女性の起業家を応援するために、政府は補助金の新設を検討しているらしい。
安倍晋三首相は13日、東京都内で開かれたシンポジウムで、女性が経営する企業の事業拡大などを支援する補助金制度を創設する意向を明らかにした。安倍政権が重視する「女性の活躍」促進の一環。首相は「(女性の)企業家が伸びないのは根本的な問題があり、ここを変えていく。女性企業家への補助金について法的な裏付けも含め検討していきたい」と語った。
政府の男女共同参画推進本部は8月、女性の社会進出を目的に、対象を女性に限定した補助金制度の指針を作成している。(時事通信・9月13日)
これはかなりビミョーだな、というのが率直なところ。まえから書いてるとおり、産業支援に補助金ってのは、かなり微妙。まず、創業補助って、おかしいと思うのです。だってもうらうのは、
1)補助金関係なく創業する予定だった人が補助金をもらう
2)創業するか決めてなかった人が、補助金もらえるから、と起業して受給する
のどっちかでしょう。
1)の人々は、なくたってやる人なんだから、補助によって創業する人が増えたわけじゃない。
では2)だけれど、補助金もらえるからって創業する人のその後の事業継続の割合ってどうなの?と思うのです。
これに対して推進の論理は、補助金があることが後押しになるとか、1)の人も含めて補助金の申請書を書く事が事業計画をまとめる事になり、そして公的産業機関などに事前に相談にくる事が、その後も相談で活用してもらう契機になる...というもの。
けれど、後押しっていっても、2)の人にしかならないし、補助金がインセンティブで創業する人って事業うまく行くの?ってかんじなんですよね。
では、計画書にまとめて相談の契機になるって効果をどうみるかですが、採択率が20%だとしても、1社あたり40万円のコストをかけて事業計画書をまとめさせるのに使いますか?って話だし、公的産業機関に相談にくる契機...っていっても、ちゃんとした相談にのれる人がいなきゃ、契機にしても次こないですよね。。。
中小企業庁の調査によると、100人社長がいて、公的産業機関に経営相談するって人の割合は、たった1人しかいません(つまり1%)決して相談所が足りないのではありません、実際多くは閑古鳥が鳴いているのです。相談相手がいない、と困っている社長が65%もいるのに、こないってのは「相談しても仕方が無い」と思われているから。
とすると、この前にすべきは「行列のできる相談所」じゃないけれど、ちゃんと中小企業の役に立つ相談所やコンサルタントを育成・支援する事ではないでしょうか。実際に富士市産業支援センター・f-bizや、岡崎ビジネスサポートセンター・OKa-Bizなど成果をあげ、広告をうったり補助金のインセンティブ無くとも、相談が殺到する拠点がある訳です。そうした拠点をモデルに予算を付ける、というよりはそうした拠点の運営ノウハウを教え、担い手を育てるスクールのような取り組みを強化すべきでは、と思うのです。
今回の安倍内閣の女性起業家の事業支援の補助は、創業補助ではないかもしれませんが、いわば新規業に対する補助だとするとおなじように考えてよいのだと思います。
しかも、女性が社長って理由だけで補助をする事は、公平性の観点からも疑問が残るし、なにより女性経営者の活躍が阻害されている要因は補助金によって解決される訳ではないだろうからです。
率直にいってぼくはこの助成制度には、懐疑的です。だって、
1)そもそも普通ビジネスするのにお金もらえるっておかしいじゃん
2)これで女性の経営者って増えるんですかね?
3)だいたい、事業の上手くいく・いかない、なんて審査できるの?
4)これ、男性にとって不公平じゃない?
だから。女性がより活躍する社会を目指すのはもちろん大賛成。
だけれど、打ち手がずれてるんじゃない?と思うのです。