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アサヒとキリンも手を組んだ!進む「共同配送」は物流業界を救えるか

近年物流業界では、ネット通販の普及などによる小口輸送の増加とドライバー不足による問題を解消するため、効率的配送の取り組みが進んでいます。
Business woman working at a warehouse with a group of people - freight transportation concepts
Business woman working at a warehouse with a group of people - freight transportation concepts
andresr via Getty Images

官民一体で取り組む"効率的な配送"

近年物流業界では、効率的に配送するための取り組みが進んでいます。

その背景にあるのは、ネット通販の普及などによる小口輸送の増加と、運送業界の人手不足です。小口輸送の増加で、1995年に約55%あったトラックの積載率は2004年に約41%に低下。またトラックドライバーの約3割は50歳以上となっており、ドライバー不足は深刻となっています。

2017年10月、国土交通省は、効率的な配送への取り組みを支援する法律を施行。官民一体で取り組みを進めていくこととなりました。

効率的配送の取り組みの一つは「モーダルシフト」と呼ばれる、トラック配送を大量輸送が可能な鉄道・船舶への切り替えです。モーダルシフトについては、下記記事でご紹介していますので、ご参照ください。

今回は、様々な業界で広がっている「共同配送」の取り組みをご紹介します。

取次会社でも進む「共同配送」

2017年4月、出版取次最大手の日本出版販売(日販)と2位のトーハンが首都圏などの大都市で出版物の共同配送開始を発表しました。

日販とトーハンは出版社から預かった本を、契約している書店やコンビニに配送しています。現在でも地方では取次会社が共同で配送していますが、大都市圏ではそれぞれが個別に配送。個別配送地域は全体の約4割となっており、協力を深めさらに効率的な配送を目指していくことになりました。

取次会社が協力を深めている背景には、近年の出版業界の事情も大きく影響しています。

出版化学研究所によると、2016年の出版物販売額は1兆4709億円と12年連続でマイナス。また配送量が減少するなか、コンビニの台頭で配達先は増加しています。少量の本を大量の店舗に配送する必要があるため、効率的な配送への取り組みが不可欠となりました。

2016年に日販とトーハンが大阪府南部で実施した共同配送の実証実験では、トラック台数は28台から19台に削減できたと発表されています。

アサヒ、キリンが共同配送を開始

ビール会社でも共同配送の取り組みが進んでいます。

2017年1月、アサヒビールとキリンビールはビール系飲料の共同配送開始を発表しました。北陸への商品の配送を協力して行なっていきます。

これまで北陸地方への商品の配送は、中京圏の工場からそれぞれがトラックで行なっていました。今後は、関西の工場で生産した製品を同じ貨物列車で北陸地方に配送。共同の物流センターに製品を保管して、量販店などにトラックで運んでいきます。

今回の共同配送では1万台相当の長距離トラックを鉄道にシフト。年間2万700トンのCO2削減が見込まれています。

インターネットの普及などで急速に世の中は変化。この変化に対応した物流の仕組みを作っていくことが、今後も必要となってきます。

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