オリンピック3施設の見直し額が縮減。小池知事は「嘘」をついたのか?

見積もりの問題の中に、今回争点となっている通称「予備費」があります。

議会運営委員会、終了。共産党会派の都議が1名辞職したことに伴い、議会運営委員会、オリパラ特別委員会の枠が1つずつ回ってくることになり、どちらも私が委員に就任しました。たった1名の人員変更で地殻変動が起こる、ドント式配分の妙ですね...。早速本日、オリパラ特別委員会で質疑に立ちます。

— おときた駿(東京都議会議員 /北区選出) (@otokita) 2017年11月24日

なんと、先日の共産党都議1名辞職に伴い、我が「かがやけTokyo」会派に議会運営委員会・オリパラ特別委員会という重要な委員ポストが1つずつ回ってくることになりました。

127名のうち1名の欠員が出ただけで配分がこれほど変わるのは、「ドント式」と言われる少数者にも配慮された配分方式を取っているからなのですが、まさに瓢箪から駒ですね...。

上田都議と協議の結果、どちらの委員も私が拝命し、本日は早速オリパラ特別委員会で質疑を行いました。

主なテーマは五輪会場「新規恒久3施設の整備費見込み」などについて。

新設3施設見直し 整備費増え削減361億円に

小池百合子知事は就任後、

・アクアスティクスセンター

・海の森水上競技場

・有明アリーナ

の3施設の見直し・代替案の模索に着手し、結果として3施設は当初予定通りに着工されることになったものの、費用の見直しによって最大で約400億円のコストカットに成功したと発表しました。

こちらの案件が約1年経って実施設計が進み、改めてかかる費用を精査したところ、削減額が約361億円に留まる見込みである旨が発表・報告されました。

【だから言ったのに】

1年前、小池都知事が新規五輪3会場整備の見直しをブチ上げた。最終的に約400億円を削減して建設すると発表。

今日、議会報告された最終額は小池発表から66億円の負担増。400億円削減は失敗に。

その頃に私が残すべきと指摘した予備費があれば嘘にならなかった。

— 川松真一朗(東京都議会議員・墨田区) (@kawamatsushin16) 2017年11月6日

これをもって、本日の委員会でも小池知事を「嘘つき」と厳しく批判する向きもあったのですが、果たして小池知事は嘘をついたのでしょうか?

私の考えを結論から述べますと、削減額が縮減されてしまったことは残念であり、見通しの甘さがあったとも思いますが、「嘘つき」という表現はやはり行き過ぎではないかと思います。

そもそも五輪を巡る公共事業に関しては、見積もりの精度に大きな問題がありました。お忘れの方が多いと思いますけれど、例えば海の森競技場に至っては

69億円(立候補ファイル時) 1038億円 491億円 298億円(スマート案)

と非常に大きく変動してきた経緯があり、そのあまりのドンブリ勘定が都民不信を招きました。

こうした見積もりの問題の中に、今回争点となっている通称「予備費」があります。

おときた駿

正式名称は「追加工事等が生じた場合の対応費」で、小池知事がカットした約400億円のうち、この予備費が115億円と大きなウエイトを占めました。

そして今回、アクアスティクスセンターで地中汚染などが発覚し、追加工事に38億円という費用が発生したことが、削減額が縮減されたもっとも大きな要因になっています。

本来、こうした不測の事態に備えておくのが「予備費」であって、これを残しておけばコストカットの金額が嘘にならなかったのだ!という主張があり、それには一理あると思います。

しかしながら、アクアスティクスセンターの「予備費」として計上してあったのは20億円。今回かかった費用は38億円であり、仮に残してあったとしても18億円の不足が出ます。

さらに言えば、不測の事態への予備費をカットしたとしても、その事態に対応できない・しないということはなく、結局のところ今回のように追加の費用が計上されることになっています。

つまり、この「予備費」とはそもそも一体なんだったのか?という話になります。

予算に幅をもたせておきたいと考える気持ちは理解できますが、不測の事態に事後に対応できるのであれば、予備費を計上しておく必然性は高くありません。

むしろ予備費をカットする際に有識者が指摘していたように、こうした「バッファ(余裕)」を持たせておくと、施工業者の言うなりになってギリギリまで予算を消化されてしまうという可能性が出てきます。

今回、小池知事と都政改革本部による見直しで、それでも350億円以上のに金額が削減されたことは事実ですし、アクアスティクスセンターを除く2施設では予備費は結果として不要だったわけですから、トータルで考えて概ね正しい判断をされたと評価することができます。

とはいえ一方で、今後もこの「予備費」の位置づけと役割を明確に定めておかなければ、予め調整可能である、あるいは事後的に補填可能である範囲内で予算の増減が行われ、政治的なパフォーマンスの材料とされる可能性が否定できません。

委員会ではこうした曖昧な「予備費」に位置づけについて質疑を重ね、今後の課題としてその存在の精査を要望したところです。

海の森競技場に代表されるように、これまでの都政における公共工事の見積もりが杜撰と言われても仕方のない状態だったことは事実です。

小池都政のチャレンジとして評価するべきは評価しながら、さらなる改善を目指して調査・提言を続けていきたいと思います。

それでは、また明日。

(2017年11月24日「おときた駿 公式サイト」より転載)

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