親ロシア分離主義者が立て籠もるドネツク市が陥落寸前 ウクライナ政府軍は停戦の呼びかけに応じずトドメを刺しにゆく?

若しドネツクとルハンスクが陥落すると、ロシアはウクライナ本土での足掛かりを失うので、ロシア国内でのプーチンの支持率が急降下することも予想されます。このようにウクライナ情勢は未だ予断を許しません。
時事通信社

東ウクライナのドネツク市に対し、ウクライナ政府軍が大攻勢を仕掛けるムードになっています。

ウクライナはおおまかに言って西と東にわけることが出来ます。西ウクライナの住民はEUに対して親近感を感じています。これと対照的に東ウクライナにはロシア系の住民が多いです。

去年の11月に親ロ派のヤヌコビッチ政権がEUとの貿易協定の話し合いを打ち切り、ロシアに近づいたのを見て、西ウクライナの人々はキエフで大規模なデモ行進を行い、ヤヌコビッチ大統領はロシアに逃亡しました。

その後、ロシアはウクライナ内のロシア系住民の安全を守るため軍事介入し、ロシアの軍港があるクリミア半島をおさえました。クリミアでは住民投票が行われ、クリミア共和国の独立ならびにロシアへの編入が決まりました。

一方、同じくロシア系住民が多く住む東ウクライナ地方では親ロシア分離主義者が行政、警察機構を掌握していますが、クリミアの時とは対照的に、西ウクライナから送り込まれたウクライナ政府軍との戦いで劣勢に立たされています。

親ロシア分離主義者はドネツクとルハンスクという二つの都市に追い詰められており、最後の抵抗を試みています。

先週金曜日、「ウクライナ国境に集結していたロシア軍が、兵を引いたのではないか?」というニュースがもたらされました。加えてドネツクの親ロシア分離主義者も停戦を呼びかけたと伝えられました。

東ウクライナでの緊張が幾分緩和したように見えたので、金曜日のニューヨーク株式市場は薄商いの中、ショートカバーで上昇しました。

しかし......

今日(日曜日)になってドネツク周辺での砲声は再び高まっています。ロシア側は「決戦になると、多数の民間人の死傷者が出る」と警告していますが、ウクライナ政府軍はドネツクに対する包囲をだんだん狭め、トドメを刺す体制に入りつつあります。ドネツクの親ロシア分離主義者からの停戦の申し入れは無視されました。

ドネツクに閉じ込められている民間人に対しては、ロシア側、ウクライナ側双方から人道的見地に立った救援物資の供給の提案がありますが、お互いに相手が人道的支援と称して武器の補給をするのではないか? と警戒し合っています。

若しドネツクとルハンスクが陥落すると、ロシアはウクライナ本土での足掛かりを失うので、ロシア国内でのプーチンの支持率が急降下することも予想されます。

このようにウクライナ情勢は未だ予断を許しません。

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