ソファー・ショック――『スコットランド人夫の日本不思議発見記』(2)

床派?椅子派?国際結婚生活から見える、文化の違い。

渡英以来、約2年間に及ぶ義両親との同居を終え、夫と私は幼い娘達を連れ、義実家から徒歩5分圏内にある新居へと引っ越しました。真新しい家具に囲まれての新生活で、まず夫が私に投げかけて来た疑問は、

土足で上がり込む義実家では、さすがの私も床に座り込む事はありませんでしたが、この新居は完全なる日本式(つまり土禁)で過ごす事を決めていましたので、私は何の躊躇もなく床でくつろいでいました。ですが、そんな私が夫の目には不可解に映ったのでしょう。

「床は寒いノニ...」

「床は硬いノニ...」

「足と腰に良くないノニ...」

と、事あるごとに私の床生活を批判し続けました。そんな彼にモヤモヤが抑え切れなくなった私は、ある時ついに反撃に出ました。

「ソファーに座っていては、コーヒーテーブルが低くなるのでパソコンが使えないし、ご飯も食べづらい」

そう言った私に、夫が間髪も入れず「パソコンもお皿も膝に乗せたらイイ」と反論しました。膝に皿を乗せて食事する方がよっぽど腰に悪いような気もしますが、そこはあえて触れる事無くそっとしておきました。

よくよく話を聞いてみれば、夫にとってのコーヒーテーブルは、正しく「コーヒー専用のテーブル」らしいのです。食事をする場所でもなく、パソコンを操作する場所でもない。コーヒーテーブルは憩いの場であり、皆が楽しむ「飲み物」と「スナック」置き場であり、新聞置き場であるとの事です。

コーヒーテーブルの正しい使い道を取るか、ソファーの正しい使い道を取るか、私達の意見は真っ向から対立しました。本来の使用法(座ってくつろぐ率)が1割にも満たない私にとっての「ソファー」とは、西洋式のおもてなしを損なわない為の道具であり、オーナメントであり、床でくつろぐ私の「背もたれ」だと言っても過言ではありません。今日もまた、夫はソファーを背もたれとして使用している私を見るなり、「オーマイガー」と肩をすぼませます。

そんな母親を見て育ったからでしょうか。やはり娘達も、

何気に厄介だなと思うのは、家族でカードゲームをする時です。

意地でも床に座ろうとしないその姿勢に、感服したものです。

余談ですが、夫が初めて「座椅子」と出会った時――。

彼の感想は「全く意味が分からナイ。こんなの買うなら椅子の脚を切り落せばイイ」でした。そんな夫を横目に「座椅子が欲しい」などとは決して言うまいと心に誓ったものです――。

~続く。

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