ウォルト・ディズニー(ティッカーシンボル:DIS)のボブ・アイガーCEOによると、スター・ウォーズ『フォースの覚醒』が封切られて、ひとつ会社側が予想していないことが起こりました。
それは時間が経つにつれて観客の中に占める女性の比率がぐんぐん上昇したということです。
これはアイガーによれば、『フォースの覚醒』の主人公のひとり、レイ役を演じるデイジー・リドリーに共感する女性ファンが、口コミによる新しい観客を動員したからだそうです。
スター・ウォーズには昔から熱心なフォロワーが居るわけだけど、その大半は男性ファンでした。『フォースの覚醒』は、それを女性にも広げる役目を果たしたわけです。
2016年1月1日の時点で、同作品は興行収入6億ドルの大台を超えています。これは過去に封切られたどの映画よりも速いペースです。
今回のような口コミによる女性ファンの動員の例としては『ハンガー・ゲーム』の主役を演じたジェニファー・ローレンスが挙げられます。
なおディズニーは2016年12月16日に『ローグワン』というスピンオフ映画を封切る予定です。その主演はフェリシティ・ジョーンズであり、再び女性ファンにとって「感情移入できる女性キャラ」が登場する可能性があるわけです。
『ローグワン』は時代設定としてはスター・ウォーズのエピソードⅢとⅣの間に設定されており、地上戦に焦点を絞っているそうです。
なお『ローグワン』はアジア系のキャストも登場させ、グローバルなオーディエンスへのアピールを狙っています。
2017年5月26日にはスター・ウォーズ・エピソードⅧが封切られます。こちらはライアン・ジョンソンが監督で、キャストは『フォースの覚醒』の延長になります。
2018年にはハン・ソロに関するスピンオフ映画が公開される予定です。封切り日は未だ設定されていません。これはスター・ウォーズのメインストーリーより10年ほど遡った、若い頃のハン・ソロを描いた作品になる予定で、ディズニーは現在、それを演じることが出来る若い役者を探すべく大掛かりなキャスティング中だと言われています。監督はフィル・ロードとクリス・ミラーになると噂されています。
2019年にはスター・ウォーズ・エピソードⅨが予定されています。監督はコリン・トレヴォローになるそうです。
なお年末のブルームバーグとのインタビューでボブ・アイガーCEOは、かねて噂されていた『インディアナ・ジョーンズ』の新作にとりかかっていることを認めました。
株式投資の視点から言えば、『フォースの覚醒』の成功は、今後もウォルト・ディズニーがスター・ウォーズのフランチャイズから多大な収益を上げる確実性を強めたことを意味すると思います。
もともとスター・ウォーズは、玩具、ビデオゲームなどのライセンシング機会が多いフランチャイズとして知られています。これに加えてオーランドとアナハイムでスター・ウォーズのテーマパークを展開する予定です。つまり相乗効果が大きいわけです。
ディズニー株はスポーツ・チャンネル、ESPNが「視聴者を失っているのではないか?」という懸念から、冴えない展開になっています。実は、スポーツ・チャンネルがディズニーにとって一番儲かるビジネスなのです。
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そのスポーツ・チャンネルは、近年、過熱の様相を呈している、いわゆるファンタジー・スポーツ(一種のスポーツ賭博)による不自然な視聴率の上昇、広告予算の「還流」、ニューヨーク州検事からの摘発など、いろいろな材料が交錯しています。
(2016年1月2日「Market Hack」より転載)