19歳の私が、3カ国で子育て支援をして気づいた「母親」のリアル

自分が一番に尊重される時間を確保することで、日頃子どもを尊重することができる。

この街で、東京で子育てするの、なんだか大変そう。

それは中学生の頃、東京で暮らしていた私がよく思っていたことでした。

電車の中でぎゅうぎゅうに押され、泣いてしまった子どもをあやしながら周りの人に頭をさげる。そんな光景をみては、なんだかもやもやして、でも何もできず。

私は小さい頃から子どもが好きで、幼少期を過ごした大阪では近所の子をよく可愛がっていました。

私の家にホームステイしていたアメリカ人の留学生と一緒に
私の家にホームステイしていたアメリカ人の留学生と一緒に

大きくなって、14歳の頃ニュージーランドに留学をしました。現地でバスに乗った時の出来事を、今でもよく覚えています。

ひとつめのバス停でちょっと怖そうなゴツめの男性がバスに乗り、次のバス停では赤ちゃんをベビーカーにのせたお母さんが乗ろうとしていました。

バス停に着くなりゴツめの男性がサッと席を立ち、赤ちゃんの乗っているベビーカーをバスに乗せるのを手伝った上、さっき彼が座っていた席を譲ったのです。お母さんはとても感謝していました。

でも私が感動したのはその後です。

バスに乗った赤ちゃんがぐずり始め、お母さんも色々な手法であやすものの、ぐずぐずモード。そんな時、さっきの男性含め乗客みんなが「大丈夫よ〜」とお母さんに声をかけたり、赤ちゃんの方を向いてニコニコとあやしたり。

そのバスには小学生ぐらいの男の子も乗っていて、彼はきっと日常的にこういう経験をして、"当たり前"に地域で子育てをしていくことを学ぶんだろうな、と思いました。

ニュージーランドでもベビーシッターをしていました。
ニュージーランドでもベビーシッターをしていました。

高校2年生の時、私は日本に帰国しN高校一期生となりました。

N高校はネットで授業を行う通信制高校で、普通の学校のように日中の時間に縛られることなく好きなスタイルで勉強ができます。

そこで私は、大好きな子ども関係でなにかしたい!と思い、「渋谷papamamaマルシェ」という渋谷区で主に0-3歳児の子育てをしているパパママの支援をする団体に入りました。

他にも、国内にある様々な保育園と幼稚園、こどもの遊び場や支援団体を回りました。

去年夏にはアメリカに1ヶ月間ホームステイしながらベビーシッターし、現地の保育園と幼稚園でのボランティアをしました。

そんな経験から今思うことは、子どもが尊重されるのと同じぐらい母親も尊重されて良いということです。

子どもは自然分娩でお腹を痛めて産んだ方がいいとか、寝る時間削ってでも子どものお弁当は全部手作りした方がいいとか。苦労や我慢が美とされる風習が母親像にも影響し、息苦しい子育てを作り上げているのだと思いました。

子どもを預けて美容院にいってもいいし、仕事復帰が早くてもそれがむしろガス抜きになるのなら私はそれでいいのではないかと思います。

子どもと一緒に過ごす時間=愛情の量ではないし、親が余裕を持って子どもと向き合える環境のほうが大切にすべきではないでしょうか。

10年後、私がアメリカへ。冒頭の写真に写っていたアメリカ人留学生の彼の家に、今度は私がホームステイしました。
10年後、私がアメリカへ。冒頭の写真に写っていたアメリカ人留学生の彼の家に、今度は私がホームステイしました。

アメリカでホームステイしていたご家庭のお母さんは、週4日働き、大学にも在籍されていました。

毎週月曜日を仕事休みにしていますが、子ども達はいつも通り幼稚園へ送り届けます。その日1日はお昼寝をしてもいいし、大学のレポートをしてもいい。一日中ショッピングしたり、友人とお茶をしたり、母親でも妻でもない「自分のための時間」を確保していました。

そのお母さんに、なぜそのような日を設けているのか聞きました。

「第一子の時は子どもと毎日ずっと一緒にいてケアをしていて、いわゆる専業主婦でした。子どもと多くの時間を過ごせるのなら、なるべくそうした方がいいと思ってそうしていたけど、現実はイライラしてばかり。第二子が生まれた時に、このままじゃやっていけない!と思い、働くことにしました。

実際、働くことは自分が社会に貢献している実感が湧いてとても楽しいし、自己肯定感があがりました。それに子ども達と会える時間が減った分、仕事終わりは早く会いたいと思うようになり、限られた時間だからこそめいっぱい子どもと遊んでいます。

月曜日を自由な時間にしているのは、自分で自分のケアをするため。日頃子ども優先で自分を大切にしてあげられないから、意図的に設けています。自分が満たされることによって余裕が生まれて、子育てを楽しめるようになったわ」

自分が満たされているということが、とても重要なことだと私は感じました。

子どものケアをしていると自分の理想とする時間の使いかたはほぼできませんが、自分だけの時間があると、子どもの時間を大切にする行動がとりやすくなります。

自分が一番に尊重される時間を確保することで、日頃子どもを尊重することができるようになったということです。

めまぐるしく1日が過ぎていく現代で、自分の時間を確保することさえ一苦労だと思いますが、私はこの現状を変えていきたいです。

母親も子どもも尊重され、すべての人と心地よく育児をしていける社会を目指していければと思っています。

親も、子どもも、ひとりの人間。

100人いたら100通りの子育てがあり、正解はありません。

初めての子育てで不安。子どもの教育はどうしよう。

つい眉間にしわを寄せながら、慌ただしく世話してしまう。

そんな声もよく聞こえてきます。

親が安心して子育てできて、子どもの時間を大切にする地域や社会にーー。

ハッシュタグ #子どものじかん で、みなさんの声を聞かせてください。

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