児童ポルノ禁止法で児童が守れないという理不尽!全てはその定義に

平成22年9月7日、高松高等裁判所は、児童ポルノ禁止法に違反するかどうかの案件について、とんでもない判決を下しました。

「児童ポルノ規制法」では被害にあった児童を守れない!?納得のいかない法律に対し「実在児童への性暴力写真に関する請願書」を提出!その詳細をご紹介します。

実在児童への性暴力写真に関する請願書を提出しました

6月2日、フリーライターの廣田恵介氏が、「実在児童への性暴力写真に関する請願書」を、私が紹介議員になり、山崎正明参議院議長宛てに提出しました。廣田氏と同様に、私も今の児ポ法では、被害にあった子どもたちを守ることができない、という現実を重く受けとめています。

参議院HP請願一覧

新件番号:1528

この請願書で問題として取り上げたのは児童ポルノ禁止法における「児童ポルノの定義」です。平成22年9月7日、高松高等裁判所は、児童ポルノ禁止法に違反するかどうかの案件について、とんでもない判決を下しました。(とんでもないと言っても、本来、立法府で作った法律で、法律そのままを運用すれば当然の判決となるので、心苦しいばかりですが。)

被告人は、当時6歳だった女児を公園の公衆トイレに閉じ込め、下着を脱がせて写真撮影をし、さらに女児の頭に射精し、それを写真に収めました。ところが、裁判所の判決では、この性暴力写真は「児童ポルノ(3号ポルノ)」には該当しないと判断しています。

その理由は、実際の映像が頭部に射精した写真、つまり顔のみが映る写真だったからです。判決内容は、顔だけが写っている写真は、ポルノ等処罰法2条3項3号が児童ポルノと定義している「衣服の全部または一部をつけない児童の姿態」ではないため、その写真は児童ポルノにあたらない、というものでした。裸体が写っていなければ虐待されていても、児ポ法上は犯罪ではない、という意味不明な法律に改めてその理不尽さを覚えます。児童が虐待されているのが明らかでも全く取り締まれないのです。

この裁判での判決は、児童ポルノの定義を、端的に言えば局部が見えているか見えていないかでまずは判断するという、信じられない結果だけを残したことになります。この点は、国会での法の審議の際にも、私が散々指摘をしていますが、児童がどんなに虐待されたとしても、ポルノでなければ処罰の対象にはならない、というこのおかしな事実をふまえ、児童ポルノ法における児童ポルノの定義を修正する請願書の紹介議員になりました。

請願書の趣旨は?

上記事件の判決内容からは、虐待された児童を犯罪から守らなければならないはずの児童ポルノ禁止法の「児童ポルノ」の定義が、明らかにおかしいことがわかります。これを直さなければ、虐待を受けた児童を守っていくことはできません。このような事件を、強制わいせつ罪などだけで対処してしまうのであれば、児童ポルノ禁止法など必要ない、ということになってしまいます。

そこで、児童ポルノ禁止法での児童ポルノの定義を変えて欲しい、というのが今回の請願内容です。児童ポルノの定義を「実在児童が性加害されているもの」「実在児童への性暴力が認められるもの」に修正したいという請願書になります。

また、平成26年児童ポルノ規制法が改正され、平成27年7月15日から単純所持の刑罰化が始まることもあり、なおさらこのままではいけないと思っています。実際に性被害から児童を守る、性被害を受けた児童を守るということであれば、「児童ポルノ」の基準は、裸もしくは裸に近いかではなくて、実際に性被害を受けているかという基準とするべきなのです。そういった意味でも、私は児童ポルノという言葉を「児童性虐待記録物」などと改めるべきだと主張しています。

これらの理由から、廣田氏の請願書の紹介議員になりましたが、正直なところをいうと、「請願書」は法案提出と比べるとどうしても力は弱いです。請願は、関係の委員会の理事会に付託されますが、全会一致でなければ、保留となってしまうからです。

本来は、前に進む可能性がはるかに高い「議員立法」をつくって提出することが必要です。そのため、こういったことに賛同できる議員を他に10名集め、法律を変えるためのきちんとした改正案を出すことを、早急に考えていきたいと思っています。

請願書の全文は廣田さんのHPをご覧下さい。

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●山田太郎略歴(http://taroyamada.jp/?page_id=13)

慶應義塾大学経済学部、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程。

外資系コンサルティング会社などを経てネックステック社を創業、

同社を実質3年半で東証マザーズに上場。その後、参議院議員就任。

東大・東工大・早大などでも教鞭をとり、著書も多数。

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