言葉はコミュニケーションに欠かせませんが、一つの言葉は一つの意味ではなく、
表情やシチュエーションによって様々な解釈ができます。
正しく伝わらない為に、誤解が生じることもしばしばです。
そこで、言葉のメッセージをひもとくことで、正しく伝わるコミュニケーションを考えます。
ある夫婦の会話をイメージしてみましょう
夫「きょうは晩御飯は何にする?」
妻「なんでもいいよ」
(出来たご飯を見て)
夫「うわ~、参ったなー、昼と被ったな」
妻「えっ、そうなのごめんなさい」
別の日
夫「きょうは晩御飯は何にする?」
妻「なんでもいいよ」
(テーブルに並んだ晩ご飯を見て)
夫「こんなに暑いんだから、なんか冷たい麺とかが良かったな〜」
妻「なんでもいいって言ったでしょ!」
「問い」に対して「同じ答え」が返っています。
そして反応すると、晩御飯を前に違う結果が現れています。
「なんでもいい」というメッセージに
「なんでもいい」んだという反応をしたら(何か晩御飯を作ったら)
「なんでもいい」って言ったのに「なんでもよくなかった」という
ような一言や文句が返ってきた(昼と被った、冷たい麺とかが)
ということです。
なぜ コミュニケーションの行き違いが起きるのか
なんでもいいと言いつつ、なんでも良くないこともある、ということが
何度も起きたら、どうでしょうか?
「またぁ?」
「何で決められないの?」
「なんでも良くはないのに、どうしてそういうこと言うの?」
「イライラするなぁ」
「優柔不断なんだから」
当然不満が出てきます。
「なんでもいい」というメッセージに対して
過去の経験を思い出して、ツッコミが入っています。
どうしたらいいかわからなくなりますよね。
そのような嫌なことは避けたいと思うのは、誰しも同じですし、
このとき、2人のコミュニケーションが上手くとれていないことは明らかです。
同じようなことが続いたら、きっと晩御飯について聞かなくなるでしょう。
聞いても意味が無い、だってこの前も、その前も......
そしてさらに距離が開いていきそうです。
それでは、困っってしまいます。
では、どうしたらいいんでしょうか。
意味を制限する
1つ目は、あきらめないということです。
「どうせ意味ない答えが返ってくるのに?」
と思われるかもしれません。
そこで役に立つ、2つ目のことがあります。
それは、意味を制限するということです。
妻「きょうは晩御飯は何にする?」
夫「なんでもいいよ」
妻「そう、昨日は肉だったから、魚にしようかしらね?」
夫「-魚だったら刺し身がいいな、ツマミにもなるし」
肉や魚、麺類にピザ、お好み焼きや餃子、豆腐や鍋物 etc.
どれもが、「何でもいい」の中に入ってしまいます。
それとは反対に「ひとこと」言う方はどうでしょう。
目の前に並んでいるもの(晩ご飯)を見て、好きか嫌いか、良いか悪いか言う。
あまり有利とか不利とかにしたくないのですが、
あまりに差がある状況がお分かり頂けましたでしょうか。
そこで
昨日、肉 → 今日、魚
と制限してみます。
すると、晩御飯の「魚料理」に、魚以外が良かった、
と「ひとこと」言うことはフェアじゃありませんね。
あるいは、魚が候補になったことで刺激されて
魚だったら〇〇にして、とか
魚は嫌だから他のもの、とさらに範囲が狭くなったりします。
メッセージを送ることにより、受け取る側が反応しています。
そうすることで、ボンヤリとした晩御飯の輪郭がはっきりしてきます。
では、別の日の例はどうでしょうか?
妻「きょうは晩御飯は何にする?」
夫「なんでもいいよ」
妻「お昼はどうするの?」
夫「今からなんてわかんないよ、付き合いもあるかもしれないし」
妻「そうよね。んー、夜は麺を茹でようかな」
夫「まかせる。(昼は麺以外にするか?)」
お昼はどうするの?とズラしてみることで
相手へ「お昼とかぶらないようにしたい」
というメッセージを伝えたんでしょうね。
残念ながら、「ごもっともです」というような理由でかわされています。
お昼の話が出ていますから、時間的に朝の質問です。
朝から昼のことなんかわからない。
そしてまた、朝から夜のことなんかわからない。
ここで会話が打ち切りになってしまうと
なにかイヤな感じ、で終わってしまいます。
そこでやっぱり1つ目に戻ります。
あきらめない、でした。
質問とも、ひとり事とも取れるようなカタチで
コレ(麺)が候補だから、と伝えています。
このあたりは前回と同じですね。
晩御飯を麺という意味に制限しました。
そうすることにより
-まかせる。(昼は麺以外にするか?)
という反応がおきています。
あきらめない事と、意味を制限する。
2つのコミュニケーションテクニックで
晩御飯に「ひとこと」言われずに済みそうですね。
(2015年11月13日「ボトルボイス」より転載)