子どもを「保護の対象」から「権利の主体」へ。「児童の権利」、日本史上はじめて法律に明記!

児童福祉法の改正案の中で、非常に大きな前進がありそうです。

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

今日は東京弁護士会主催の

「自治体と弁護士の連携 児童虐待防止のためにできること」

こちらのイベントにゲストで呼んでいただきました。

私が児童養護の分野で主に取り組んでいるのは里親委託・特別養子縁組の促進ですが、

児童虐待に関わる問題も非常に密接に関わっています。

なぜなら児童養護を必要とする子どもの大多数は、

いまや「実親・保護者からの虐待」がその原因となっているからです。

非常に多岐にわたる問題で、

パネルディスカッションも広がりを見せましたが、私からは

●我が国は親権が強すぎるため、諸外国で当然行われる親権停止措置がほとんどないこと

●被虐待児を保護する一時保護所に早急な改善が必要なこと(過去ログ参照)

●子どもは「保護の対象」ではなく「権利の主体」であると意識・制度転換を図る必要があること

などをお話させていただきました。

そして上記の「子どもを権利の主体へ」という部分ですが、

実は先週提出された児童福祉法の改正案の中で、非常に大きな前進がありそうです!

【改正案第一条】

全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのっとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護される、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する

【改正案第二条(新設)】

全て国民は、児童が良好な環境において生まれ、かつ、社会のあらゆる分野において、児童の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、心身ともに健やかに育成されるよう努めなければならない。

(強調筆者、引用元はコチラ

私が以前からずっと主張してきた「子どもの権利」が、

ついに日本の法律に初めて明記されることになる見込みです。

また、「子どもの意志の尊重・最善の利益優先」が入った意味も大きく、

これは親の意向より子どもの意思・利益を尊重せよということに他なりません。

これまでは国連から正式な勧告を受けるほど

子どもの人権を蔑ろにしてきた我が国ですが、

この法律改正後はこれまでのような運用は許されません。

参考:

虐待親の親権停止はもちろんのこと、

社会的養護における措置先も里親・養子家庭を優先して検討するなど、

行政・児童相談所の意識とやり方が改善されていくことが期待されます。

里親への委託や養子縁組を進める協議会が発足

本年の4月4日「養子の日」には

官民が連携した「子どもの家庭養育推進官民協議会」が発足するなど、

年初に予想した通り社会的養護・児童養護は大きな動きを見せています。

2年前からは考えられないほど世論の関心も高まり、

ここまで来たことに少しくらいは貢献できたかなあと、ちょっぴり達成感も感じます。

一方で、法改正はしたものの

「仏作って魂入れず」

にならないように今後もチェックが必要ですし(予算の確保も!)、

今回の改正では入らなかった児童福祉司の専門性確保の問題など、

まだまだ改善点はたくさんあります。

子どもの人権が尊重され、一人でも多くの子どもたちに温かい家庭環境が与えられるように、

私も弁護士の方々や心ある有識者の皆さまと、引き続き尽力していきたいと思います。

お招きいただきました東京弁護士会の皆さま、川村百合先生、

そしてご来場くださった方々、本当にありがとうございました!

それでは、また明日。

(2016年4月7日「おときた駿公式ブログ」より転載)

注目記事