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2015年02月13日 23時09分 JST | 更新 2015年02月13日 23時09分 JST

子どもたちへの予算が剥ぎ取られ、議員や公務員の給料が上がろうとする現実...

昨日は世田谷にある児童養護施設「東京育成園」に視察に伺いました。これまで訪れた星美ホーム、石神井学園はどちらも定員が100名を超える大規模施設だったため、別形態の施設も確認させていただきたく、訪問する運びとなりました。

昨日は世田谷にある児童養護施設「東京育成園」に視察に伺いました。

これまで訪れた星美ホーム、石神井学園はどちらも定員が100名を超える

大規模施設だったため、別形態の施設も確認させていただきたく、訪問する運びとなりました。

東京育成園

※これまでの社会的擁護関連の過去記事はこちら

東京育成園の特徴は「小舎制方式」。

今で言うところのグループホーム形式を昔から採用していることです。

最大でも7名の子どもたちが、一軒一軒を我が家に見立てた家庭的空間で、

職員の皆さまとともに擬似家族のような暮らしをしています。

まるで海外のようなテラスハウスですが、

どの角度からでも子どもたちが見渡せるよう、職員の死角がないよう、

綿密に計算・設計されているそうです。なるほど...。

わんちゃんもいました。

飼い主のいない迷い犬を引き取って番犬にし、

また子どもたちの情操教育の一貫としているとのこと。

園長に、施設で共有している立派な和室にも案内していただきました。

おひな様は、ちょうど出したばかりだそうです。

考えてみると、普通の家庭なら子どもが成長すると不要になるおひな様も、

こうした施設だと毎年必ず出番があるわけですよね...。

だからこそ、こんなに立派なおひな様があるのかもしれません。

ちょっとしたことなのですが、なんだか、胸がギュッと締め付けられました。

さて、理事長や園長、現場スタッフの方々からのヒアリングは

2時間近くにも渡りまして、様々な観点から問題提起や発見がありました。

すべてのご紹介はできないのですが、やはり中心にあがるの「人員・人手」です。

読まれていない方はぜひ以前の記事もご参照いただきたいのですが、

高齢者への社会保障に比べて極めて少ない財源で行われている社会的擁護・児童擁護の分野は、

子どもたちの数に対して充分な職員配置を行うことができません。

行政からの手当で出せる職員は、子ども5.5人に対して1名。

これ以上配置しようとすれば、施設側の自己負担になります。

ちなみに理事長によると、イギリスでは子ども1名に対して3名の職員がつくそうです。

なのですが、今年4月から子ども子育て支援新制度が無事にスタートされると、

この職員配置がなんと4:1にまで改善されます!

元データ

この改善案はなるべく子どもたちを少人数で、

グループホーム形式で育てようという国の方針に則ったものです。

大部屋で10人なり20人なりを一斉に面倒みようとする方が、管理側としては簡単です。

しかしながら当然、キメ細かなケアなどは不可能になりますし、なるべく少人数という環境で

育つ方が子どもにとって良いことは、学術的な研究でも明らかになっています。

少人数環境で育てるためには、もっと職員の数が必要。

そこで思い切って、もう1名分の加算をしましょう!というのが、

この子ども子育て支援新制度における設計なのですね。

とかく保育や待機児童問題ばかりにスポットがあたる

子ども子育て支援新制度ですが、こうした社会的擁護の面でも大幅な改善が予定されており、

明確に子どもたちに財源を行き渡らせる初の法律として、非常に意義深いものなのです。

しかしながら...国が推し進めようとする少人数環境・グループホーム形式を、

労働基準法に沿った形で実現しようとすれば、4:1という数字でもまったく不十分です。

擬似家庭に見立てたグループホームでは、

最低でも1名の職員は子どもたちと寝食を共にすることになります。

ところが、労働基準法で認められている宿泊を伴う夜勤は、週に1回までです。

色々と組み合わせで複雑な計算式にはなるのですが、

子ども8名のグループホームを4:1の職員配置で運営する場合、

週の半分以上は「アルバイト」が夜勤に入らなければいけません。

しかも、心に傷を追っていたり、発達障害など難しい子どもが集まる児童養護施設では、

常に2名以上の専門性を持つ職員を配置しておくことが、安全を守るための鉄則です。

一人の子どもがパニックを起こすと、他の子どもを守ることができませんし、

中学生や高校生の男子ともなれば、職員に暴力をふるうリスクも排除できないからです。

理論上、労働基準法を順守しながら子どもたち・職員の安全を確保しようとすれば、

2:1以上の職員配置が必要になります。結局のところ、現実的にそれを補うのは

現場スタッフの労働強化で、それが職員の早期退職や人材難にもつながっていきます。

とはいえ、与えられた環境の中でベストを尽くすしかないのですが、

ここで見過ごせないのは、自治体による独自加算の行方です。

例えば国の基準では5.5:1になっている児童養護施設の職員について、

東京都は独自加算を加えて5:1という設定にしていました。

0.5人分を都が負担して、手厚くしていたのですね(これは素晴らしい!)。

この政策を維持すれば、東京都の児童養護施設では

3.5:1の割合で職員を配置することが可能となり、その分

子どもたちに望ましい環境を提供することができます。

ところがどうやら...この政策の継続には黄信号が灯っているようです。

4:1になったから、都が独自に負担していた0.5人分はもうやめようと。

自治体の理屈から言えば、

「我々が独自加算をやめても、トータルでプラスになったから良いではないか!」

ということなのだと思います。

確かにトータルではプラスです。...ですが、どうしても腑に落ちません。

視察に同行したフローレンスの駒崎さんによると、

保育の分野でも子ども子育て支援新制度の施行に伴い

国が加算したので、自治体が独自加算をやめる

という動きが次々に現れてきているそうです。

これでは、国の予算の割り振りとしては子どもたちに配分が増えても、

自治体単独でみれば子どもたちへの予算が減ることになります。

その消えた予算は、いったいどこに向かうのでしょうか?

膨れ上がる医療などの高齢者社会保障というのが基本線かもしれませんが、

そんな中で都議会議員や地方公務員のボーナスや給料が上がったりするわけです。

(今回の定例会で知事や議員など、特別職の給与UP議案が可決される見込み)

私は公務員や議員の給料をやみくもに上げるな、減らせというつもりはありませんが、

一方で子どもたちについていた予算を剥ぎ取る動きがあることを考えると、

どうしても納得することはできないのです。

繰り返しますが、子ども子育て支援新制度で職員配置が改善されるのは素晴らしいことです。

その一方で、東京都の独自加算を縮小する動きは、なんとしてでも阻止しなければなりません。

声なき子どもの声を代弁し、届ける人々は多くないかもしれませんが、

心ある方々と一致協力して、引き続き強く議会での政策提言を続けて参ります。

長時間の視察を受け入れ、素晴らしい現場データを下さった東京育成園の皆さま、

同行していただいたフローレンス駒崎さん、ヒューマンライツウォッチの吉岡さん、シームズさん、

本当にありがとうございました!

この視察から得られた知見はまだまだあるので、

引き続き折をみてこちらのブログでも紹介していきます。

それでは、また明日。

(2015年2月13日「おときた駿公式ブログ」より転載)