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ガス自由化、でも参入企業は10社ほど。なぜ?

ガス事業への企業の参入を阻んでいる理由は...。
Keatichai Leechaikitjaroen / EyeEm via Getty Images

ガス自由化がスタート

2017年4月、ガスの自由化がスタートしました。1年早く開始した電力の自由化では、ガス会社を中心に200社以上が電気小売り事業に参入。ガス会社がガスと電気のお得なセットプランを開始するなど、1年間で約343万件の電力会社切り替えがありました(2017年3月末時点:電力広域的運営推進期間発表資料)。

ガスの自由化では電力会社もガスとのセット販売ができるようになり、電気・ガス料金の価格競争がさらに激しくなることが予想されます。

ガス自由化の対象は「都市ガス」

家庭で使われているガスは「都市ガス」、「LPガス」、「簡易ガス」の3種類。今回の自由化で対象となるのは、その中の1つ「都市ガス」となります。都市ガスを利用しているのは、全国約2900万件。これまでは住んでいる地域のガス会社からしか都市ガスを購入できませんでしたが、今後は自由に選ぶことが可能となります。

各地で競争始まる

ガスの自由化開始で、電力自由化で多くの顧客を奪われた電力会社ではガスとのセットプランを開始するなど、ガス会社への攻勢を強めています。

特に攻勢を強めているのは関西電力。電気とガスのセットで既存料金より最大13%安くなるプランをスタートしています。他の都市圏でも中部電力が最大8%、九州電力が最大11.1%の値引きプランを実施。ガス会社も対抗して値下げを行なうなど、激しい価格競争が始まっています。

ガス自由化への参入が遅れていた東京電力は、2017年7月から都市ガス販売をスタートします。電力自由化で70万件以上の顧客切り替えのあった東京電力は、料金設定を東京ガスより最大8%安くすると発表。東京電力の参入で、首都圏でもガス自由化による本格的な価格競争がスタートします。

ガス事業への企業参入には、仕組みづくりが重要

都市圏を中心にガス自由化による価格競争がスタートしていますが、参入企業は10社ほど。200以上の参入があった電力自由化に比べて盛り上がりに欠けます。

ガス事業への企業の参入を阻んでいる理由が、都市ガス供給の困難さです。

電力は取引市場があるので自前で原料を調達して用意する必要がありません。しかし都市ガスには取引市場がなく、供給するには自前で用意する必要があります。そのため、原料である液化天然ガスをもともと調達している電力会社やLP会社以外は、販売する都市ガスの確保が簡単ではありません。

また都市ガスを家庭に供給する導管網は大都市圏の間でつながっていないところが多く、広域の流通が困難となっています。今後さらにガス自由化を盛り上げていくためには、都市ガスの取引市場をつくる、導管網の整備などで参入への障壁を取り除いていくことが重要となります。

競争によって生まれる企業努力で、消費者がより利用しやすい価格・サービスを追求していって欲しいですね。

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