ある日、夕飯の準備をしていた時のことです。この日は朝からバタバタで、いつもより夕飯の時間が遅くなってしまい、私は支度を急いでいました。
お米を炊こうと思い計量カップでお米を量っていると、横で見ていたこもたろが「ぼくがやる」と言い出しました。こもたろはこの作業が大好きです。カップいっぱいに入ったお米を、炊飯釜に入れる時の、サラサラーっとお米が落ちるところを見るのが大好きなのでしょう。「じゃあ、お願い」と、こもたろに任せました。
任せてすぐのことです。こもたろの手が滑り、誤ってカップ1杯分のお米を床に散らばせてしまいました。
私は「またか」と思いました。こもたろは手元がおぼつかないところがあり、物を落としてしまうことがよくあるのです。心の中で「はぁぁぁぁ」と、大きくため息をつきましたが、怒りはありませんでした。
こもたろが生まれる前の私だったら、
「何をやってるの、もーっ!」「なんで落とすの!」
などと、何か一言いって、イラっとした気持ちを外にぶつけていたと思います。
ですが私は「いいよいいよ、次は落とさないように気をつけよう」と言い、お米が散らばった床の掃除をしました。
こもたろと生活する中で、いろいろと気をつけなければいけないことがあります。失敗しても、責めてはいけません。責めてしまうと、次に同じことを行うときに、失敗したらどうしよう、という恐怖心が先に立ってしまいます。そうなると、もうその作業ができなくなってしまいます。
失敗した場合、「次はどうするか」が大事になります。それは、次に繋げるための成功体験を積むことです。それは、なるべく早い方がよく、可能ならば、失敗した直後が望ましいです。傷口は早くケアしないと、傷痕になって残ってしまいますから。
こもたろがもっと小さい頃の療育が大変だったからかもしれませんが、発達障害を持つこもたろを育ててきて、「若い頃に比べて、忍耐を少し覚えたかな」
と思うことがあります。私もこもたろに成長させてもらっているんだな、と感じています。
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