駒沢とオリンピック1

新国立競技場のモメ事で、神宮外苑ばかりが話題になっているわけですが、東京のかつての郊外、今ではもはや都心と言われる駒沢にもオリンピック競技場があります。

新国立競技場のモメ事で、神宮外苑ばかりが話題になっているわけですが、東京のかつての郊外、今ではもはや都心と言われる駒沢にもオリンピック競技場があります。

しかも、外苑よりも広い。

外苑はこんな感じ

そして駒沢です。

しかも!この駒沢競技場、特撮のメッカです。

ウルトラQ、仮面ライダー、キカイダー、がんばれロボコン、ウルトラマンタロウ等々昭和の特撮ヒーローもので何度となく登場しています。

それもそのはず、この駒沢運動公園はですね、緑溢れる公園というよりも、どこか宇宙的なSFチックな香りが漂っている。

南米のブラジリアみたいな未来感覚でスペイシーな空間なんです。

建築物単体だけでなく全体のランドスケープデザインが秀逸です。

この入り口階段から施設の上部がのぞくアングルはいろんなヒーローの戦いで見覚えがありましたが、始めて現地に行ったときもこの階段からの風景は思ってた以上に未来でした。

メインの陸上競技場のデザインなのですが、曲面が巨大な爪のようにも花弁のようにも見えますが、このキャノピー(覆い)が宇宙船のような印象を生み出しています。

そして、この五重の塔のようにも、宇宙と交信しつつレーザー光を発しそうなタワー

この見え方だけで、実にワクワク感をそそるのですが、実はこれらのデザインアイテムは人の目線からの見え方を的確に捉え、実に上手くコントロールして出来上がっているのです。

施設を俯瞰でみるとわかりますが、全体の配置計画では競技場のキャノピー(覆い)も全体を覆っているわけではないし、タワーも視線で感じるほど巨大なものでもない。

にもかかわらず、施設景観の未来的印象を強く意識させて、建築のキャラクターを高めています。

最小限の操作で最大限のデザイン的効果を生み出している凄い仕事です。

これらの施設を設計した建築家は芦原義信さんです。

一見、ホンワカした優しそうな小学校の校長先生みたいな雰囲気ですが、もっの凄くシャープで理知的な建築デザインをされる方です。

一方、堂々と建築の美しさ、街並みの美しさ、について語る。

プロポーションについて語る。

そして、それを会得するにはどうすればいいか、を平易な言葉で論理的にみんなに教えてくれる、そんな先生ですね。

また、加筆します。

(2015年9月13日「建築エコノミスト 森山のブログ」より転載)

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