築地再整備の「座長私案」には異論が噴出。特別委員会で、小島座長の参考人招致が決定

4月18日に百条ではない方の豊洲市場問題調査特別委員会が行われ、先般の市場問題プロジェクトチーム会議に対する質疑が行われました。

こんばんは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

昨日は百条ではない方の豊洲市場問題調査特別委員会が行われ、先般の市場問題プロジェクトチーム会議に対する質疑が行われました。

築地の改修工事やアスベスト対策、液状化対策など議題は多岐に渡りましたが、もっとも質疑が集中したのは、第七回プロジェクトチーム会議で突如として小島座長から発表された築地存続プラン(通称:小島私案)に対してです。

これには豊洲移転を推進する都議会自民党のみならず、知事を支持する公明党からも強い疑義が示されました。

都議会公明も築地再整備案批判「現実的でない」

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都議会の特別委員会では、市場問題プロジェクトチームの小島座長らが示したおよそ734億円で築地市場を再整備する私案について、豊洲移転の早期決断を都議選の争点に挙げている自民党に加え、「小池知事与党」である公明党の都議も、現実的でないと批判しました。

「築地再整備が魔法をかけたようにしてできてしまうのだと思わせるような内容を話している。都民の多くの方々が今、大混乱させられている」

(公明党 伊藤興一都議)

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私自身は、昨年から各種メディアで発言している通り、築地市場の再整備は極めて難しいと考える立場です。

しかしながら、豊洲移転のプロセスに重大な瑕疵がいくつもあり、都民や業界の不信が頂点に達している今、様々な可能性を検討しながら都民・関係者に情報提供し、丁寧な移転決着を図っていく手法は理解・尊重しています。

ただし、それならば提供される情報は、現実に即したリアルで、誠実なものでなければなりません。

その観点から見ると、今回の座長私案については、いくつのも疑義を指摘せざる得ません。

すべてを挙げれば膨大な量になりますが、ここでは私が質疑中に触れた3点について述べておきます。

【工期・費用面】

まず私案で示されている7年・734億円という工期と費用は、全面改修とリノベーションという違いがあるとはいえ、かつて都が試算した2340億円・14年という工期とあまりにもかけ離れています。

実際、以前に築地改修に都が挑戦した際には、はじめのごく一部に手をつけただけで400億円の費用がかかっています。

なお、築地の7割程度の敷地しかない大阪中央卸市場でも、リニューアルにかかったのは15年の工期と1300億円弱の費用です。

こうした点から見ると、営業しながら限られた時間で7年・734億円という数値の妥当性については、極めて慎重に見極める必要があります。

【業界の合意面】

かつて頓挫した現地改修におけるローリング工事・輪転計画については、他ならぬ築地の事業者間で折り合いがつかず、頓挫をしたという経緯があります。

現在地再整備には関係各所の合意と協力が必要不可欠ですが、座長私案の説明会は主要六団体のうち五団体が参加を拒否しており、また仲卸事業者も組合理事長は欠席であったと聞いています。

あまりにも拙速な私案の発表は、現地業者の分裂と混乱を招いており、築地を再整備するという観点から見てもマイナスであった可能性があると指摘せざる得ません。

なお、

「これだけ移転問題が揺れた今なら、業界は一丸となって再整備に邁進する!」

という主張に対しては、かつて大井市場への移転・機能分散が取り沙汰された昭和61年、築地本願寺で事業者たちによる移転反対の総決起大会が行われ、築地再整備で一丸となる結束を約したにもかかわらず、その後の現地再整備でやはり頓挫した歴史的事実があることを申し述べておきます。

【豊洲市場の売却面】

私案の中では容積率の緩和などにより、豊洲市場売却益を4370億円と見込んでおりますが、楽観的過ぎる数字であるとの指摘は各方面から相次いでいます。

また容積率緩和などの仮定が許されるのであれば、築地市場の売却においても、同様の緩和条件等を織り込まなければ単純比較することはできません

繰り返しになりますが、私は様々な観点から移転問題を再検証すること事態には意義があると考えています。

極めて困難であると思うものの、築地存続というプランが検討遡上に出てくることも、すべて否定するものではありません。

しかしながら、実現性に乏しいプランや試算が独り歩きすることはいたずらな混乱を招くばかりで、結局のところそれは、築地存続にすら寄与しないのではないかと思います。

以上のような観点から、小島座長をお呼びしての参考人招致はやむを得ないと考えるものです。

そしてこの「私案」がプロジェクトチーム内でどのように扱われるかは、次回(第8回)で検討されるとのこと。

プロジェクトチームは移転の是非を判断する権限を持たないとはいえ、各界を代表する専門委員たちが名を連ねた最終報告書には、一定の影響力があります。

今後、報告書の審議にあたって検討していく際には、山積する課題を客観的に分析し、現実に即した提案として、専門委員全員の見解が一致されたものが提出されることを期待するものです。

それでは、また明日。

(2017年4月19日「おときた駿オフィシャルブログ」より転載)

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