スコットランドを含むイギリスが誇りとするもののひとつに国民医療制度(NHS)があります。戦後に出来たこの制度は「すべての人々の疾病を予防かつ治療する保健・リハビリ・サービス」を提供してくれます。ゆえに、病院での支払いが一切発生しません。
私が初めてこのスコットランド病院へ行ったのは、妊娠6ヵ月検診の時でした。すべての検査を終えた時、そのまま出口へと向かった彼に対し、ひどく焦ったものです。
「ちょっと!支払いは?」
そう問う私に夫は怪訝な表情を浮かべました。
「ハ? ナゼ?」
この時、私は初めてスコットランドでの医療費が無料だという事を知り、
「それにしても、この国はスゴイな。まさか出産費も入院費も無料だとはな!」
と、激しく感激したものです。
すると夫は――
驚きを隠せない夫に私は追い打ちをかけるようにこう続けました。
「ちなみに、妊婦の検診にも毎回お金は掛かるし、出産する時には多額のお金が必要となるよ」
「ハァ? 赤ちゃんが生まれるというのにお金が掛かる!? 一体、イクラ?」
私は、日本の病院で掛かった費用を算出してみました。
「妊婦検診は1回5千円から8千円くらいだったかな? ちなみに、日本で出産と入院をするならば最低でも40万は掛かるらしいぞ(鼻息)」
そう言って目を丸くした夫に、一応補足してみました。「いや、私もよく知らないのだが、何やらその40万は保険で還って来るらしいぞ」
すると夫はますます意味が分からないと言って日本のシステムを憂いていました――。
余談ですが、日本の出生率1.42に対し、イギリスは1.83らしいです。結婚率は日本より低いにも関わらず、離婚率は日本より高いという統計も出ています。
~続く。
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