ウォーレン・バフェットがビル・ゲイツに「これ読んどけ!」と渡した本

ウォーレン・バフェットとビル・ゲイツは親友ですが、彼らが知り合った最初の頃、バフェットがゲイツに「これ読んどけ!」と渡した本があります。それは『Business Adventures』です。著者はジョン・ブルックスです。ジョン・ブルックスは、名著、『Once in Golconda(むかし、ゴルコンダにて)』の著者として有名です。その本は1929年のニューヨーク市場の大暴落前後の出来事を描いており、僕がニューヨークの投資銀行に入社したとき、上司から「この本は、読んでおけ」と言われた数冊のうちのひとつです。
TO GO WITH Lifestyle-India-poverty-charity-US-Gates-Buffett,ADVANCER by Penny MacRae(FILES) In this photograph taken on September 29, 2010, leading US businessmen Warren Buffett (L) and Bill Gates (R) speak at the nationwide launch ceremony of Chinese electric vehicle BYD M6 in Beijing. Two of the world's richest men, software czar Bill Gates and investor Warren Buffett, are set to visit India this week to persuade the country's super-wealthy to part with more of their money. AFP PHOTO/Frederic J. BROWN/FILES (Photo credit should read FREDERIC J. BROWN/AFP/Getty Images)
TO GO WITH Lifestyle-India-poverty-charity-US-Gates-Buffett,ADVANCER by Penny MacRae(FILES) In this photograph taken on September 29, 2010, leading US businessmen Warren Buffett (L) and Bill Gates (R) speak at the nationwide launch ceremony of Chinese electric vehicle BYD M6 in Beijing. Two of the world's richest men, software czar Bill Gates and investor Warren Buffett, are set to visit India this week to persuade the country's super-wealthy to part with more of their money. AFP PHOTO/Frederic J. BROWN/FILES (Photo credit should read FREDERIC J. BROWN/AFP/Getty Images)
FREDERIC J. BROWN via Getty Images

ウォーレン・バフェットとビル・ゲイツは親友ですが、彼らが知り合った最初の頃、バフェットがゲイツに「これ読んどけ!」と渡した本があります。それは『Business Adventures』です。著者はジョン・ブルックスです。

ジョン・ブルックスは、名著、『Once in Golconda(むかし、ゴルコンダにて)』の著者として有名です。その本は1929年のニューヨーク市場の大暴落前後の出来事を描いており、僕がニューヨークの投資銀行に入社したとき、上司から「この本は、読んでおけ」と言われた数冊のうちのひとつです。

ブルックスは1960年代の投信ブームを描いた『The Go-Go Years(ゴーゴー・ファンド時代)』の著者でもあります。そこでは最初のカリスマ・ファンドマネージャー、ジェラルド・サイのキャリアなどが紹介されています。

ジョン・ブルックスの創作スタイルは、現代の作家に喩えれば、マイケル・ルイスとジェームス・スチュワートに近いと思います。

実際、マイケル・ルイスは『The Go-Go Years』のまえがきを寄稿していますし、影響を受けた作家だと公言しています。

まず(これは面白いな!)という実話に遭遇すると、その題材を徹底取材し、ストーリーの背景を、わかりやすく説明するマイケル・ルイスのスタイルは、そもそもジョン・ブルックスが確立したものです。

『Business Adventures』ではいろいろなビジネスの実話が収録されていますが、その中でもウォーレン・バフェットが(ビル・ゲイツなら、このストーリーに飛び付くに違いないな)と思い、一読を薦めた実話が「Xerox Xerox Xerox Xerox」です。

これはゼロックスを開発したハロイド社の物語です。当時はシリコンバレーでもボストンでもなく、ニューヨーク州の北の果て、ナイアガラの滝に近いロチェスターが、ハイテク起業のメッカだった様子が伝わってきます。

当時、ロチェスターの町で最も尊敬されていた企業はイーストマン・コダックです。今のシリコンバレーで言えば、さしずめグーグルやアップルといった感じでしょう。

カリフォルニア工科大学(カルテック)を卒業した素晴らしい研究者、チェスター・カールソンが電気を帯びた回転胴とパウダー(=後にトナーと名付けられます)を使って、コピー機を作ることに成功します。これにハロイドの経営者、ジョー・ウィルソンが飛びつくわけです。

ハロイドはこの手法を「Xerography(ゼログラフィー)」と名付けます。これはギリシャ語の「xeros(ゼロス=乾燥している)」と「grahia(グラフィア=書いたもの)」を合わせた造語です。

そしてKodakの綴りに限りなく似ている、XeroXという社名に変更します。

そこから先は......読んでのお楽しみ。

なお、『Business Adventures』は絶版になっていたのですが、ビル・ゲイツが「こんな楽しい本が絶版になっているのは惜しい」とし、版権を持っているジョン・ブルックスの息子にコンタクトし、最近、Kindle版だけが売られるようになりました。

(2014年7月13日「markethack」より転載)

注目記事