外国人詐欺師に食い物にされる日本人投資家

金融リテラシーの低い日本の投資家をだますことなど、百戦錬磨の〝外国勢〟にとってはたやすいことにちがいない。果たしてこうした状況を、〝自己責任〟の一言で片づけて良いのだろうか。

4月26日、金融庁は米ネバダ州に本社を置く資産運用会社「MRIインターナショナル」に対して、金融商品取引業の登録を取り消すとともに、顧客保護の措置を講じるよう業務改善命令を出した。

MRI社は、日本人顧客約8700人から約1365億円あまりの資金を集めていたが、 その大半が行方不明になっているという。

MRI社のエドウィン・ヨシヒロ・フジナガ代表取締役は、問題発覚後来日し、日本国内で日本の当局の事情聴取に応じているものの、全容解明にはほど遠いというのが実情のようだ。

「MRI社の顧客は同社からの指示で、米国内の銀行に開設した口座へ資金を直接、送金させられていた。そうして集められた資金はタックスヘイブンに設立されたファンドに移されていたという。ところがフジナガ代表は、そのファンドの管理・運営には、まったくのノータッチなのだという......」(証券取引等監視委員会関係者)

加えてこのタックスヘイブンに設立されたファンドに関して言えば、日本の関係当局の監督下に置かれているものではなく、従って、日本の調査、捜査当局の権限がそこに及ぶことはない。

「はっきり言って、そうした点を踏まえたからこそフジナガ代表は素直に出頭に応じたのだろう。こうなってくると後は、米国SECなどの協力がどこまで得られるかにかかってくる」(前述の証券取引等監視委員会関係者)

しかし、そうした米SECなどが本気で調査に乗り出してくるかどうかについては、はなはだ心もとないと言っていいだろう。

それというのも、米国内には一人の被害者もいないからだ。 MRI社は、日本国内でしか投資家の募集をしておらず、結果その被害者はすべて日本人なのである。

「集められた資金がテロ集団やマフィアなどに渡っている可能性があれば、米国の当局もマネーロンダリングの観点から本気になって調査もするだろうが、単なる詐欺事件の可能性が高い状況では、それも難しいだろう」(前述の証券取引等監視委員会関係者)

こうした状況から考えてもMRIインターナショナルを巡る疑惑が、全容解明に至る可能性は極めて低いと見ていいだろう。

しかしその一方で日本国内の投資家の投資行動が、今後ますますボーダレス化の流れを強めてくることは確実だ。だとすればMRI社のように、ある種確信犯的に詐欺行為を働く勢力の日本上陸も、増加の一途をたどることになるだろう。

金融リテラシーの低い日本の投資家をだますことなど、百戦錬磨の〝外国勢〟にとってはたやすいことにちがいない。果たしてこうした状況を、〝自己責任〟の一言で片づけて良いのだろうか。

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