最近結婚&養子縁組した都議会議員だけど、夫婦別姓について検証してみる

夫婦同姓の強要は「違憲ではない」という判決が下され、大きな話題を読んでいます。一方で、15人中5人の裁判官は、夫婦同姓の強要は「違憲」であると断じています。

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

昨日、夫婦同姓を強要することは「違憲ではない」という判決がくだされ、

大きな話題を読んでいます。紛らわしいのですが、

「夫婦同姓の強要は違憲、夫婦別姓を認めなさい!」

という、若年層を中心とした多くの人が期待した判決を、

裁判所は下さなかったということですね。残念なことですが、

「国会が判断すべき事項」という感覚は妥当であるとも言えます。

一方で、15人中5人の裁判官は、

夫婦同姓の強要は「違憲」であると断じています。

(ちなみに女性裁判官は3名全員が「違憲」判決)

夫婦の姓「国会で議論を」 判事5人「違憲」とした理由

記事中に詳述されている

●(改姓が原因で)法律婚をためらう人がいる現在、別姓を全く認めないことに合理性はない

●女性のみに自己喪失感等の負担があり、憲法が保障する「個人の尊重」や「男女の平等」に根ざしていない

●同姓でない結婚をした夫婦は破綻(はたん)しやすい、子の成育がうまくいかないという根拠はない

という彼らの判決理由はいずれもうなづけるものばかりではあり、以上を踏まえて

夫婦別姓を認めるか否かは、再び国会での議論にステージを移すことになります。

ここで、個別の事例に引きつけて考えてみましょう。

身近な(というか自分の)例で恐縮ですが、私は先月結婚し、

同時に7歳の子どもと養子縁組をして入籍をしました。

妻は運転免許証やパスポートなどの各種身分証明証、

会社や個人で複数持っている金融機関の口座、クレジットカードなどの名義を

それぞれ個別に変更するために、連日莫大なる時間を取られていました

特に金融機関の手続きは煩雑な上に行員が不慣れで、

何時間も待たされることも少なくなかったようで、特に対応のひどかった

某○うちょ銀行の口座は勢い余ってその場で解約してきたそうです(苦笑)。

娘の方に目を向けると、小学校で使う様々な学用品にはすべて

旧姓で名前が書いてあります。学校の先生とも相談した結果、

「戸籍が変わる以上、やはり昔の名前は残さない方が良いでしょう」

ということで、テプラ本体を購入。

大量に新しい名前のシールを印刷して、ノートや鉛筆、

筆箱など一つ一つに上から貼り付けていきました。

水着や体操着などは、新しい布を買って縫い直しです。

幸いなことに娘は苗字の変更に抵抗がないようで、

嬉しそうに一連の作業のお手伝いをしてくれましたが、

これがもし

「私は前の名前のままがいい!」

という気持ちだったら、一体どうなってしまったことでしょう。

実際に、交際相手のお嬢さんが中学生で

「苗字が変わるなんて、絶対に嫌だ」

と言われ、子どもが成人するまで籍を入れるのは待とうと、

事実婚状態になっている友人を、私は実際に知っています。

「旧姓の通称使用で負担を緩和できる」

とする裁判官や政治家たちは、

こうした現実をどこまで把握されているのでしょうか?

私は妻や子どもから

「旧姓のままが良い」

と言えば、快くそれを認めることができます。ただ、自分が相手に合わせて

改姓できるかと言われると、女兄弟だけの長男だし、一応の本家筋でお墓もあるし…

等など、なかなか難しい現実がそびえ立ちます(それも保守的っちゃそうですけど)。

やはりどう考えても、「選べる」ことが一番良いのです。

保守政党である自民党は夫婦別姓に極めて消極的で、

安倍首相を始めとする大物政治家の中にも反対派が多く存在します。

さらには中間派と呼ばれる政治家の中にも、

「個々の家族観に関わるだけに、合意形成は難しい」

などという意見で逃げる人もおられますけど、

何も夫婦別姓を強制しようというわけではないのです。

夫婦同姓が良い人は今まで通りで、別姓が良い人は別姓を選ぶだけ。

まさしく個々の家族観に関わることなのだったら、

それぞれの選択に委ねておけば良いだけの話なのです。

そこに国家が介入する意味はありません。

「夫婦別姓で家族の絆が壊れ、社会が劣化する云々」

などと、まったく根拠のない思い込みで天下国家の行く末を心配するヒマがあるのなら、

ぜひ破綻寸前の社会保障や止まらない人口減少の問題にこそ

国会議員たちは全力で取り組んでいただきたいと思います。

今回の歴史的な判決(3分の1の判事が違憲判決)を受け世論が醸成されることで、

次の国会でこの点が真摯に議論され、多様な家族のあり方を受け入れる

社会に向けての動きが始まることを願ってやみません。

それでは、また明日。

(2015年12月17日「おときた駿公式ブログ」より転載)

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