そういった勢力を穏便に排除し続けないと、本当に利用者や主催者にとってふさわしい提案だけを最終審査に残すのは難しいのです。

真国立競技場へ15

というわけで、ここまでの真国立競技場計画の概要をまとめると以下のようになります。

この計画は必要に応じて、必要なパーツを可変させていく、という合体ロボがコンセプトなんです。

なぜ、真かというと、

真実の競技場とかこういうものだろ?という説もありますが、、、

それは!真ゲッターロボから採りました。

チェーンジ ゲッター ステップワン!

真国立競技場計画STEP1

目的:最短でスタジアムを建設する。

方法:建設行為を最小限にする。

手法:初代競技場を復元する。

効果:建築に関わる許認可が短い。工期も短い。慌てなくてよい。

費用:30億円弱

結論:初代国立競技場を復元し1年間のイベント使用の後、バージョンアップ工事をおこなう。その間にラグビーワールドカップへの対応方法やオリンピックへの対応方法をじっくり検討する。

チェーンジ ゲッター ステップツー!

真国立競技場計画STEP2

目的:観客席の増強、屋根の設置

方法:スタンドを増設し、屋根を構成する。

手法:日本中の鉄工所で発注が可能な単純な片持ちトラスで構成し、47都道府県に「オールジャパントラス47」として分離発注する。既存残置杭の処理や基礎下新規杭の打設。

効果:全員参加型での建設プロセスのイベント化、ものづくり競技化。

費用:20億円

結論:初代国立競技場の外苑西通り側のファサード意匠の近代建築化によるノスタルジー効果。屋根鉄骨の製造プロセスの可視化。必要追加機能の明確化を図ることが出来る。

チェーンジ ゲッター ステップスリー!

真国立競技場計画STEP3

目的:観客へのアメニティの向上

方法:スタンドを内部空間化と設備増強

手法:ガラスカーテンウォールを設置し内部空調および内装工事。斜面下にトイレ設備等の埋め込み。

費用:10億円

結論:スタンドが内部化されることにより、快適性が向上するだけでなく各種のアメニティ機能を増強し、メインスタンドとオープン座席との違いが楽しみ方の幅を広げる。

このスタンドの雰囲気はこんな感じですね。

これは、長崎県の大村競艇場のメインスタンドです。

2010年より、新築計画とコンペ開催をおこなったものですが、私がコンペ要綱作成にかかわり、コンペ審査員の一人としてお手伝いしたものなんです。

つい、先々月に開場した出来立てホヤホヤの施設です。

設計者は梓設計の安野さんのグループでした。

このように直線的に建築化したスタンドなら、ガラスで覆うことで空調も十分に効かすことも出来ますし、なかなかいいでしょう?

私がなぜ、今回の新国立競技場のコンペに怒っているかというと、これまで読んできていただいた皆さんには自明でしょうが、私はこれまで公共や民間まで様々な設計コンペで、その募集要項や審査過程に加わってきているので、新国立競技場コンペの杜撰さが本当に手に取るようにわかるからなんです。募集要項ひとつ作成するにも何度も模擬設計をやって、間違ったものや要綱のルールの裏をかいたものが出てこないように調整を重ねるのです。

それでも、いざコンペを開催すると必ず政治的な圧力があります。

審査員側に通じているであろう応募者も出てきます。

そういった勢力を穏便に排除し続けないと、本当に利用者や主催者にとってふさわしい提案だけを最終審査に残すのは難しいのです。

一昨年も滋賀県でそういった難しい案件が発生しましたが、応募者や審査の先生、主催側の行政の努力により、最悪の事態(予算超過による建設の断念)を回避することができました。

同様に、新国立競技場コンペの今の状況は、ザハ改悪案を捨てて、見直しを図る以外に選択肢はないのです。

チェーンジ ゲッター ステップフォー!

真国立競技場計画STEP4

目的:ポストオリンピック・スタジアム周辺のにぎわい創出

方法:敷地西側の活用

手法:スタンド西側に増築。

費用:200億円

結論:外苑西通り側に増築し、通りに面したにぎわいの創出空間をつくり、東京体育館側敷地と連携した都市型スポーツ拠点とする。

上記のような流れで徐々に整備していけば、いろんな可能性が図れるんではないでしょうか

なお、旧国立競技場の解体前に斬られた1千本以上の樹木は、ふたたび全国から献木を募り、森にします。

また加筆しますが、、大体こんな計画です。

5~6年がかりで

300億円くらいでイケルんではないかと思います。

サブトラックの地下を含め駐車場建設等を考えても、500億円くらいでオツリが来るでしょう。

しかも、単年度の予算編成で様子見ながら進められるという意味でもお役所的にもメリットあるんじゃないでしょうか。

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(2015年6月21日「建築エコノミスト 森山高至のブログ」より転載)

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