東大で講義!障がい者の政界進出支援は、「逆差別」になりうるか?

少数者の意見をしっかりと政策に反映させていくという点で、一定のアファーマティブ・アクション(積極的改善措置)は決して無意味なものではない。
shun otokita

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

本日はなんと東京大学教養学部の授業にお招きいただき、

斉藤りえ区議とともにゲスト講師を務めました!

(どうして母校の早稲田大学は未だに呼んでくれないんだ)

ダイバーシティデザイン講座:多様性社会を知る〜違いを認め合う社会づくり

http://jsci.c.u-tokyo.ac.jp/sustainability/

...というわけでハイ、筆談議員さんのオマケ的なポジションです(苦笑)。

まあ形はどうあれ、自分の人生の中で東大の教室に登壇して、

東大生相手にプレゼンする日がくるとは思わなかったなあ。しみじみ

斉藤りえ区議とともに、障がい者の政界・社会進出の現状や、

バリアフリーを始めとする政策がどんな状況にあるかをお話させていただきました。

質疑応答も鋭いものが多かったのですが、

そのうちの一つに

「現在の選挙制度において障がい者は不利ということですが、

手話通訳者を余分につけるなどの優遇対応をするとしたら、

それは『逆差別』になる可能性はないのでしょうか?」

というものがありました。

いわゆるアファーマティブ・アクション(積極的改善措置)についての是非ですね。

私は例えば女性の政界進出を促す「クオータ制」などにも

一定の理解を示す立場ですが、賛否は確かにあるとした上で、

現状であれば「逆差別」とは考えられないとの見解を示しました。

すると続いて、

「逆差別はないと考えうる、数値などの論拠があれば示して欲しいのですが」

おお、さすが東大生...

なかなか深く切り込んできますね!

色々な考え方はあると思いますけど、私がここで出したのは人口比率。

我が国では全人口の中で、約5~6%程度の方が障がいをお持ちであると言われています。

にも関わらず、国会・地方議会にほとんど障がい者議員は存在しません。

正確な統計はありませんが、現職では多くても数十名程度ではないでしょうか。

国会議員・都道府県・市区町村議員で日本には

およそ37,000人くらい議員がいますから、数値にしたら0.01%以下です。

議会が国民の意思を反映する鏡だとすれば、

このパーセンテージが是正されるくらいまでは

「逆差別」とは言えないのではないでしょうか。

さらに質問は続きます。

「でも日本は間接民主主義国家で、民意が議席数に反映されるとは限りません

過半数を取らなければ当選も議会決定もできないとすれば、

そのような優遇措置にはどこまで意味があるのでしょうか?」

いやはや、なかなか鋭い&興味深い指摘です。

確かに完全な小選挙区制度を採用しているとすれば、

5%の民意の反映にはさしたる意味はないかもしれません。

しかし我が国では、とりわけ地方議員選挙は「大選挙区制」です。

多いところでは定数が50人にも及ぶ基礎自治体もあり、

およそ選挙区の「3%」の得票で議員を誕生させることができます。

するとどうでしょうか。

障がい者の政治参入のハードルがなくなり、当事者が立候補して

関係者票のすべてを集めると仮定すると、1名~2名の議員が当選することになります。

もちろん地方議会の場も最後は「多数決」です。

与党・過半数勢力にならなければ、大きな意思決定は難しいかもしれません。

ですが、斉藤区議が入って北区議会のルールが大幅に変更したように、

民主主義議会は少数者の存在・意見の影響力を無視することができないのです。

彼らの存在はまず議会の在り方を変え、そして自治体の政策を変えて行くことになるでしょう。

少数者の意見をしっかりと政策に反映させていくという点で、

一定のアファーマティブ・アクションは決して無意味なものではなく、

また多様性ある社会を構築していく上で、ひとまず不可欠なものと言えるのではないでしょうか。

(プレゼン・対談パートは事前に作りこみ、なるべく情報保障!)

そんな感じで、私も斉藤区議も非常に刺激的な時間を過ごさせていただきました。

シナリオがある議会質疑なんかより、よっぽど緊張感があります(笑)。

実は明後日も、東洋大学のゼミに招かれて講演させていただく予定です。

政治・政策を伝えていくことも議員の職務ですので、議会閉会中は

こうした依頼にも積極的に答えていきたいと考えています。

おときた駿への講演・執筆・取材依頼について

http://otokitashun.com/offer/

(だから母校の早稲田大学は早く私に声をかけるんだ)

貴重な機会をいただきました坂口菊恵教授、

本当にありがとうございました!

それでは、また明日。

(2015年10月26日 「おときた駿公式サイト」より転載)

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