ブラック企業、就活失敗、非正規雇用 日本のレールに乗れなかった人のための「セカ就」という選択肢

日本の労働環境が悪化しているのは、最大の原因は、日本企業の業績が悪くなっていることです。しかし、もう一つ大きな原因があります。「レールから降りたら地獄」という思い込みにより、どんなにブラック企業でも社員が辞められないという現実です。

日本国内の労働環境が悪くなっています。

私は、多くの大学生や若手ビジネスパーソンから、就職に関する相談を受けるのですが、多くの人が非常に大きな不安を抱えています。その不安のレベルも「身体を壊さない程度の労働時間の仕事に就けるか」「将来家族を養えるレベルの給料をもらえる仕事に就けるか」という「社会生活を送っていけるのか」というレベルの不安です。これは、私が就職活動をした十数年前にはあまり考えなかったレベルのものだといえます。

彼らが考えすぎかというと、そんなことはありません。ニュースを見たり、彼らの周りの人から伝え聞いたりして、過酷な労働条件により心身を壊してしまったり、就活がうまく行かず非正規雇用になった人のことを知り、自分がそうならないかを不安に思っています。

一時的に過剰労働になったり、不安定な非正規雇用になることに関しては覚悟はできているのですが、一度身体を壊したり、非正規雇用になると(充分な給料をもらえる)正社員にはなれないという恐れを感じているのです。

「正社員のレール」に乗るには新卒一括採用のタイミングしかなく、そのレールを降りると一生戻ることはできない。これが、彼らの不安の源になっています。

そんな彼らに、私は「レールの外にも道はある」という話をしています。私自身、新卒からの大企業正社員レールから降りて世界一周旅行とかして、もう一回レールに乗って、また降りて、今は本やこの様な記事を書く仕事をしています。

これは、少し特殊な例かもしれませんが、もっと普通の若手ビジネスパーソンが選べる選択肢もあります。そのひとつが「セカ就」です。世界で就職。東南アジアをはじめとする日本国外にでて、現地の日本企業や、欧米企業、現地企業に就職するという選択肢です。

近著『セカ就! 世界で就職するという選択肢』(朝日出版社)の中では、様々な理由でセカ就する人の物語を描いています。ブラック企業で身体を壊した男性、アメリカ留学したけど日本企業への就活に失敗した女性など、私が実際東南アジアで会った人たちのエピソードを元に紡いだ物語です。

例えば、ブラック居酒屋で同期の中で最速で店長になったものの、体調を壊し出世ルートから脱落した男性。彼は、インドネシアに活路を見いだします。日本でのキャリアを一旦リセットし、現地に飛び込み、異なる文化の中で日本とは違った苦労をしながら、自分の役割を見いだしていく。そんな日本人が、今、アジアにはたくさんいます。

私は、彼らのような人がいることを、一人でも多くの日本人に知って欲しいと思っています。たとえ、レールに乗れなかったり、墜ちてしまったとしても、それで終了なわけではありません。降りた先にもきちんと道はあり、その道は必ずしも悲惨なものではないのです。

レールの上でも下でも、乗っていれば一生安泰なんて道は、今の日本にはありません。だから、違う道はどうなっているかを知って欲しいのです。

「就活で上手くレールに乗れなかったとしても、その後頑張れば別の道が開ける」とか、「レールの上がブラックでも、やばくなったらレールを降りれば死にはしない」ということを実感を持って知ってもらうことで、就活生の不安は和らぐと思うのです。

日本の労働環境が悪化しているのは、最大の原因は、日本企業の業績が悪くなっていることです。しかし、もう一つ大きな原因があります。「レールから降りたら地獄」という思い込みにより、どんなにブラック企業でも社員が辞められないという現実です。

日本人がもっと楽しく働けるように、みなさん、レールの上以外の選択肢を知って下さい。そこには、結構楽しい現実があるんです!

上記男性以外にも、アメリカ留学で得たスキルを生かせていない26歳女性や、もっと大きなマーケットで仕事がしたい36歳男性など、日本国内で苦しんでいた人の「セカ就」の話を載せています。ご興味がある方は、是非ご一読頂けたらと思います。

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