「おじさん」初心者は絵文字1つで一苦労。年末の挨拶メールから考える"ネット時代の人間関係"

「うわべの関係には顔文字やスタンプが最高だが、私にとってはまだ外国語だ」
HuffPost Korea

年末、SMSが届く。「今年も1年お疲れ様でした」。ありふれたメッセージだが、身に覚えのない番号からのもの。何とか差出人の「正体」が分かっても、関係が希薄なので、どんな返事を書けば見当もつかない。そんな時は絵文字が便利だが、「おじさん」にとっては絵文字1つ選ぶのにも一苦労。ハフポスト韓国版の記者が師走の「スマホ奮闘記」をコラムでつづった。

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年末が近づき、登録されていない番号で名前のないSMSが送られてくると、探偵ゲームが始まる。

「記者さん、今年も一年お疲れ様でした。楽しいクリスマスと幸せな新年になりますように」。文字列の終わりにカカオフレンズの人気キャラクター「ライアン」(クマのように見えるがライオン)が、パーティーハットを被って赤いハートを飛ばして登場する。

私を「記者」と呼んだという事実と発信番号を除くと何の情報もない。スタンプから思うに女性である可能性が高いが、予断はできない。ライアンは状況証拠に過ぎない。"スモーキングガン"を探さなければならない。

まだ分別がなかった頃だったら返事をしなかったり、「はい、おかげで素敵な一年を過ごしました」ぐらいのお返事で済ませただろう。しかし、今はもう、年末に自分を覚えてくれていた人が誰かを知って、返事を送らなければならないこと、返事に相手の肩書きぐらいは書くのが礼儀だと知っている。

一度顔を合わせた人でも、一度も会ったことのない人でもいい。探してこそ返信できる。スマートフォンで電話番号のうしろ4桁を検索する。この検索で引っかかる場合が案外かなりある。人々は、携帯を失くしたりすることで番号を変えなければならない時、うしろ4桁を変えないからだ。

発信者を探し出して「あっ!課長の電話番号、変わったようですね」と返事を始められれば、捜査は成功だ。

電話番号のうしろ4桁で情報が見つからない時は、名刺管理ソフトを立ち上げる。プロセスを入力する。「一致する携帯電話のうしろ4桁を検索せよ」。たまに管理ソフトを眺めるのは面白い。回賢洞の日本風居酒屋で会ったXXコミュニケーションズの朴次長の顔を久しぶりに思い浮かべ、西村の画廊で出会って杯を交わしたチェ室長とまた会いたい気持ちになる。

そうしているうちに、ビンゴ!一致する番号が登場すれば、指にできる限り真心を込めて肩書きを入力する。「室長、私がうっかりしていて番号を登録していなかったようです」。

名刺から名前を見つけられなければ、周囲の人の情報を活用する。「010-9XX-3OOが誰か知ってる?」これさえも失敗すれば、Googleの力でも借りるしかない。スペースを入れて電話番号11桁を入力する。

余談だが、個人情報がグーグルの海にいかに自由に出回っているかを知って驚いた経験がある。「XXショッピングプロモーション当選者リスト」「XXフットボールクラブ夏季親睦会費納付者リスト」などの文言が並ぶ。XXダイニングのチョン次長が、登山同好会会員という思いがけない情報を得ることになる場合もある。

これでも探せなかったら仕方ない。「すみません。番号を登録してなかったようです」と丁寧に謝罪する。

問題は次だ。うわべの関係には顔文字やスタンプが最高だが、私にとってはまだ外国語だ。「オピチ」(カカオトークの桃のキャラ)が両手を合わせて祈るスタンプを適切に使えるのなら、リラックマがにっこり笑って、周りに黄色い星が輝くスタンプを使うことができれば、軽い気持ちをハツラツと装えるが、それがなんと難しいことか。

30代でニューヨークに渡り、多国籍企業に勤める友人が「母国語ではない言語で思考して対話するのは、常に自身の知能を70%に制限をかけて暮らすことだ」と言ったことがある。絵文字氾濫の時代に絵文字を使えない気持ちはまさにそうだ。

「はい、わかりました」とだけ書くとどことなく伝わらなかったように見え、「はい、よくわかりました」と書くと反抗しているかのように読める。「オーケー」と叫びながら、片手をぴんと上げるイラストくらい送ってこそ、本当に伝わったかのように読める。

周りの人が絵文字を流暢に送っているのを見ると、関係代名詞の節を混ぜて完璧な英語の文章を駆使するバイリンガルほど驚異的だ。 編集部のグループチャットで、20代の後輩たちは何の躊躇いもなく、当惑と怒りの混じった表情を、驚いたけど喜びがひとかけら含まれた表情を繊細に選んで送信する。

私も1つ使ってみるかと努力もしてみたが、ぴったりな絵文字を選ぶ間に、すでに別のテーマに会話がうつってしまう場合が多い。釣れない者が釣り竿のせいにするというが、スマホには決済した有料スタンプだけでも5万ウォンを超える。それで何をするというのだ、まともに選んで送れないのに。

私のように絵文字が使えない30・40代が苦肉の策として選ぶのが波模様「~」と目の笑顔「^^」だが、すっごくおじさんっぽさが出るだけだ。おじさんだから悪いことはないが、メッセージでまで"っぽさ"を出す必要はないのでは?

「このままメッセおじさんにはなれない」と、後輩と似たような話をしながら良い忠告を聞いた。「基本だけにしてください、基本だけ」。後輩はユニコード(運営体制やプログラム言語と関係なく、各言語を固有に表現するように考案されたコード体系)に含まれる基本的な絵文字が「安全」だと言った。

探してみると、どんな機種でも黄色く丸い顔(私たちが知っている"スマイルフェイス")に、人の表情を表した89個のユニコードの絵文字を使うことができる。笑顔も「微笑む顔」「大きく見開いた目で笑う顔」「目が笑った顔」「涙を流しながら笑う顔」など13種類だ。

Apple、Google、Android、Windowsで少しずつ異なってはいるが、基本的な感情の表現は一貫している。細分化された89の感情。これなら充分ではないか?今年は年末、「笑ってほころんだ目と喜びが溢れた顔(ユニコード:U+1F604)」をメインに送るつもりだ。

30代は一番人に会う時期でもあるが、関係の深さは相対的に浅い時期でもある。「次は日程を決めてぜひ会いましょう」とあいさつするが、本気の場合はほとんどない。

私たちの名前は、どこかの誰かのエクセルシート上に社名、肩書き、メールアドレスとともに記されている。私を管理していた人が転職したり、私が管理していた人が会社を移ればファイル形式で私たちの関係も引き継がれたり、アップデートされる。

それでも誰かに新しく、本気で会わなければならないのではないか?いつでも崩れかねない上っ面の対人関係に肩書きを探し、足場を組んで、絵文字でしっかりとした塔を建てることこそ、明らかに中年を控えたおじさん初心者がしなければならないことだ。 違うのならば、いいですけど。

* ハンギョレ新聞に掲載されたコラムです。

ハフポスト韓国版から翻訳・編集しました。