飲食店を経営してみたいなという方へ

僕は渋谷でワインバーをやっているのですが、「飲食店をやってみたい」と最近よく相談されるので、飲食店経営の数字ってどんな感じなのか、「ざっくり」とした目安のようなものを説明します。
A barman prepares a vodka cocktail in a bar at the luxury Four Seasons Hotel Lion Palace, operated by Four Seasons Hotels And Resorts, in Saint Petersburg, Russia, on Tuesday, May 20, 2014. The Saint Petersburg International Economic Forum (SPIEF) is an annual international conference dedicated to economic and business issues which takes place at the Lenexpo exhibition center May 22-24. Photographer: Chris Ratcliffe/Bloomberg via Getty Images
A barman prepares a vodka cocktail in a bar at the luxury Four Seasons Hotel Lion Palace, operated by Four Seasons Hotels And Resorts, in Saint Petersburg, Russia, on Tuesday, May 20, 2014. The Saint Petersburg International Economic Forum (SPIEF) is an annual international conference dedicated to economic and business issues which takes place at the Lenexpo exhibition center May 22-24. Photographer: Chris Ratcliffe/Bloomberg via Getty Images
Bloomberg via Getty Images

僕は渋谷でワインバーをやっているのですが、「飲食店をやってみたい」と最近よく相談されるので、飲食店経営の数字ってどんな感じなのか、「ざっくり」とした目安のようなものを説明します。

まず「繁盛店」の場合、3日間で「1カ月分の家賃」を売り上げるというのがまず第一の「目安」です。

例えば私鉄の駅の少し歩いた場所に、1階、10坪で家賃が15万円の物件があります。

そのお店が1日5万円売り上げがあれば、「あの店、いつも入ってるね」という印象になります。

1日5万円の売り上げで25日経営して1カ月125万円ですね。

飲食業は原価が3割です。このお店の場合は37万円が原価ですね。

光熱費や雑費、借り入れの返済、忙しいときに少しだけバイトに入ってもらって、と考えます。

あなたの取り分は月に40~50万円です。

どうですか? やってみたいですか?

ちなみに物販と違って飲食の良いところは「在庫を抱えなくて良い」と、「お店に来てくれた人は全員お金を使ってくれる」です。

物販で何がつらいかって、「売れる」と思ってたくさん仕入れても全く動かなくて、ほとんどが不良在庫になってしまうことと、お客様はそこそこ来店しているのに、誰も何も買ってくれない状態だと思います。

飲食店の場合、仕入れた物があっと言う間に売れてしまいます。普通に街の八百屋さんや魚屋さんから仕入れているお店だと、3日で店内にあるほとんどの在庫が入れ替わっていると言っても言い過ぎではないと思います。

来店してくれた方が全員お金を使ってくれるのも本当に大きいです。物販の場合はフラッと入ってきてただ何となく見ている方も、長い間店員と会話をして結局買わずに帰る方もみなさま「お客さま」ですが、飲食店の場合は、とりあえずお客さま全員が「何か食べよう。飲もう」とお金を使う気持ちになってくれているのが前提です。

一方で飲食店のマイナスポイントは満席だと断らなきゃいけないところです。

その分、物販だとある商品が大当たりしてしまえば、すごく大儲けしますが、飲食店は席数と営業時間と提供できる料理の数が限界があるので、大儲けということはまずありません。

ちなみに僕がバー経営という理由もあるとは思うのですが、ほとんどの方が「バー」か「カフェ」をやってみたいと僕に相談します。

たぶんバーやカフェの方が簡単そうだと感じるんだと思います。

今の時代は、お酒を飲む人は少なくなっているし、カフェに入るような余裕がある人もすごく少ないです。ちなみにあなたは最近、1カ月に何回、バーとカフェに行ったか思い出してみて下さい。定食屋とか、パスタ屋とか、居酒屋の方が多くないですか? 食事は1日に3回とらなきゃいけないけど、お酒とお茶は無理して飲む必要はないんです。

さっきの1カ月の家賃が15万円のお店。1日の売り上げが5万円なので、カフェの場合、コーヒー500円のお客様なら毎日100人来店してもらわなければなりません。

それが平均単価が3000円の居酒屋なら、1日16人で目標金額に達成します。平均単価が1500円のパスタ屋なら33人で達成です。平均単価1万円のお寿司屋なら5人がカウンターに座ればOKというわけです。

バーとカフェは今はよほど「どこにも負けない個性」がなければ大変だと思います。

以上、本当に「ざっくり」でしたが、「今の仕事やめて、お店でもやろうかな」なんて考えている方の何かのきっかけになればと思います。

※ちなみに数字は原価や場所によって本当に色んな例があると思います。あくまでも「参考の目安」と考えて下さい。

bar bossa 林伸次

著書「バーのマスターはなぜネクタイをしているのか?」http://goo.gl/rz791t

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