規制実施はほぼ確実で、どうなるお弁当の路上販売?!やっぱり政治は、身近なところにある

厚生委員会の最終日で、「食品製造業等取締条例の一部を改正する条例」への「議決(賛否の採決)」が行われました。私は、厚生委員で唯一反対しました。

さて、昨日は厚生委員会の最終日で、

条例案への「議決(賛否の採決)」が行われました。

この中で私は兼ねてからご紹介しておりました

「食品製造業等取締条例の一部を改正する条例」

※都内のお弁当の路面販売(行商)を取り締まる・規制を強化する条例案

には、厚生委員で唯一反対しました。

過去記事は↓

東京都で、安いお弁当が路面販売で買えなくなる?!...かも。 -自由と隷属のトレードオフを考える-

どうして地方議会では「俎上に載ったときには議論が終わってる」のか?

いやあ、周りが全員起起立賛成しているのに

ただ一人座り続けているというのは、なかなかしびれるものですね!

上記の記事の中にあるように、

「選択の自由」

というのを尊重するべきという思想が根本にはありますが、

そのような理念的のみで条例案を否決するのは、あまり筋が良いとは言えません。

会派内でも様々な議論があり、調査研究を重ねた結果、

反対に至る理由となったのは主に以下の2点です。

1.「安全」「衛生」だけの理由で網をかけていいのか?

確かに衛生上の観点からは、危険性が高いことは審議会の答申の通りです。

しかしながら、そもそもこの路上販売が課題となった背景には、

・「行商」という販売形態から乖離し、路上を不法占拠している

・反社会的勢力が商売を取り仕切っているケースがある

・既存の飲食店の経営を圧迫している

など、衛生面以外にも問題は多岐に渡ります。

こうした中で、「食の安全」「福祉衛生」という視点のみで

一律に解決を図ろうとすることは、あらぬ憶測を呼ぶことにもなりかねません。

それぞれの問題解決方法は異なるはずであり、

継続した検証が必要ではないでしょうか。

2.当事者・利用者の声や意見が充分に反映されていない

東京都は、この条例案の基になった食品安全審議会の中で、

実際の弁当路上販売の利用者・消費者の意見を充分に聴取したと主張しています。

しかしながら意思決定をする審議会のメンバーをみると、

『消費者側』の代表者は

「東京都地域婦人団体連盟」

「主婦連合会」

など、いわゆるスーパーなどでお買い物をする層の「消費者」です。

公募委員として選ばれた方々も確認しましたが、年代的にも職業的にも

路上販売のお弁当を買うような方ではありませんでした。

そして検討部会の方にはきちんと

「オフィスで働く人の代表者を呼んだ」とのことですが、こちらは

「日本労働組合 総連合会 東京都連合会」

の方ということで...。

少しばかり、高層オフィスビル街でお弁当を買うような、

若手のサラリーマンが活発に参加している組織とは違うのではないでしょうか。。

さらに東京都が意見聴取の根拠としている

パブリックコメントの実施では、集まった意見が14件。

これで利用者・当事者の意見が十分に反映されていたと言い切るには、

やはり大きく疑問が残ると言わざるを得ません。

あくまで一般論ですが、こうした「食の安全」については

何か大きな社会的事象が起きた後に、世論に後押しされて規制ができることが通常です。

それまでは「選択の自由」「自己責任」という考え方も多くは尊重されています。

今回、委員会では私どもを除く全会派が賛成ということで、

最終日の本会議でも条例案の可決は確実視されます。

もちろんこの規制で行商が許可制になったからといって、

弁当業者が減ったり価格が上がったりしない可能性もありますし、

激減したり価格が跳ね上がる可能性もあります。

いずれにせよ、結果として起きた事象には、

議会でこうした議論があったことを知っていただき、

「ああ、やっぱり『政治』って身近なところにもあるんだな...」

そんなことをふと、感じ取っていただければ幸いです。

それでは、また明日。

(2015年3月22日「おときた駿公式ブログ」より転載)

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