先日、親しくしているカフェのオーナーからこんな話を聞きました。
若いお客様で、ケーキだけを頼むので、「お飲物はどういたしましょうか?」と聞くと「飲み物は頼まなきゃダメですか?」と言われて、「そうですね。お願いします」と答えると「じゃあいいです」と言って、帰ってしまった。
あるいは、ドリンクはもう飲み終わって空っぽになってしまって、それから1時間以上もいるから、「あの、もう少しいらっしゃるのでしたら、何かお飲物をご注文いただきたいんですが...」と申し訳なさそうに伝えると、すごくびっくりされて、「えと、どういうことでしょうか?」と逆に問い返される。
というようなケースのお話です。
そのカフェ・オーナーが言うには、その若いお客様たちは決して非常識な印象ではなくて、礼儀正しいきちっとした感じなので、お店側の人間がそういうことを言うと、「全く意味がわからない」という感じで逆にびっくりされるそうです。
「それはやっぱりファスト・フードやファミレスのせいですかね。ああいうところって店員がそういうことを言ったりしないですから」なんて話をしていたのですが、やっぱり後から思うのは、僕たち大人のせいかなと思います。
僕がbar bossaをオープンした時は27才だったのですが、その時、常連のCMプロデューサーの方がいて、その人がその当時、ちょうど今の僕と同じ44才だったんですね。
で、その人は若い自分の会社の社員なんかと来店すると、いちいち「バーではどういう風に振る舞うべきか」ってことを若い人に教えてたんです。例えば「グラスが空いたら、おかわりを注文する」とか「ほら、今、林さん、手があいてるみたいだから先にお会計しておこうか」とかもう本当に細かく教えてたんです。
そして、気がつくと、僕はあの時のあの方と同い年なんですよね。
で、はたして僕はああいう風な大人として振る舞っているだろうか、と考えると、そんなことはなく、今でもまだまだ若者みたいな気持ちでいるんです。
それで思うのですが、もうちゃんと大人として若者に色々と教えたり、それはダメだよと注意したりすべきなんじゃないかな、なんて気持ちになってきました。
「あのマスター、うるさいなあ」なんて言われた方が良いんじゃないかな、なんて思ってます。