28歳の最年少市長が誕生!「現職」の首長を破るすさまじさを解説します

これほどもまでに参入障壁が高い首長選挙において、画期的な結果が出たことは、今後の政界・選挙業界の一つのケーススタディになるでしょう。

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

関西地方のニュースではありますが、本日投開票が行われた大阪府四條畷(しじょうなわて)市長選において、現職市長を破って新人の28歳・あずま修平候補が当選しました。

四條畷市長に28歳の東氏初当選...全国最年少に(読売新聞)

私自身はこの候補者を存じなかったのですが、知り合いが多く応援に入っていたこともあって注目をしていましたが、凄い結果になりました...!

この投票母数で2000票差以上をつけたのは、接戦ではなく完勝と言って良いでしょう。

さて、私の驚きのポイントとしては「28歳・最年少」という他にもむしろ、「二期目を目指す現職を破った」という部分にあります。

気鋭の若手市長が誕生するときというのは、得てして現職の市長が引退する「代替わり」のタイミングが多いからです。というのも、選挙の常識では「現職」の首長というのは極めて強く、特に「二期目を目指す現職」が最強と言われています。

なぜ現職の首長は強いのでしょうか?それは首長の業務をしながら、合法的に選挙活動・政治活動が行えるからに他なりません。

市が行う行事や地域イベント・学校の式典には、必ず市長や区長が出席して祝辞を述べている姿を見かけることでしょう。少しでも行政が絡むものであれば、手足となる市の職員がスケジューリングなどすべてを整えてくれます。

さらには年間に何度も新聞折込やポスティングで届く「市政報告(区政報告)」には、堂々と大きく「市長あいさつ」などが載っているわけですから、否が応でも有権者の間に知名度は広がります。

加えて、行政と密接な関係を持つ業界団体などは、その大半が現職に対して応援・推薦を出すことも通例です。選挙となれば、活動員が多く送り込まれてくるでしょう。

このように、選挙に必要な「地盤(組織)・看板(知名度)・鞄(資金)」のうちの少なくとも2つを盤石なものにしている現職は、圧倒的に有利な立場から選挙戦をスタートできるというわけです。

特に一期目を終了した時点は、「まだまだ結果を出すのはこれから」という時期でもあり、再選を目指すことにもまったく違和感がありません。

三期・四期と続けていけば高齢・多選批判も出てきますが、二期目においてはそうしたものもなく、まさに鉄壁の布陣と言えるでしょう。

現職有利の実情を裏打ちするように、東京都23区では区長公選制がスタートした1970年以来、一度も現職区長が敗れたケースはほぼありません。

※1999年の杉並区長選で、新人の山田宏氏が現職を破った例が指摘されましたので、訂正しました

これほどもまでに参入障壁が高い首長選挙において、画期的な結果が出たことは、今後の政界・選挙業界の一つのケーススタディになるでしょう。

現職区長の市政運営における問題点や、新人候補の政策立案の巧みさ、そして選挙戦の展開など、学ぶべき点は多くあるのではないかと思います。

まずはあずま修平候補、ご当選おめでとうございます!若手政治家の誕生を心から祝福するものです。

距離は少しばかり遠いですが、四條畷市の市政改革の行方を個人的にも注目していきたいと思います。

それでは、また明日。

(2017年1月15日「東京都議会議員 おときた駿 公式サイト」より転載)

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