居場所を失う青年期(18歳以上)の障がい児たち...放課後等デイサービスの「その先」へ

障害児放課後グループ連絡会・東京(放課後連・東京)が行う研修会に参加させていただきました。

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

本日は参宮橋の青少年オリンピックセンターまで足を伸ばし、

障害児放課後グループ連絡会・東京(放課後連・東京)

が行う研修会に参加させていただきました。

放課後連・東京は主に「放課後等デイサービス」と呼ばれる

障害児支援事業を行う事業者の皆さまたちの協力連絡会です。

放課後デイサービスについては以前、

実際に施設見学をさせていただき詳細をレポートし、

議会質問などでも取り上げまして、それ以来のご縁が続いております。

障害児たちは放課後、何をしているのか?「放課後等デイサービス」の実態を学ぶ

上記の記事で詳述した通り、支援学級での授業が終わった「放課後」に、

障がい児たちへ療育と活動場所を創設するために作られた放課後等デイサービス事業は、

・民間参入が激しく、質の低下が懸念されている

・重症心身障害児に加算がつかないなど、補助制度が不十分

などの課題があるものの、

事業数自体は増え続けており、2012年以前には極めて不十分だった

障害児たちの放課後の生活は、少しずつ上向いていると言えます。

ところがここに、新たな行政課題が出現しています。

放課後デイサービス事業は「学齢期の障がい児(18歳まで)」が対象ですから、

ここを出た卒業生たちは、一体どうしてしまうのでしょうか?

福祉作業所などに通うことになった青年期の障がい児たちは、

従来通りこのサービスを利用することはできず、施設が卒業生を受け入れる場合は

その活動に係る費用は事業者の「持ち出し」、自己負担になります。

これまで「家庭・学校・放課後デイサービス」

という3つの場所で豊かな生活を営んでいた障がい児たちが、

卒業をすると「家庭・福祉作業所」の往復になってしまうというわけです。

ここには、様々な問題が生じます。

まず障がい児たちのQOL(クオリティ・オブ・ライフ)は著しく低下し、

療育機能も兼ね備えていた放課後デイサービスでの活動がなくなることで、

障がい児たちが退行(今までできたことができなくなる)する例が多数報告されています。

また福祉作業所は16時、早ければ15時で業務が終了するため、

そこからまっすぐ帰ると夕刻には家に帰ってくることになります。

これによって、これまで18時・19時までの放課後デイサービスを活用して

仕事ができていた家族の人たちが、これまで通りの勤務が困難になるのです。

こうした障がい児・そしてその家族のサポートという観点から、

放課後デイサービス事業者はなんとか老け続ける卒業生の受け入れを行おうと

していますが、前述の通りその費用が行政から補填される仕組みはありません。

こうして、障がい児のための活動を真摯に行っている事業者ほど

経営が圧迫され、その存続すら危ぶまれるような状況を招いているのが

現行の制度であると言えます。

2012年の放課後デイサービス事業制度の創設により、

着実に障がい児たちの生活の場は広がり、充実してきました。

しかしながら、現在は「その先」が未整備状態になっているため、

学齢期を抜けると突然に居場所がなくなるという事態が発生します。

それをいま補っているのは事業者たちの「善意」であり、持続性がありません。

これは、ある政策を実施するとまた別(その先)の課題が生じるという

典型例かもしれません。ことほど左様に福祉政策には終わりはなく、

漸次的な改善が求められる分野なのです。

もちろん、財源は無限ではありませんから、

不必要な社会保障分野は削り、財源はしっかり確保しなければなりませんが、

子どもの貧困と並びこうした分野への投資は惜しむべきではありません。

生涯に渡り障がい児・障がい者とその家族に対して

適切なサポートが持続的に行われる社会が形成されるよう、

引き続き制度面に対する政策提言を続けていきたいと思います。

途中でご紹介・ご挨拶の機会もいただきまして。

研修会にお招きいただいた放課後連・東京の皆さま、

誠にありがとうございました!

それでは、また明日。

(2016年1月31日「おときた駿 公式ブログ」より転載)

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