私はなぜ維新の会を選び、参議院選で立候補したのか?

今回の参議院選で日本維新の会から全国比例に立候補して当選させていただいた。感謝の念でいっぱいである。選挙中は「なぜ維新?」という疑問とともに「なぜ参議院?」という疑問を数多くいただいた。

今回の参議院選で日本維新の会から全国比例に立候補して当選させていただいた。感謝の念でいっぱいである。

選挙中は「なぜ維新?」という疑問とともに「なぜ参議院?」という疑問を数多くいただいた。

「なぜ維新?」という質問に関しての回答は、「小さな政府・自助努力・公正な競争の必要性」など維新の主張が、「真の資本主義国家の確立を」と主張する私とほぼ一致していたからだ。

さらに、自民党は、「財政赤字をここまで大きくしてきた」つけで、近き将来、下野せざるを得なくないと思っているからでもある。もちろん日本国にとっては極めて由々しき事態であり、避け得るならば避け得たほうがいいのはもちろんだ。しかし、「社会保障費を含めたばらまき」や「票稼ぎとも思える過激な財政出動」を行い、消費税を上げず、累積赤字をここまで巨額にしてきたつけはあまりにも大きい。

「財政は大丈夫」と主張する識者も「今日は大丈夫」と言っているにすぎず、誰も再建策を提言していない。私も方策は到底思いつかない。ここまで巨額の借金額になると、アベノミクスが成功し金利が上昇したときが恐怖である。支払金利額があまりにも巨額になり、税収増では到底追いつかないからだ。国家の資金繰り倒産の可能性がある。

累積赤字を1銭でも減らすことが急務だが、それには単年度予算を黒字化しなくてはならない。しかしどうやって黒字化するのだろう?誰も思いついていないのだ。

今年度予算では43兆円の税収に対し、93兆円を使う。収入と支出を逆転させ単年度予算を黒字化し、さらに100年かけて1000兆円を返済するためには(私のラフな計算では)明日から消費税を50%にあげるか、年金を含めた社会保障費をゼロにしなくてはならない。もしくは、例えば「消費税30%上げで社会福祉費半減」だ。そんなことは現状の日本では認められないだろう。そうであれば累積赤字は、ますます膨れ上がる。そいて支払金利の増加で単年度黒字化は刻一刻と難しくなる。「徴税権があるから国は破産しない」という識者もいるが国民から50%の消費税を取ってまで「国には徴税権があるから破綻しない」と主張するのだろうか?

「日本国は資産過多だから倒産しない」と主張する方もいるが「個人の財産を没収すれば国は破綻しない」と主張されても「ハイ、そうですか」と答えるわけには、私はいかない。

今の日本の財政状況は、終戦真近の1945年7月頃の日本国の状況とほぼ同様だと思っている。米軍に追い込まれている日本の状況だということだ。1945年7月に至っては、「米軍に勝つ方法」を考えるのではなく敗戦時に、「いかに軍国主義を脱し、強い経済を備え持つ民主義国家・日本を創るのか?」の青写真を描く役回りの人も必要だと思っている。敗戦の責任を取らされる今の政権与党にはその役割が回ってこない。だからその役割を重要だと思う私は野党を選んだ。

私は、それほどまでに 日本の財政に危機感を持っている。ちなみに、選挙中に、危機が迫っていることに触れると「政治家を目指すなら対策を示せ。お前はたんなる破綻論者か?」と批判を受けた。しかし、私は20数年来、「我々の代のためには円安政策を・子孫のためには真の資本主義国家建設を」「財政再建を後回しにするな」と過激なほどまでに主張してきた。今まで私の提言に全く聞く耳を持たなかったにもかかわらず、この場に及んで、いまさら「なにか対策を示せ」と言われても困るのだ。「時、すでに遅し」なのだ。

アベノミクスの主要な柱の量的緩和は、明らかにハイパーインフレ政策である。財政を破綻させるわけにはいかないからハイパーインフレを選択したのだろう。ハイパーインフレになれば名目借金額は変わらなくても実質的な額は大幅に減るから国は助かる。しかし国民生活は地獄だ。

選挙中の野党のアベノミクス批判に「大企業にしか恩恵がない」とか「給料は上昇していない」などがあったが、そういう次元の弊害ではすまないのだ。国民がハイパーインフレという地獄を見るという弊害がある。

多くの国は、戦争中、軍備調達のために紙幣を刷りまくりハイパーインフレを経験し、その結果、預金封鎖・新券発行という暴力的な方法で資金を回収してきた。注意しなくてはならないことは、戦争をしたからハイパーインフレが起きたのではなく、資金をジャブジャブにしたから起きたという点だ。今、日本は戦争をしているわけではない。しかしお金をジャブジャブにしている。日銀は平和時で最初に(注:2001年から)、そしてもっとも過激にお金をジャブジャブにしている中央銀行であることを忘れてはならない。

赤字国債など発行してはならないという財政法の趣旨を無視し、財政法5条(国債引き受け禁止)を実質無視し、特例公債法案を骨抜きにした上での量的緩和である。2度とハイパーインフレなど起こさせまいとした先人の知恵をことごとく破ってきたうえでの量的緩和なのだ。

7月26日の日本経済新聞1面に「メガバンクが国債保有残高を2割減らした」との記事が出ていたが、リスク管理ができているメガバンクが、量的緩和の弊害をきちんと認識した結果だと思っている。

なぜここまで、日本国は借金をためてしまったのか? 政治家に巨額借金の怖さを理解している人がいなかったからではないか? なぜ量的緩和がそのリスクを顧みられずに絶賛されるのか? 米国の共和党のように量的緩和に大反対する政治勢力は日本になぜ現れなかったのか?量的緩和に強い抵抗感を示した白川前日銀総裁を擁護する政治勢力はなぜ現れなかったのか?すべて日本の政治家に経済・金融がわかっている人がいなかったせいではあるまいか。

米国上院は、各分野の専門家中の専門家の集まりである。その専門家が大所・高所から政治を専門的にチェックする。地域代表である下院議員は政治経験を積み、ある分野のプロになって、上院を目指す。上院のほうが下院より議員数はずっと少ないが、日本人が名を知っている米国人政治家は多くが上院議員なのだ。日本の参議院もあるべき姿として米国上院を目指すべきだ。プロ中のプロが専門分野に対して大所・高所から政治をチェックする。

私は経済・金融のプロとして金融・経済政策を厳しくチェックしていく所存だ。最初に書いた「私がなぜ参議院を選んだか?」の理由はそこにある。

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