疾患・ショック-『スコットランド人夫の日本不思議発見記』(22)

ストレスに鈍感なスコットランド人が、とてつもなく羨ましく感じました。

以前、友人や姑から「英語には『腰痛』や『肩こり』に該当する言葉がない」と教えてもらいました。

そもそも西洋人は日本人に比べ腰が強いらしく、肩こりっぽいものは「寝違え」で済まされてしまいます。

そう、私はこのスコットランドに来て以来、かつて一度も「慢性的な腰痛や肩こり」の人に出会ったことがありません。

医療費がタダのため、何かしら症状が出て来たら、すぐさま医師に診てもらうのが一般的なので、深刻化しないのかも知れません。

なぜ日本では、このような症状が蔓延しているのか、夫がサラリと推測してくれました。

なぜでしょう......なんとなく納得できました......。

思えばこちらでは、人の話を聞くときに相槌を打ちません。ただひたすら、相手の目を見つめ続けます。じっと話を聞く相手に私は時折恐怖を感じますが、英国ではその態度こそが話し手に敬意を払っているというのであれば、もう慣れるしかありません。

逆に「うんうん、へー、そうなんだー」と合いの手だらけの会話は「黙って話聞けや」と思われることでしょう......。

そしてもうひとつ、こちらで見掛けたことも聞いた事もないものがありました。

それは「円形脱毛症」です。

私は思い切って、夫に「十円ハゲって知ってる?」と、聞いてみました。意味が分からないと顔をしかめた夫に私は「コイン大のハゲが突如現れることだ」と付け加えました。

そんな夫に、私は円形脱毛症の症状が載っているサイトを見せました。すると夫は興味深そうにしげしげと写真を眺めながらこう問いました。

ストレスに鈍感なスコットランド人が、とてつもなく羨ましく感じました。

人種が変われば、いろいろな違いがあって当たり前なのですが、西洋人は日本人より体温が高く、肌が強いため、暑さ・寒さに強いと言われています。そして、細くても頑丈な毛髪は、キツい毛染めをしても傷んだり、枝毛になったりすることがありません。

そして極めつけは、日本人に比べ、インスリンの分泌量が遥かに多いことです。もし、日本人が西洋人と同じ食事をしていたら、あっという間に生活習慣病に陥ることでしょう......。

余談ですが、「リンゴ病(伝染性紅斑)」は、英語では通称「SLAP CHEEK SYNDROME(スラップチークシンドローム)」と呼ばれています。直訳すると「平手打ちされた頬症候群」、つまり「ほっぺたを引っぱたかれたように赤くなる病気」です。

かわいらしい「リンゴ」とは対照的になんとも物騒な名称が付けられています......。

(終わり)

★コラム著者の4コマコミックエッセイ

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