「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立」という言葉を入れ込んだ、東京都人権指針への違和感

「東京都人権施策推進指針」のレクチャーを受けたのですが、やっぱりどうにも違和感が残る部分があります。

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

休会中は事務作業や地域回りに加えて、これまで調査研究してきた案件を

再び見直す作業なども行っています。

その中で、改めてセクシャルマイノリティ・LGBT政策に関連して、

東京都人権施策推進指針

のレクチャーを受けたのですが、

やっぱりどうにも違和感が残る部分があります。

こちらは昨年2015年7月に改正・発表されたもので、

初めて「性同一性障害および性的指向」に関する内容が登場しました。

それは大きな前進であると評価できるのですが、

気になるのが「性的指向」に記載された部分。

すでに多くの有識者も問題視しているところですが、

現状として、特定の性的指向を持つ人々が

差別意識を持たれて様々な問題に直面していると述べた後、

>なお、我が国では憲法で「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し」と規定しています。

という一文が唐突に挿入されています。

これって、この場に必要な文章なんでしょうか。。

東京都の担当局からは

「現状としては憲法にそう書いてあるわけですので、

幅広い議論のスタートとして記載をさせていただいた」

というような説明でしたが、腑に落ちないものがあります。

見ようによっては、ここで述べている現状は

「憲法に同性同士はダメって書いてあるんだから、仕方ないよね」

というニュアンスに受け取れなくもありません。

それとも、憲法改正を煽っているんでしょうか...?

一節によると、人権指針の中にセクシャルマイノリティについての文章を

入れるかどうかは最後まで揉めに揉め、

「この一文を入れることが譲れない条件、さもなければ絶対に認めない!」

と主張する方々がおられたため、

妥協案(?)として挿入されたという噂もあります。

あくまで確認の取れていないうわさ話ではありますが、

信じたくなってしまうほどの「唐突感」がある一文に見えるんですよねえ。。

ちなみに舛添都知事はこれまでの議会答弁や言動を見ますと、

LGBTやセクシャルマイノリティという部分には熱心とは言えないようです。

もちろん彼らを尊重する姿勢は崩しませんが、政策に関しては

「国の動向を見定めながら判断していきたい」

という慎重な考え方がベースで、

日本で一番セクシャルマイノリティが多く存在する都市でありながら、

独自の条例制定や支援政策を推し進める気概は一切ないようです。

受動喫煙防止条例とかも、全部このロジックで先送りなんだよなあ...。

しかしながら、東京五輪を迎える東京都ではますます、

多様性のある価値観を受け入れる体制充実が課題になります。

私としては引き続き、里親の同性カップル認定や

東京都独自のパートナーシップ条例の検討などに向けて、

政策提言を進めていきたいと思います。

東京都の不思議な人権指針、皆さまも頭の片隅に覚えていただき、

なんらかの問題提起につながれば幸いです。

それでは、また明日。

(2016年4月14日「おときた駿オフィシャルブログ」より転載)

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