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2018年09月24日 18時57分 JST | 更新 2018年09月25日 09時58分 JST

「13億総子ぼんのう社会」なインドの風景に、おやつ記者思う。「もう日本は無理かもなあ」

どこでも子どもが無視されない。どこでもかまってくれる。

渡印して3週間後、1歳のケイを残してパリ取材へ。インドのプレスクールを紹介してくれた友人のおかげで旅立てた
Miwa Uda
渡印して3週間後、1歳のケイを残してパリ取材へ。インドのプレスクールを紹介してくれた友人のおかげで旅立てた

 「クリケット、やりたい」と言い出した4カ月前から週末、7歳のケイをクラブに連れて行く。日曜午前6時半、アパートの1階で車を待つ。ウォーキング中の女性が声をかけてきた。

 「ケイ!ヴィハムのグランマよ。どうしたの、その顔は。頑張ってね」。早起きが苦手な仏頂面をのぞきこみ、両手でギュッとなでた。敷地内の公園で遊んでくれたことがあるらしい。インドありがとう。日本でも地方ならあるかもしれないが。

Chikako TADA
クリケットスクールで。走ったり筋トレしたりの2時間半、日本の部活のよう

「空気は東京の30倍ひどいが、子育ては東京の100倍、やさしい」と前回、書いた。1歳11カ月だったケイと引っ越して5年余り、つくづく思う。「13億総子ぼんのう社会」だと。理由を書きたい。

・どこでも子どもが無視されない。いつもじっと見られている(ときにはうっとおしいほどに)。入国審査でもケイがいると「ナマステー」。握手さえ求められる。私だけだとダルそうな一瞥のみ。「どうしてみんなケイクンのことみるの?」と3~4歳のころよく言っていた。いまは慣れたのか「日本だとだれもボクを見ないねえ」と言う。

・どこでもかまってくれる。服を買いに行く。気づけば店員たちがケイの取り合いをしている。レストランでも我先にと相手をしてくれる。まずメニュー持ってこんかいっ。日本だとメニューは5秒で出てくるが、赤子連れでは試着も食事もなかなか...。「ベビーカーお断り」に撃沈したことも。

・タクシーに乗る。ダメダメ運転手でも必ず、子を抱っこして(いまでも手を引いて)乗り降りを手伝う。マナー教育が行き届いているわけはなく、ドアの開け閉めぐらいな自然さで。日本でされたことは一度もない。日本はボラれることもないが。

Chikako TADA

・プレスクール(幼・保育園)もよりどりみどり。おまけに「来週からどうぞ」といい加減、いや柔軟なのもいい。東京では入園100人待ちだった身、選べるなんて夢みたいだった。2、3カ所を見学して、自宅から車で10分で行けるローカルの園にした。ベジタリアン(菜食)の給食も出た。

Miwa Uda
インド・グルガオンのプレスクールで。「ラブユー」と投げキッスで見送ってくれた

・ハウスキーパーが雇える。英語が話せる人だと住み込みで月額1~2万ルピー(1.6万~3.2万円)ぐらいだろうか。すぐに辞められること5~6人をへて、いまはダージリン出身の女性が3年以上、続いている。インドでも「小1の壁」で、午後7時まで預けられたプレスクールに比べ帰りが早くなった。会社勤めとなってキーパーはますます欠かせない。

デリー在住19年のインド文化教室主宰・マルホトラ泰子さんと話した。「13億総子ぼんのう社会」で育つとどうなるか。「圧倒的な自己肯定感だねえ」。在住6年目にして分かる。インド人が自信たっぷり、空気を読むなんて100万光年のかなたなのも、むべなるかな。クリケットのクラブで30人を前に「I don't still understand(まだボクは理解していない)」とコーチを制したケイに、もう日本は無理かもなあと思ったのだった。