新国立競技場の建設コンペをめぐる議論について (8)

下記のようなニュースがありました。<東京五輪>祭典の陰、転居迫られる「霞ケ丘アパート」住人・・・・2020年東京五輪への期待が高まる中、東京都新宿区の都営団地「霞ケ丘アパート」に暮らす約230世帯の住民たちの思いは複雑だ。アパートは五輪のメイン会場となる国立競技場の建て替えに伴い、遅くても18年までに取り壊されるからだ。

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下記のようなニュースがありました。

2020年東京五輪への期待が高まる中、東京都新宿区の都営団地「霞ケ丘アパート」に暮らす約230世帯の住民たちの思いは複雑だ。アパートは五輪のメイン会場となる国立競技場の建て替えに伴い、遅くても18年までに取り壊されるからだ。住民約370人の6割が65歳以上のお年寄りで、1964年東京五輪に続いて2度目の転居を迫られている老夫婦もいる・・・・

毎日新聞ニュース:<東京五輪>祭典の陰、転居迫られる「霞ケ丘アパート」住人

えっ?霞ケ丘の団地も?ザハの競技場に関係あんの?

確かにだいぶ古い都営住宅だったから建て替えになるのはわかるとしても

競技場からだいぶ離れているしなあ、、と思ってたんですね。

高さがデカいっていうのは70mということで非常にバカげているけれど

建物の範囲もデカいわけ?なんで?ウソだろう?というのが実感です。

といいますのも、実は私は20代のころからずーーとこのエリア、

20年以上も神宮前暮らしだったんです。

なので、この辺とってもよく知っているんです。

すごく実感が沸くんです、この大きさヤバイですよ。

明らかにオーバースケールな施設ですよ。

リンク先の写真で見える右上の茶色いのが日本青年館で、ここはコンサートで有名ですが旅館でもあって、うちに遊びに来てくれた友人がよく泊まっていました。

その日本青年館の左隣にあるのは明治公園ですけれど、ここでは土日にフリーマーケットが開かれていたり、ワンちゃんのコンテストが開かれていたり、お昼休みとかに休憩するOLさんやサラリーマンの方々なんかもいて非常にのんびりした雰囲気を生み出している貴重な都心のオアシスです。

また外苑西通りの道路を挟んで、ビクタースタジオとか背脂で有名なラーメンの「ホープ軒」があり、タクシー運転手さんとかが深夜に、真夏の昼間には街路樹の陰になるので、駐車休憩されたりしていましたね。

原宿、青山、千駄ヶ谷、四谷、代々木、各駅から徒歩15分くらいの中間点で、

緑も多いし、都心でもとってもノンビリしている良いところなんですよ。

競技場のトラックからは十分離れているだろうし、、と確認してみたところ

おいおいおい、

全部、なぎ倒してザハになっております。

あれーっ、サブトラックが取れないとか機能上の問題を問われているはずなのになんでこんなにデカいわけ?

上の明治公園や団地までの間でトラック3つは取れる広さじゃん?

しかも、外苑西通りに接して70mいくのかよ!

近隣だと一番高いのがオラクルのビルだと思ったけど

それが外苑西通りに沿ってビシっとグルリと取り囲んでいる状態になる。

夏場の風通しとかすっげえ悪くなるんじゃないですかね。

外苑西通りって国道みたいに広くない、そんなに道路幅ないんですよ。

このこと地元の人は知ってるのかなあ

日曜日に草野球やってるグランドとか、絵画館方向から富士山も見えなくなりますよね。

慶応病院に入院したら、、窓から毎日ザハか、、、、

そもそも、外苑全体にあった広がりをもった公園的空間が、

70mの壁出現ですべてだいなしになるんじゃないですかね。

そして、夏の大イベント神宮前の花火大会とかどうなるの?

外苑前の駅からも千駄ヶ谷の駅からも、ましてや外苑西通りからは、

みんな花火は見えなくなるんじゃないかなあ

外苑エリアからは夕焼けの富士山とかも見えなくなるし、、

花火大会もなくなるんじゃないのか、、

建築に関しての続きを書こうと思ったんですが、

ちょっと改めてこの狂った規模を実感して、かなり脱力してしまいました。

たとえば

件のザハの巨大イカにおけるアジェルバイジャン街並みへの攻撃力なんですが

これくらいです。

手前のちょっとクラシカルな路地により対比的に侵略者の宇宙船っぽいザハ建築がさらにドヤっています。

チャドルを来た女性が手前を歩いているのも写真表現としては効いていますが、

それでも、この建物で最大高さで30メートルくらいだと思うんですよ。

新国立競技場という名の軟体動物はその倍以上でせまってきます。

で、70m近い巨大イカは実際にどれくらい外苑エリアの雰囲気に影響があるのかいくつか検証してみました。

すると、なんだか、残念というか、無残というか

これ、一刻も早く都民だけでなく日本中の人たちに分かってもらった方がいいと思うんですが、

完成予想図における地上数百メートルの鳥かヘリコプターか飛行船から見た「シャープで流線型で未来を感じさせる躍動感」のザハ建築といったお題目とはほど遠い結果なんです。

ザハによる 「侵略!ビフォアー&アフター」です。

フリーマーケットなんかがおこなわれている明治公園がこうなります。

つづいて外苑西通りですが、、歩道橋の高さからでも空がなくなっていますね。

明治記念館側の首都高入口付近では

千駄ヶ谷駅降りてみると、、、東京体育館の背景には空も樹木もない!

現状の競技場入り口から日本青年館に向かう道路は、、なくなっちゃいますね。

以上のように、70m近い巨大な軟体動物的オブジェである新国立競技場は、

歩行者の目線からはそのごくごく一部、

でっかいお尻みたいなものが覆いかぶさってくるんですよ。

だから、アジェルバイジャンの超巨大イカ建築どころの騒ぎではないんです。

しかも、敷地いっぱいいっぱいで距離が取れないから、

アジェルバイジャン以上の巨大な、ザハのケツの圧力なんです。

これじゃ、ケツノポリスだよ、、

(2013年11月5日「建築エコノミスト 森山のブログ」より転載)

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