日本のものが海外で売れない原因は「自分≒他人」の呪縛である

最も人気がある電化製品であるスマートフォンに日本製の製品がないのはもちろんですが、電子レンジや冷蔵庫などの白物家電も日本製品のシェアはどんどん減っています。

今、海外の電気屋に行くと、日本の製品がどんどん減っていることに気付きます。

最も人気がある電化製品であるスマートフォンに日本製の製品がないのはもちろんですが、電子レンジや冷蔵庫などの白物家電も日本製品のシェアはどんどん減っています。

これは、日本人が「自分たちと同じ価値観以外の人が望むものが分からない」のが原因です。

複雑で高い電子レンジは要らないアルヨ

例えば、電子レンジ。

東南アジアの人に言わせると、

「日本製のはボタンが多くて使い方がわからない。しかも値段が高い」

となります。

実際、ダイヤルが2つあるだけのシンプルなLG製と

ボタンが20個くらいあるパナソニック製と

では大きな違いがあります。

これは、どっちがいい悪いではなく、ユーザーが求めているものがどっちかという問題です。

日本人は、いろんな機能を使いたいと思っている(はず)なので、パナソニックの多機能のものを選ぶのでしょう。しかし、外国の人が必ずしも多機能を望んでいるわけではありません。

そんな外国人のニーズに合った、シンプルで安いLGの電子レンジの方が売れているのです。

あなたはあなた。わたしじゃないの。

日本のメーカーの開発→販売は、こんな流れでした。

1.自分は、多機能の電子レンジが好き

2.お客さんも、自分と同じように多機能の電子レンジが好きだろう

【多機能の電子レンジ開発】

3.多機能の電子レンジを好きなお客さんが、購入。

しかし、これを海外で売るとすると必ずしもうまく行きません。

1.自分は、多機能の電子レンジが好き

2.お客さんも、自分と同じように多機能の電子レンジが好きだろう

【多機能の電子レンジ開発】

3.シンプルな電子レンジを好きなお客さんは、買わない。

原因は「日本人と外国人では、嗜好が違うことが多い」からです。

日本は単一民族で、みんな同じような教育を受け、同じようなものを食べて生活しています。そんな中では「自分が好きなもの ≒ 他の日本人が好きなもの」というのがある程度の確立で成立します。

しかし、相手が外国人となるとそうもいきません。

我々がカレーライスをカンボジア人に売ろうとしたら、「カレーが臭い」と言われ、「どうしたら美味しくなる?」と聞いたら「練乳を入れる」という答えが返ってくるなんてことが普通に起こるのです。

つまり、「自分が好きなもの ≠ 外国人のお客さんが好きなもの」なのです。

惨敗中の日本のメーカーがやるべきこと

にもかかわらず、自分がいいと思うものを作り続けて失敗しているのが今の日本メーカーです。

では、なにをしなくてはならないのか。

それは、外国人のお客さんがなにを求めているかを一生懸命探ることです。

「自分が好きなものは相手も好きとは限らない」という前提を元に、「あの人たちはどんなものを求めているのだろう」ということを0から考え出せる人が必要なのです。

これは、特殊な才能が必要なのではなく、真面目にきっちりお客さんと話をして意見を聞き、アンケートを取って結果を分析し、試作品を作って試してもらい......ということを繰り返すことができる人ならできることです。

真面目にアンケートを取るのは日本人は得意です。しかし「自分がいいと思うものは、相手もいいと思うだろう」の呪縛があるため、アンケートの結果を素直に受け取れないのが問題です。

実は日本国内でも「私 ≠ 顧客」になってきている

そして、本来は、日本人相手に商売をする場合も、相手のことを考えることが大切です。今までたまたま「単一民族」「1億層中流」が成り立っていたので、「自分がいいと思うもの ≒ お客さんがいいと思うもの」だったのですが、これから格差が広がり、個人の嗜好もバラバラになっています。

日本人相手に商売をするときにも、相手がなにを求めてるかをしっかり調査できる人が必要となってくるのです。

もしあなたが、商品の開発や、設計をしたいのであれば、このお客さんが求めるものを探す力が重要視されます。

学生であったら、学生時代にしっかり身につけておくことが大切です。

「本当のおもてなし」ができる人材になるために

その方法のひとつが、文化も育ってきた環境も全然違う外国人相手の商売を体験してみることです。

海外に行って外国人相手に商売体験してもいいし、日本国内で訪日旅行客相手に商売体験をしてもいい。

ただひとつ言えることは、実際に外国人とお金のやりとりをするくらい密にコミュニケーションしないと「自分 ≒ 他人」の呪縛からは逃れられません。

我々が運営している研修プログラム「サムライおもてなし屋台」では、外国人にラーメンを売ろうとしたら「砂糖を入れてくれ」と言われるような体験ができます。

このような人の存在を知り、こんな人を自らもてなす体験があなたの呪縛を解きます。

そして、お客様の求めるものを導き出して、提供する「本当のおもてなし」ができる人材への第一歩です。

外国人にものを売りたい企業は、その様な人材を企業は求めているのです。

注目記事