクト時間を短縮するAIツール「Panels by Getty Images」

Panels by Getty Images
Panels by Getty Images

Visual AI社と共同で、記事の文章を読み取り、内容に適した写真を推薦する「Panels by Getty Images」を開発しました。これにより、編集者や記者は顧客や読者の求めるビジュアルコンテンツを瞬時に見つけることができます。また、検索結果は自由にカスタマイズできる上、傾向を学習し最適化が進みます。

「現代の報道関係者は最新のニュースを瞬時に、そして印象的に視聴者に届けなくてはいけません。このツールは、時間短縮と品質向上の両方を叶えるツールと言えます。このツールが目指しているのは、フォトエディターの仕事を奪うことではなく、より早さが求められるメディアの状況を鑑み、よりエンゲージメントの高い記事作成の助けになることです。また、メディアは広告収入を得るために記事のインプレッションを増やす必要があり、そのためには魅力的な画像が必要です。もちろん、AIの選んだ画像から、最終的には編集者が採用写真を判断することができます。」とゲッティイメージズのデータ&インサイト シニアヴァイスプレジデントのアンドリュー・ハミルトンは言っています。

◆Panels by Getty Imagesサービスサイト: https://panels.gettyimages.com/

◆Panels by Getty Images デモビデオ:https://youtu.be/dqOrwnIKd1g

多くのニュースや写真が配信される現代において、全てのコンテンツを確認して選択することは不可能です。そのようなときに、AIが絞り込んだ画像から、視聴者に届く最適なものを選ぶことができるのが、このPanels by Getty Images。最初の絞込みはAIに任せ、その後の最終決定を人間が行うことで業務効率化が進み、生産性が高まると考えています。

Year In Focus 2017からNTTデータのNeuro AIが選ぶ今年の一枚を発表

Getty Images

ゲッティイメージズでは毎年その年に起きたニュース、エンタテイメント、スポーツの"決定的瞬間"を捉えたハイライト写真集「Year in Focus(イヤー・イン・フォーカス)」を発表しています。昨年はそのお披露目で実施した内覧会およびトークショーでは、ゲッティイメージズ ジャパンが素材を提供し、株式会社NTTデータが開発している"ニューロ(脳科学) AI"の仕組みを使用して「AIが選ぶ一枚」を発表しました。人が写真を見た際の脳活動をMRIで計測し、脳活動パターンから知覚内容を解読する仕組みで、分析を行った株式会社NTTデータの矢野亮氏は、「ニューロAIを使用することで、様々な人々がどのような印象を持つのかが測れるようになります。今回はポジティブな印象とネガティブな印象の両方を強く併せ持つ写真を今年の一枚としました。」と説明しました。

Getty Images

AIが選出した写真は記憶に残る写真であり、印象も非常に強いものでした。現時点においては人間が選出した写真は、背景や伝えたい内容の意思などのポリシーが反映されているところに違いがあります。

AIの技術の発展に伴い、本来あるべきマーケターや編集者の姿が戻ってくることを期待しています。膨大な情報やコンテンツが日々生まれている現代において、人間がその全てを確認することは不可能です。そして、より生産性を維持・向上するために、人間にしかできない事に、限られた時間を使うべきだと考えます。

例えば、多くの企業がノベルティとして制作するカレンダー。"動物""美しい風景""世界遺産"の写真が多く採用されています。「かわいい」「きれい」というような好感を抱かれるものとして選ばれているようですが、本当にその判断は効果的と言えるのでしょうか。また、判断に自信を持てず無難な案に留まっているということもあるのではないでしょうか。

そのようなときにAI技術を活用すれば、データに基づいた効果的な選択肢を得られるだけでなく、これまで出合うことのなかった「新たな発見」を導いてくれる存在になると考えています。

また、これまでゲッティイメージズでは、世界中から届く膨大な数のビジュアルコンテンツをエディタースタッフが、一つ一つ確認していました。しかし現在は、コンテンツの分類や一定数のタグ付け作業などはAIが行い、その後お客様がより探しやすくなるタグをスタッフが付加しています。

ゲッティイメージズは1997年に世界で初めてインターネットを通じた写真ライセンスの取引を開始しました。それまで写真と言えば自社で撮影したりポジの貸し借りをしていたのですが、そのプロダクション業務に変革をもたらしたのです。そして、ソーシャルメディアの発展に伴い、誰もが写真や動画コンテンツを作成することができる今、AIを使ったソリューションにより、クリエイターや編集者の画像に関わる業務の効率化やリモートワークの支援など、働き方に影響を与えようとしています。

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