フィレンツェの個性が光るおすすめホテル10選

この街トップクラスのホテリエは、好奇心溢れるトラベラーをしっかり受け止めるべく、洗練された居心地良い空間を用意して待っています。

ルネッサンスの誕生地、イタリアはフィレンツェ。ここを訪れたら、あくせく観光地巡りに駆け回るのではなく、トスカーナの空気に身を委ね、輝かしい歴史と文化を思い切り吸収するのが慣わし。ということは、長めの滞在は必須。

そしてこの街のトップクラスのホテリエは、好奇心溢れるトラベラーをしっかり受け止めるべく、洗練された居心地良い空間を用意して待っています。

ここでは、その中から、個性と品あるサービスを兼ね備えたおすすめホテル10軒をご紹介します。

観光客が多い街を訪れる時は、喧騒を忘れさせてくれるホテルがやっぱり嬉しいもの。洗練された都会感と、イタリアならではのモダンな高級感をバランスよく取り入れた「JKプレイス」は、時の流れを感じさせないインテリアが魅力。ハイテク製品と、ルイ15世様式の暖炉や、額に飾られた絵画やアンティークが無理なく共存しています。しかも、目の前にはサンタ・マリア・ノヴェッラ教会と、立地も文句ナシ。

フィレンツェの醍醐味は街の中だけにいたのでは味わい切れないから、できれば一泊でも、ルネッサンス様式の「ヴィラ・マンジャカーネ」のような、田舎の宿で過ごしたいもの。市中心地から車でほんの30分程度のところにありながら、まるで別世界。広い敷地の緑の景色を楽しみながら、自家製ワインと自家製オリーブオイルを、たっぷりと味わいましょう。思わず街へ戻るのが面倒になってしまうかもしれないので、ご注意を。

16世紀の建物を丁寧に修復し、ヴィンテージの掘り出し物やデザインオブジェをたくさん取り込んだ、奇天烈指数高めの「ソプラルノ・スイーツ」。美術館並みのコレクションが揃っていながら、旅人を迎える宿としての居心地も妥協なし。暖かい雰囲気が漂う共用キッチンや図書室で、世界から訪れるトラベラーたちと、フィレンツェの街情報はもちろん、館内で目にしたデザインやアートについて話し合ってみては。

この辺りでは、ファッション界が幅を利かせているというのは、相変わらずの事実。例えば、アルノ川の北岸、ポンテ・ヴェッキオのすぐ西にある「ポートレート・フィレンツェ」は、ご存知フェラガモ家が所有するホテル。高品質のイタリア製家具や小物が揃ったインテリアは、当然ながら非の打ち所のない仕上がりで、サービスも間違いなく一流。やはり、名家のプライドに傷は付けられません。

中世の建物が残るこの街の中では、まだ比較的新しいと言える「リーヴァ・ロフト」。でも、スマートな雰囲気の漂うこのホテルは、19世紀の建築の良さを上手に引き出しています。歴史を感じさせる建築ディテールと、ガラスや金属といったクールで近代的なアクセント(と、アヴァンギャルドな照明器具)を共存させた空間は、ほかにない美しさ。己のルーツを忘れることなく、時代の流れを見事に表現した成功例です。

威風堂々とした大邸宅や、剥がれかけたフレスコばかりが質の良さを決めるわけではありません。「レジデンス・ヒルダ」はその名の通り、住宅風の空間とサービスを揃えた、ごくモダンなホテルです。場所は、ドゥオーモ大聖堂のすぐ裏手で、そのほかの歴史的建造物はもちろん、カフェや高級ショッピングエリアからもすぐそば。華々しさよりも、地元人気分でステイしたいこともある、というのを、ヒルダはしっかり心得ているのです。

扉の向こうへと足を踏み入れると、そこに広がるのはまさに絵に描いたようなクラシカルな空間。油絵の作品に、ふんわりとしたベルベット材、壁にはブロケードが施され、窓にはたっぷりとしたドレープが。デ・キリコやピランデッロ、ストラヴィンスキーといった芸術家たちがよく訪れた、と聞いても納得です。普段お高い雰囲気には興味ないという人でも、ここでは食事にしろ、質感にしろ、近所のショッピング施設にしろ、そのリッチなオプションには少なからず感動するはずです。

今度はさらに時をさかのぼって、14世紀の大きな邸宅へ。ここ「ヴィラ・トロメイ」は、旧世界の贅沢さを、すっきりとしたデザインで空間の広さを活かしたモダンな仕上がりです。ポンテ・ヴェッキオを渡ってすぐのところにあるのに、広大な緑の敷地に包まれ、喧騒を遥か遠くのものに感じさせるこのヴィラ。観光を早めに切り上げた日は、街の中心地を一望するテラスで、ワイン片手にゆったりした時間を過ごすのも悪くありません。

更なる表現の場を求めて、オルトラルノ地区に姉妹ホテル「アド・アストラ」をオープンしたのは、ソプラルノの仕掛け人チーム。様々な要素を取り入れたインテリアに、目を見張るコンテンポラリーアート作品の数々を組み合わせ、フィレンツェ市内でもまだちょっと物寂しいこの一角に、明るいエネルギーを注ぎ込んでいます。しかも、ちょっと中心地から離れているからこそ、例えばトリジャーニ庭園のような、見事な景色が楽しめるんです。

最後の1軒は、ファビオ・ノヴェンブレならではの、バロック様式を取り入れたどこか未来的な空間が独特な「ウナ・ホテル・ヴィットリア」。レストランでは曲がりくねった長テーブルが置かれていたり、客室のドアにはそれぞれ、16世紀に実在したトスカーナの貴族の肖像画が描かれていたりと、どこに目を向けても、とにかくインパクト大。歴史あるこの街も、やっぱり、まだまだ捨てたものではありません。