続々 特定秘密保護法

これまでは秘密会といっても、そこで開示された情報を国会議員が漏洩しない保証がないと、政府は秘密会でも秘密の開示を拒んできました。特定秘密保護法で、これまで秘密を漏洩しても処罰されなかった国会議員も処罰の対象になります。その結果、これまで機能していなかった国会の秘密会が機能するようになります。

【これまでの記事】

特定秘密保護法について。続き。

11月29日付けの朝日新聞にも特定秘密保護法の解説が出ています。

国会の秘密会で特定秘密を聞いた国会議員が地元の会合で特定秘密を洩らした。その時、テレビ局が取材していて夜のニュースでその発言の場面が流れた。

『視聴者はお茶の間で、それまで世の中に知られていなかった秘密を「知る」ことができた。』

翌朝の新聞にもその記事が出ただけでなく、話を聞いていた人もブログに書き込み秘密が広まった。

『しかし、秘密を話した議員には、懲役5年の厳罰が科された。』

『懲役5年もの厳罰を科されたら、政治生命を絶たれかねない。』

『議員は恐れて萎縮し、国会の活動で得た情報を話さなくなるかもしれない。国民が報道などを通じ、秘密を「知る権利」が制約されることになる。』

秘密会での特定秘密は、例えば北朝鮮で核兵器の情報を日本に伝えてくれる内通者のことかもしれませんし、領土交渉での日本政府交渉方針かもしれません。

こうしたことが外に漏れたら、内通者とその親族は粛清されてしまうでしょうし、領土交渉で日本は非常に不利な状況に陥ります。

『視聴者はお茶の間で、それまで世の中に知られていなかった秘密を「知る」ことができた』などと喜んでいる場合ではないのではないでしょうか。

『しかし、秘密を話した議員には、懲役5年の厳罰が科された』とありますが、『しかし』ではなく『当然に』でしょう。

『懲役5年もの厳罰を科されたら、政治生命を絶たれかねない』などと議員の心配をする前に、漏れた秘密が与える影響を心配するべきではないでしょうか。

『議員は恐れて萎縮し、国会の活動で得た情報を話さなくなるかもしれない』といいますが、何が特定秘密であるかを明確にされて開示を受けるのですから、国会議員ならば、何が特定秘密で何が違うかを理解しているべきです。それができない人に国会議員は務まらないでしょう。

『国民が報道などを通じ、秘密を「知る権利」が制約されることになる』といいますが、国民が知るべき情報ならば秘密ではないし、秘密ならば「知る権利」はルールに基づいて制約されるべきでしょう。

これまでは秘密会といっても、そこで開示された情報を国会議員が漏洩しない保証がないと、政府は秘密会でも秘密の開示を拒んできました。

特定秘密保護法で、これまで秘密を漏洩しても処罰されなかった国会議員も処罰の対象になります。

その結果、これまで機能していなかった国会の秘密会が機能するようになります。

この朝日新聞の解説は、国家の秘密はすべてお茶の間に広く開示されるべきものだというアナキスト的な立場からの解説のようです。

(※この記事は、2013年12月31日の「 河野太郎公式ブログ ごまめの歯ぎしり」から転載しました)

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